<2024年更新!>スイッチバックはどんなマット?(動画)、スペック比較(スイッチバック vs Zライトソル)、構造の違いと寝心地、折りたたみやすさ、実際の重量は製品誤差の範囲内、個人的に気になったところ(サーマルフィルムの耐久性)を記事にしました。
このスイッチバックは、ある意味寡占状態だったサーマレスト社の「Zライトソル」に類似構造で参入してきたため、この記事全体を両製品の比較を中心に掲載していきたいと思います。
著者PROFILE
経歴:大手アウトドアショップで寝袋・マットのコーナーを中心に約4年間の接客経験に加え、独自の調査・研究を重ね、寝袋・マットの情報を中心としたこのサイトを運営して10年以上。無積雪登山・雪山登山・クライミング・アイスクライミング・自転車旅行・車中泊旅行・ファミリーキャンプなど幅広くアウトドアを経験。(詳細プロフィール) 名前:Masaki T
結論
発売から数年経過し、使用者レビュー評価もある程度出揃ってきましたので、実際のネット上の使用者レビューと私の体感を踏まえてニーモ「スイッチバック」とサーマレスト「Zライトソル」の比較を掲載していきたいと思います。
※Sがスイッチバック、ZがZライトソル
- 断熱力:S,ZともにR値2.0で同じ
- 重量:単位面積あたりほぼ同じ
- 寝心地:ほぼ同じ
- 価格:ほぼ同じ
- 収納サイズ:ほぼ同じ(少しSの方が小さい)
- 折りたたみやすさ:スイッチバックが上
- 耐久性:Zライトソルの方が上と推測
以下、それぞれの項目についてです。
スイッチバックはどんなマット?(動画)
2019年にNEMO(ニーモ)社からフォーム式のマット「スイッチバック(Switchback )」が発売されました。
ニーモ「スイッチバック」のマットの特徴は下記動画がとてもわかりやすいです(日本語字幕付き)。
当然ながら、サーマレスト社のZライトソルを強く意識して製品化されたのがわかります。
スペック比較(スイッチバック vs Zライトソル)
両製品のスペックを見てみましょう!
スイッチバック (レギュラー) |
Zライトソル (レギュラー) |
|
---|---|---|
大きさ | 51×183cm | 51×183cm |
重量 | 415g | 410g |
材質 | ポリエチレン | 架橋ポリエチレン |
厚さ | 2.3cm | 2cm |
収納サイズ (長さ×直径) |
51×13×14cm | 51×13×14cm |
R値(ASTM) | 2.0 | 2.0 |
スペック上で異なるのは、重量、厚さ、製品カラーで、それ以外は同じです。
重量に関しては、わずか5gの差です。この重量差は、マットの厚さ(凹凸の厚さ)が0.3mm高い分だけわずかに重量が増えているこのが要因かな、と思われます。正直、この重さの差はほとんどのユーザーは気にならない程度と思われます。
断熱力はメーカーは異なっていても、同じマットの断熱力(R値,R-value)測定規格『ASTM F3340-18』で評価された値ですから、全く同じです。
価格に関しては、メーカー表示の価格と実売価格に差があり、また変動しますので各オンラインショップでご確認ください。
※私が確認した時は、両者ともに9,000円程度でした
両製品ともに、レギュラーサイズとショートサイズ(長さ130cm)あります。
構造の違いと寝心地
スイッチバックとZライトソルは、マットの厚みだけでなく、凸凹の配置が異なります。
凸凹の配置がZライトソルは交互に同じパターンが繰り返されているのに対し、スイッチバックは変則的なパターンとなっています。
このパターンの違いもあり、実際に横になった時の寝心地が若干異なります。
両者の寝心地に関しては、フォーム式マットとエア注入式マットほどの差はありません、よく感じてこっちの方が寝心地良いかな?くらいの差だと思ってください。
これは、個人の体感覚にもよると思います。私が寝比べた感じやネット上の口コミをいくつか見た結論として、
両者の寝心地に関しても、
—————-
スイッチバック ≧ Zライトソル
—————-
となりました。
「スイッチバックはZライトソルと同じ寝心地」というレビューも複数ありますし、「スイッチバックの方が寝心地が良い」というレビューも見つけました。ただ、Zライトソルの方が寝心地良い、というレビューは非常に少ない印象です。そのため、Zライトソルに比べてスイッチバックはほぼ同じ寝心地か少し上、といえるのかな、と思います。
- サーマレストZライトソルと同等(2019年5月29日):サーマレストZライトソルとどちらを買うべきか悩んだので、両方購入し比べてみました。横になった感じは、ほぼ同じですね。どちらも暖かく快適な寝心地を感じました。今までキャンプでは寝袋だけで寝ていましたが、あるとないとでは天地の差がありました。定番サーマレストと同じく、自信持って友達にすすめられます。
- 最高ですね(2020年1月11日):凄くコンパクトに収納できますし広げれば分厚い魔法のようなマットですサーマレストよりも寝心地は好きですね。そしてとても暖かいので凄く気に入ってキャンプには必ず持って行く物になりました。
折りたたみやすさ
折りたたみやすさは、スイッチバックの方が上です。
Zライトソルは、上の写真でもわかるように、マットを畳んでも少し上に膨らみます。もちろん、ベルト等で巻けば抑えられます。
一方、スイッチバックは、非常に綺麗に折りたたんだ後に膨らみにくい構造になっています。
- 折り畳んだ時の安定感(2021年5月17日):サーマレストと比べて折り畳んだ時、しっかり収まる。寝心地はどちらも変わらないけど、見た目のかっこよさはニーモかなと思う。
実際の重量は製品誤差の範囲内
海外のあるレビュー記事では、スイッチバックは415g、Zライトソルは410gとなっていますが、実際に秤で測定したらZライトソルの方が重かったとの記載がありました。(英語の参考記事はこちら)
スペック表示上の5gの重量差は製品の個体の誤差範囲かもしれません。
個人的に気になったところ(サーマルフィルムの耐久性)
発売当初、最寄りのアウトドアショップへ見に行った時のこと、熱反射フィルムとなる裏面の銀色のサーマルフィルムがかなり傷んでいることに気づきました。まだ発売されて間もないので、なんでこんなに傷んでるんだろう、と不思議に思いましたが、その後しばらく経って他店に展示していたサーマルフィルムも同じような感じになっていました。
スイッチバックの背面のサーマルキャプチャーの先端が白くなって色も抜けている
(展示品なので多少環境がハードなのかもしれませんが、Zライトソルでこんなんなってるの見たこと無いかも)
また、下記口コミもありました。
- 銀色が写ります(2019年4月18日):テント泊にて一回使用してみました。当日の夜間の気温は8度、小砂利を敷いてあるテン場でしたが、特に下からの冷えや背中の違和感を感じることもなく寝ることができました。ただ、撤収するときは気付かなかったのですが、帰宅してテントを確認したところ、テントの底面に商品の銀色が色写りしてました。
初めてこのマットを使った方は、こういうマットはそういうものか、と思うかもしれませんが、私が何年もZライトソルを使ってきていますが、まだほとんど銀色が抜けること無くキレイな状態です。もちろん、色移りなどすることもありません。ただ、Zライトソルでは無いですが、今となっては廃盤となってしまったサーマレスト「リッジレストソーライト」もハードに使っていくうちに銀色部分が徐々に薄くなりアルミが抜けて行きましたが、色移りするようなことはありませんでした。
また、ニーモ「スイッチバック」はマットのオレンジ側を表(人体が乗る側)、サーマルフィルム側を裏(地面側)としているようです。しかし、Zライトソルはどちらを側に寝ても良く、サーマレストの日本代理店からは「寒いときはアルミ蒸着面を上にします。断熱性が向上し、また自身の体温がアルミに反射することでまた暖かくなります。」と回答頂いています。
個人的な推察になりますが、もしかしたらニーモ側がサーマルフィルムの耐久性があまり高くないことを自覚しているのでは?とも思ってしましました。
今のところ、この点に関してはスイッチバックの残念ポイントです。
ただ、これは発売時期まもなくの情報で、数年経過した今は改善されているかもしれませんし、同じ状況なのかもしれませんし、そこら辺は確認できてません。
ただ、今の時点で言えることは、とりあえず銀色のサーマルフィルム側を地面側にしておいた方が無難、と思います。
最後に
結局、「スイッチバック」と「Zライトソル」どっちがいいの?というところですが、性能的に微差ですし、上記を参考に選んで頂けたらと思います。
Zライトソルに関しては、様々な登山家が使ってきている実績、耐久性含め、とりあえずこれ選べば失敗は無いマットと言えます。スイッチバックに関しては、サーマルフィルム側の耐久性が不透明なので、その点を納得してもこちらが良さそう、という方にはいいのかな、と思います。
Zライトソルは登山用のフォーム式マットしてど定番です。
一方、スイッチバックはそこまで普及してないと思います。
- 他の登山者とマットがかぶりたくない
- 折りたたみやすさを優先したい
- デザインが好き
という方はスイッチバックを検討してみても良いのかな?と思います。
両製品共に、amazon等で結構なレビュー数ありますので、それを見て判断されると良いかもしれません。
Zライトソルに関しては、私が長年使ってきていることもあり、詳しくレビュー記事書いていますので興味のある方はご参考になさってください☆
著者PROFILE
2009年末から寝袋と関連装備に特化したこのサイトを開設。いつの間にか運営10年を超える老舗サイトに。ファミリーキャンプから無積雪期登山、厳冬期登山、バイクのキャンプツーリングに自転車旅行、車中泊など、アウトドアを幅広く経験。寝袋の宿泊数は100泊以上~500泊未満。狭い業界ですが、まだまだ知らないこと沢山あり、日々勉強中です☆
谷川岳の雪洞で宿泊
今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。
雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)
雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。
自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。
楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆
寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。
キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。
『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。
これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。
『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。
テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆