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エアー注入型のマット(セフルインフレータブル、エアーマット、インシュレーテッドマット)を購入する前に知っておきたい内容をまとめました。

 

最初に-エアー注入型のマットの寿命

EXPED DownMat Lite(エクスペド ダウンマットライト) 5 M

ごく僅かな目で確認できないような穴が空いただけで、空気が抜けてしまうエアー注入型マットは、キャンプ&登山用品の中でも非常に繊細な道具です。

エアー注入型のマットのおおよその製品寿命は、3~5年程度と言われいます。長く使えても10年程度かと思われます。

もちろん、購入者の使用頻度、メンテナンス程度によって大きく変わりますが、銀マットに代表されるクローズドセルマットに比べると、寿命は短いと思ってもらってよいでしょう。(クローズドセルマットは時の経過とともに変質しますが、マットとしては長く使える)

エアー注入型マットの寿命を迎えると、

  • エアー漏れ・パンク(空気を入れても空気が抜ける)
  • 剥離(マット内部の溶着が剥がれる)

などの不具合が起きます。

エアー注入型マットの難点は、その不具合が大概キャンプ&登山中に起こる、ということです。車移動のキャンプであれば、不具合が発生しても最寄りのホームセンターやアウトドアショップ等で代替品を調達できますが、山奥に入った連泊の登山の場合は調達困難です。

 

どの製品でも”初期不良”が起こり得る

エアー注入型マットは、先程も記載したように、ごく僅かな目で確認できないような穴が空いただけで、マットとして使えなくなります。

私は今までに様々なマットの製品レビューを見てきましたが、ほぼどの製品でも”初期不良”が発生しています。

初期不良とは、常識的な利用(テントの中で膨らまして寝る)の範囲内で

  • 購入後の1~数回の利用でエアー漏れが発生した
  • ポンプ・バルブの故障
  • 内部が剥離した

等の不具合が発生することです。

この初期不良はamazon等に出品されているノーブランド(ネットブランド)品だけでなく、世界的に名の通ったブランド(サーマレスト、コールマン)等でも発生が見受けられます。

そのため、エアー注入型マットを購入する前に、その商品の

  • 不具合率(購入者レビューの低評価率)
  • 不具合発生後の販売店やメーカー対応・評判

も確認することをおすすめします。

また、購入後はアウトドアで実際に使う前に、自宅等で初期不良が無いか確認すると良いでしょう。

 

超軽量のエアー注入型マットの新商品は要注意

何時間、何日間も自力で荷物を運ぶ登山では、マットも軽量・コンパクトなものが好まれます。昨今、さまざまな超軽量・コンパクトなマットが製品化されています。

今まで、いくつかの登山用マットに関する評判を耳にしてきましたが、超軽量マットは不具合率が高いように感じています。

軽量化のために、非常に薄いく目で見ても軽く透けているような生地を使い、空気をマット内部に留めるための化繊生地にラミネート(溶着)している素材[例えば、TPU(Thermoplastic Polyurethane:熱可塑性(ねつかそせい)ポリウレタンなど]も可能な限り薄くしていると思われ、剥離等の不具合も耳にします。

某メーカーでは、過去にエアー注入型マットを軽量化したために、多数のクレームが発生し、過度な軽量化ではなく安心して使えるマット設計に戻した、という逸話も耳にしたことがあります。

軽量化には、それ相応の技術力が求められます。発売されたばかりの新商品、特に超軽量のエアー注入型マットに関しては、購入前に製造メーカーや代理店の保証内容を確認しましょう。

以下、ご参考。

[サーマレスト]

  • 限定保証(5年)
  • 電動ポンプ:2年保証

正規販売店より購入をされた第一購入者で購入を証明するレシートを提示頂いた購入者に限り、購入当時の状態に材質・製造が原因で起きる不具合が認められる製品に対して、製品の耐用年数の間は弊社の負担で修理・交換を行います。

URL:https://www.e-mot.co.jp/repair/warranty.asp

 

[エクスペド]

  • 超軽量マット:保証期間2年
  • ほどほど軽量マット:保証期間5年

と、保証期間の差が明記されています。

URL:https://exped-jp.com/

 

保証内容が明記されていないメーカーや日本代理店もありますので、気になる方は直接問い合わせてみるとよいでしょう。

 

登山・トレッキング用の超軽量エアー注入型マットの多くは、海外メーカー製です。購入者レビューは日本よりも海外の方がアウトドア市場規模が大きく、製品レビューも多数付きます。

購入前に、

などのサイトで、製品のレビュー状況を事前に確認されるのもおすすめです。

 

PVCとTPUのどちらの素材が良い?

マット内に空気を保持する素材として、主に

  • PVC(Poly Vinyl Cloride:ポリ塩化ビニル樹脂、通称”塩ビ”)
  • TPU(Thermoplastic Polyurethane:熱可塑性(ねつかそせい)ポリウレタン]

が使われています。

安価なエアー注入型マットにはPVC、それなりの価格帯のエアー注入型マットにはTPUが使われる傾向にあります。

海外のサイトには、PVCに関して警告する内容の情報が散見されます。

自動翻訳した内容を一部抜粋します。

  • PVC製のエアマットレスは非常に有毒であり、健康上のさまざまな症状を引き起こす可能性があるため、避けることをお勧めします。
  • プラスチックに一般的に追加される化学添加剤の1つのタイプは「可塑剤」です。可塑剤は無色の「柔軟剤で、ポリマーチェーンが動きやすく、柔軟になります。」つまり、材料の弾性を高めます。エアマットレスは小さなものに折り畳む必要があるため、持ち運びや梱包が簡単になるため、この柔軟性は特に重要です。
  • 可塑化添加剤は、一般にフタル酸エステル化学薬品です。フタル酸エステルは、分子がプラスチックに化学的に常に結合しているわけではないため、製品から容易に放出されるため、有害です。また、血流に容易に吸収され、そこで蓄積する可能性があります。フタル酸塩は、正常なホルモン機能を破壊することが知られており、多くの貧しい健康状態に関連しています。
  • 現在市販されているエアマットレスの多くは、ポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックで作られています。PVCは2番目に広く使用されているプラ​​スチック樹脂であり、最も有毒で危険なプラスチックの1つです。PVCは、既知のヒト発がん物質です。PVCはオフガスに時間がかかり、エアマットレスから強い臭気が発生します。しかし、それは私たちが懸念すべき強い臭い以上のものです。PVCには「重量で最大55%の可塑化添加剤」を含めることができます。一般にフタル酸エステルである可塑剤は、PVCを柔軟にして曲げることができます。PVCは環境にも有害です。焼却されると、PVCは有害な化学物質を大気中に放出します。
  • TPUのより望ましい化学特性により、TPUは医療用途にますます使用されています。1つの理由は、TPUがPVCが必要とするすべての可塑剤を必要としないためです。また、使用前に有毒な化学処理を必要としません。代わりに、熱接着プロセスで取り付けることができます。さらに、TPUは環境に優しい生分解性です。

[出典] TPU vs PVC Plastic: Which is Better for Air Mattresses?

 

次の抜粋は日本語のフタル酸エステルに関する記事です。

[フタル酸エステル類とは?]プラスチック製品(特にPVC)などを軟らかくするための可塑剤として使用されています。柔軟性を高めるために、なぜフタル酸エステル類が使用されているかといいますと、耐久性、長寿命、低コストなどの利点が多いためです。

[フタル酸エステル類は人体に有害なの?]フタル酸エステル類は、ヒトへの有害性への懸念から様々な規制を受けています。各国の研究機関で生殖毒性が指摘されていますが、研究結果によって毒性評価に差異があります。一部のフタル酸は発がん性の可能性があるカテゴリーに分類されています。 ※化学的には無数の構造を取るが、実際に規制されるのは法律により数種類。

[出典] フタル酸エステル類について|一般財団法人ボーケン品質評価機構

 

amazon等で販売されているPVCを使用したエアー注入型マットの購入者レビューを見ると、製品によっては「匂いはキツイです。」、「ゴム臭いに臭いがします。」、「臭いが気になり1週間ほど膨らませてほったらかしにしてました」とのコメントも見られます。

TPU製のマットに関しては、私は複数使ってきていますが、キャンプ使用で匂いが気になったこと1度もありません。(おそらく製品レビューでも匂いに関するコメントはほぼ無いと思います)

上記内容を見て気になる方は、TPUを使用したエアー注入型マットをおすすめします。

 

エアー注入型マットを長く使うために

エアー注入型のマットは、穴あきリスクを回避するため直接地面に置かない、のは容易に想像できますが、それ以外にもあまり知られていない取扱い上の注意点があります。

高温を避ける

PVCとTPUそれぞれの耐熱温度を調査すると、

  • PVC:65℃~85℃で軟化
  • TPU(ポリエーテル系):70~80℃程度で軟化

という特徴あり、どちらも高熱で軟化することがわかります。

キャンプ、登山でマットをバーナー、焚き火に近づけすぎると、溶着が緩んでエア漏れを起こす可能性があります。実例として、雪山登山の時にテント内でバーナー使用し、その放射熱で友人のインフレータブルマットがパンクしたことあります。

また、高温になる夏のテント内への放置も要注意です。真夏のテント内にインフレータブルマットを放置し、マットが剥離してしまった事例がyoutubeに公開されています。

剥離したのでメーカーに対応方法を確認した結果は以下の通りです。 マットレスは熱圧着により製造いたしますので、 熱に弱くちょっとした事でハクリの原因となります。 下記に注意事項を記載いたしますので お心あたりがございましたらご注意くださいませ。

・熱された岩・アスファルトの上での使用

・食器など熱いものを上に置く

・夏場のテント内、車内での長時間の放置

・濡れたままの保管

 

息で膨らますタイプは、カビ発生や加水分解に注意

エアー注入型マットの中には、マットのバルブに口を付けて息で膨らますタイプがあります。

透明なビニール袋に何度か息を吹き込むとビニールの内側が結露で白くなりますが、人間の吐く息は多湿のためマット内部にも多数の水分を送り込むことになってしまいます。

また、マットを口で膨らます時に下と向くと、唾液が入り込んでしまうこともあります。

セフルインフレータブルマットに息を吹き込む(膨らます)時の注意点

以上の原因で

  • マット内にカビが発生
  • 水分でマット内部が加水分解する

が発生し、マットの劣化を促進してしまうことがあります。

特にTPU(熱可塑性(ねつかそせい)ポリウレタン)は、性質上、加水分解します。

TPUには、

  • ポリエーテル系TPU:加水分解しにくい
  • ポリエステル系TPU:加水分解しやすい

があり、名の通ったメーカー品はポリエーテル系TPUが使われていると思われ(どのTPUを使っているかは基本企業秘密。公開しているのは限られたメーカーのみ)、加水分解しにくいと思われますが、起きにくくとも起こらない訳ではありません。

息で膨らますインフレータブルマットの場合は、自宅で空気の乾いた日に中のスポンジの膨らむ力を利用して内部を乾燥させるなど、定期的なメンテナンスをおすすめします。

最近では、マット内への水分が極力入らないように、別途ポンプを使って膨らます仕様になっているものも多数あります。この流れは、ユーザーがマットを長く使えるようにする、という理由もありますが、加水分解による劣化が多発するとメーカーに多数の修理・交換対応が発生して負担が増えるため、事前に劣化しにくい仕様にしているとも考えられます。

 

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