雪山・冬山の登山用の寝袋の使い方・選び方のポイントとおすすめ、寝る時の服装・装備例、シュラフカバー、マットの選び方について解説します。
主に登山向けですが、キャンプの方にも参考になる要素があると思います。
様々な内容について書いたために、ページ自体が非常に長くなってしまいました。
時間が限られている方は、関心のあるテーマから読めるよう、目次を作りましたので、ご活用ください。
著者PROFILE
経歴:大手アウトドアショップで寝袋・マットのコーナーを中心に約4年間の接客経験に加え、独自の調査・研究を重ね、寝袋・マットの情報を中心としたこのサイトを運営して10年以上。無積雪登山・雪山登山・クライミング・アイスクライミング・自転車旅行・車中泊旅行・ファミリーキャンプなど幅広くアウトドアを経験。(詳細プロフィール) 名前:Masaki T
初めに(雪山・冬山の登山は危険?)
雪山・冬山の登山は危険です。
そんなことは百も承知で、私は白銀の世界、凍りついた世界に仲間と共に足を踏み入れます。
2012年5月の富士山 アイゼンの刺さり具合を見ればわかりますが、早朝なのでカッチカチ!
日帰りならともかく、1泊テント泊や雪洞泊となると、もちろん氷点下の世界で寝ることになるので、十分な保温力を持った寝袋とマットが必須です。
私の個人的な経験と知識を元に、雪山・冬山登山の寝袋選びでよくある質問をまとめてみました!
(※雪山対応のマット選びに関してはこちらの記事を御覧ください。)
雪山・冬山は、夏や秋とどう違うの?
2月 八ヶ岳の裏同心アイスクライミング-大同心を背景に(リーダーT氏、私はフォロー)
夏山はともかく、3000m級の高山では春は残雪と氷点下の世界、秋でも晩秋は冬の始まりで氷点下の世界です。氷点下の世界になると、とにかく寒いです。厳冬期の冬山ともなると、-10℃以下が普通ですから、しびれるほど寒いです。しっかりとした防寒装備なしには、そこにとどまることができません。
積雪のある時期となると、防寒着含め、登山装備が違ってきます。アイゼン、ピッケルといった装備や寝袋もしっかりと中綿の入ったものを用意することになります。
実は私も雪山登山を始めて気づいたのですが・・・お金かかります。本格的な雪山登山でテント泊となると、夏の登山装備をそのまま雪山に使えないものもあります。
また、装備品も増えます。ピッケル、アイゼン(クランポン)、サングラス、ゴーグル、バラクラバ(目出し帽)、保温材入り登山靴、魔法瓶、スコップ、カラビナ、ハーネス、ゾンデ棒(プローブ)、ビーコン、GPS、ヘルメット、冬用の寝袋、シュラフカバーなど夏山では使わない装備や必須でなかった装備が雪山では重要性が増してきます。
当然、持ち物の重量も増えます。
私のザックは80リットルくらいで重量が約20kgになります。求められる体力も上昇します。
よく、Q&Aサイトで、「夏山をたくさん行っている人が本格的な冬山に行けますか?」といった質問を見ますが、
個人的には「求められる技術や知識が異なるものが多く、基本別物と考えたほうが良いでしょう。」と思います。
総合的な難易度は
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積雪のある山(雪山・冬山) >>>> 無積雪の山(夏山など)
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とおもいます(^^)
3シーズン用の寝袋は使えないのか?
代表的な3シーズン用寝袋といえば、モンベルの#3(快適温度が約0℃)
この質問も非常に多いです。
できるだけ今ある装備で雪山登山も・・・と考えるのはとても理解できますし、実は私もまだ装備がそろっていなかったころは3シーズン用の寝袋を2つ重ねて使用していました。1枚では当然、保温力不足でマズイですが、2枚重ねればそれなりにいけます。
ただ、この場合、
- 重ねたときの寝袋の保温力がわからない
- 何よりジッパー2個締めるのが大変
- 3シーズン用の寝袋を2枚重ねると窮屈になる(外側の寝袋の大きさで内側の空間が決まるため)
という、大変使い勝手が悪いことがわかりました。
その後、雪山登山用の寝袋を購入して実際に使ってみて 「ああ~、やっぱり専用のが暖かくて、使いやすい。結構値段したけど買ってよかった。」と感じました。
雪の中で寝るのは、今回1回限りか?と思われる方は、1つは自前の3シーズン用でもう一つは同クラスの保温力(最低3シーズン用×2です、夏用は僅かな保温力しかないため避ける)の寝袋を仲間から借りるなどして、2枚重ねで乗り切るのも1つの方法です。
その後、何度も雪山で宿泊する可能性があり、予算に余裕があるのであれば、ちゃんとした冬用の寝袋を用意するのがおすすめです。
選ぶ前に知っておきたい寝袋の温度表示の規格ISO23537,EN13537
山岳対応のマミー型寝袋には、規格による対応温度域が表示されている
寝袋を選ぶ前に、最近主流となっている寝袋の温度表示を解説します。近年、この寝袋の保温力の評価基準は大きく2つに別れています。
- 一つは、自社基準、その会社独自の評価基準による温度表示
- もう一つは、ヨーロッパ規格/ISO規格による温度表示
その昔は、日本で販売されている寝袋の多くが会社独自の評価基準の保温力表記が一般的でした。この場合は、メーカー間によって基準が違うため、A社の保温力0℃の寝袋とB社の保温力0℃の寝袋を同じ評価で保温力を検査したとき、差が出る可能性がありました。
しかし、近年、標準化規格が普及してきました。消費者からすると、この基準により寝袋の保温力がわかりやすいものになりました。(ただし、この規格はあくまで同じ方法で測定されたというだけです。実際の使い勝手、耐久性などは盛り込まれていません。)
■追記(2021/11/26)
欧州規格のEN13537は、2016年に国際基準の欧州規格のISO EN 23537として置き換えられました。以下、変遷です。
[規格の変遷]EN 13537:2002 (2002年公開)→ EN 13537:2012 (2013年公開)→ISO EN 23537:2016(2016年公開)近年、日本の寝袋メーカーにおいてはEN13537⇒ISO 23537と表記が変わりつつあります。
EN13537,ISO 23537とは?
シュラフに関する温度表記の算出について定義したものです。
T (comfort) 快適温度
一般的な女性(25歳/60kg/160cm)が快適に寝ることができる温度域です。
初心者ユーザーも快適に寝ることができます。
T (limit) 下限温度・使用可能温度
一般的な男性(25歳/70kg/173cm)がシュラフの中で丸くなり、快適に寝ることができる温度域です。
経験豊富なユーザーは、衣服や他の要素により最適な防寒性を得ることができます。
T (extreme) 極限温度
一般的な成人女性が6時間耐えられる等級です。健康上の問題が発生する危険があります。
極限の温度範囲であることをユーザーに警告するラベルです。
以上のように、主な温度表記は3種類(快適温度、下限温度、極限温度)あります。
寝袋を購入時に、参考とすべき温度表記は、快適温度、下限温度の2つです。極限温度はほぼ無視して問題ありません。(たまに初心者の方の中には、極限温度がこの寝袋の保温力かのように勘違いしてしまうこともありますが、とても危険です。極限温度は自分の体の限界を知っている登山のエキスパートの方が見る値です。)
見方の実例
それでは、快適温度、下限温度のどちらの基準にすればよいのでしょうか。実例を見て考えてみましょう。
国内のほとんどの厳冬期環境で使用可能な高機能モデル。DXの羽毛に超撥水加工を施した高品質で高機能ダウン(770FP)を採用し、最大の弱点・水濡れを克服。これまで選ばれてきた水に強い化繊の寝袋と比べ、軽く小さく暖かい。強い反発力で膨らむ時間も短縮され、寒さから早く身を守ることも実現。
- 快適使用温度 /下限温度:-7℃ / -13℃
- ダウン:スパニッシュダックダウン90-10% (770FP) 超撥水加工
- 生地:15dnナイロンシレ撥水加工
- 内部構造:台形ボックスキルト構造
- ダウン量:810g
- サイズ:レギュラー 最大長:210 X 最大肩幅80/cm(身長178cmまで)
- 収納サイズ:φ19 × 31cm 付属品:ショルダーウォーマー付
- 総重量:約1,260g
ナンガのUDD BAG 810DXは、快適(コンフォート)温度-7℃、下限(リミット)温度-13℃となっています。日本の2000m級の山は厳冬期になると最低気温が-15℃程度にはなります。ISO規格の測定では、マネキンに長袖と足首までアンダーウェアを着せて測定します。しかし、実際に雪山で人間が寝る時は、アンダーウェアの上にフリース着て、その上にダウンジャケットも着て寝たりします。
雪山のテント内で寝袋で寝るとき服装 例(2016/01/10 八ヶ岳)
理由は、テント内部が外よりも数度暖かいとはいえ氷点下です。アンダーウェアだけでは寝袋から出た瞬間、一瞬で体が冷えてしまうため、実際にはかなり着込んで寝ます。その為、快適(コンフォート)温度で選ぶと余力がありすぎるかな、場合によっては暑いのではと思います。
防寒着を着込む前提で、下限(リミット)温度を目安にするので、十分だと思います。ただし、この防寒着はジャケットだけでなく、ダウンパンツ、保温ソックスなど下半身までしっかり準備するのがおすすめです。
上半身が暖かくても、下半身が寒いと、全体として寒いと感じてしまいます。この感覚は、体全体の中の1本の歯が痛いだけで、痛いと感じてしまうのに似ています。行動中は何かに集中していると細かな感覚を感じにくいですが、寝ている時は敏感になります。
雪山で快適な睡眠を得るには、寝袋の保温力だけでなく、着込む防寒着、さらにはマットの断熱力がとても重要になってきます。
どの程度の保温力の寝袋が必要なのか?
雪山といっても、山の場所と時期と標高などの状況によって、最低気温が変わってきます。
基本的に雪山対応の寝袋は下記のように複数あります。
- 春山・残雪期用 ⇒ T (limit) ・下限温度・使用可能温度が-5℃~-10℃
- 厳冬期用 ⇒ T (limit) ・下限温度・使用可能温度が-10℃~-15℃
- 極地遠征用 ⇒ T (limit) ・下限温度・使用可能温度が-15℃以下
日本国内の厳冬期(1月~2月)に2000m級の雪山でテント泊するのであれば、外気温が-20℃~-15℃くらいにはなります。(天気、山の場所、標高によって大きく変わります)。残雪期のゴールデンウィークあたりの2000m級の春山ともなれば、最低気温が-数℃になるでしょう。(極地遠征用寝袋についてはこちらをご参照)
出典:イスカ
個人的な意見になりますが、雪山テント泊するのであれば、厳冬期でも対応できる保温力の寝袋がおすすめです。大は小をかねるで、厳冬期対応の寝袋を1つもっていれば、積雪期の雪山はこれでほとんど対応できます。
もちろん、春山には厳冬期用はオーバースペックで重いとかいう方もいますが、氷点下対応の登山用寝袋は、安いものでも4~5万程度します。厳冬期用と春山用の寝袋を2つ買うと、登山向けモデルであれば安いものでも10万程度かかるでしょう。
少しでも軽量化&荷物容量を小さくするため、行く山や時期によって寝袋を使い分けるのは、資金も登山経験も豊富な方向きです。すでに厳冬期モデルの寝袋を持っていて、残雪期にもう少し軽量化したいので春山用も追加購入する流れなら問題ないと思います。
雪山初心者で最初から春山の残雪期しか登らない、という方はほとんど聞いたことがありません(厳冬期も残雪期も何度か登って「私は残雪期で十分」となる方はいると思います)
因みに、私の山仲間で雪山登る人は、厳冬期対応の寝袋をってます。私は厳冬期用と春山向けの寝袋をどちらも持っていますが、正直、春山向けの寝袋は出番少なめ(寒いのがいやなので、微妙な温度・・・予報最低気温が-5~-10℃だと厳冬期用を持っていってしまう)です。
氷点下の世界で重要性を増すショルダーウォーマー
山岳用寝袋メーカーの3シーズン用モデルには、ほとんどショルダーウォーマー(ネックバッフル)が付いています。
これは、首元から冷気の侵入を防ぎ、自らの体温によって温めた寝袋内部の熱を逃さないようにするためのものです。実際に雪山で寝るとわかるのですが、ここをしっかり締めるか、締めないかで体感でわかるくらい保温力が変わってきます。
寝袋で寝ているとき、仰向けになったまま身動き一つせず寝れる方はどれだけいるでしょうか?
登山で疲れて、寝慣れない環境のため、途中で足を動かしたり、横向きになったりして動いたりします。その時、ショルダーウォーマーを締めていないと、バフーーっと寝袋内部の温まった空気が首元から抜けます。そして、次に氷点下の空気が寝袋内部に入り込んできます。もう、あっという間に冷えます。薄着で寝たり、手にグローブを付けていないと、すぐにわかります。しばらくすると、その空気も温まりますが、また寝返りをうつと同じ現象が起こります。そして、なかなか温まりません。
この現象は、夏などの暖かい時期には、それほど問題になりませんが、外気温が低くなればなるほど(体温と外気温の差が開くほど)、保温力低下につながります。
ショルダーウォーマーを締めると、首元から冷気の侵入を防ぎ、自らの体温によって温めた寝袋内部の熱を逃げを低減できます。締めて体を動かしても、まるで袋の口を閉じたかのように寝袋内部の空気が留まります。
このショルダーウォーマーの作りはメーカーによって差があり、個人的にはイスカは完成度が高いと感じます。
イスカのショルダーウォーマーのマジックテープ(デナリ900)
イスカのショルダーウォーマーは未使用時は右側のジッパーがある方のベルクロをじゃまにならないように収納でき、使用時(上下のショルダーウォーマーを連結する時)はかなりしっかりベルクロが密着するような作りになっています。
その他のメーカー、モンベル、ナンガなどはイスカと作りが違います。モンベルは近年の最新モデル(ハイエンドモデルのみ)からイスカと似た構造に変更されました(旧モデルは就寝中によく外れる)。
雪山で暖かく寝るためには、寝袋に付いている機能をしっかり使いこなすことも重要です。
冬山・雪山用のおすすめの寝袋(厳冬期対応)
ここでは国内の厳冬期に使える寝袋をご紹介します。
現在、厳冬期対応の山岳用の寝袋は大きく分けて4つのタイプに分類できます。
- ①中綿に高品質グースダウン(800FP程度)、最軽量生地を使用したもの(重量1.2kg程度、価格6万円程度)
- ②中綿に高品質ダックダウン(750~650FP程度)、軽量生地を使用したもの(重量1.5kg程度、価格4~5万円程度)
- ③中綿に化学繊維、軽量生地を使用したもの(重量2kg程度、価格2万円程度)
※FP(フィルパワー)は羽毛のかさ高性を現す単位です。数字が大きいほど単位グラムあたりの膨らみが大きくなります。数字が大きいほど高品質(少ないダウンの重量で保温力が得られる)になります。
重量と収納サイズの関係で、登山用で購入されるのは①、②がほとんとです。化繊の③を購入するのはキャンプや車中泊利用の方です。
登山では、長時間背負うのですから、同じ保温力であれば収納サイズがコンパクトで重量も軽いのが良いですが、雪山装備は寝袋以外も必要なため、①と②のどちらを選ぶかは、財布との相談になります。
経験上、経済力に余裕があり体力に自信が無い中高年層の方は①を選び、学生や体力もある20代の方は②を選ぶ傾向があります。
①中綿に高品質ダウン(800FP程度)、最軽量生地を使用した寝袋一覧
イスカ エア プラス810
【メーカー説明】厳冬期の3000m級山岳や、底冷えの八ヶ岳などに最適なモデルです。厳冬期用で着ぶくれが予想されることから、本体を大きめに設定しています。両サイドに独立したボックスを持つ舟形構造で、保温性は極めて高いです。
■ブランド名:ISUKA
■商品名:エア プラス 810
■カラー:パープル
■サイズ(最大長):84(肩幅)×208(全長)cm
■収納サイズ φ21×37cm生地
■素材:表/ナイロン100%、裏/ナイロン100%
■重量(平均):1,280g
■羽毛量:810g(90/10 800フィルパワー)
■生産国:日本■最低使用可能温度】-25℃(快適使用温度は、表示温度におおむね5~10℃をプラスした温度 メーカーHPより)
イスカは創業1972年の寝袋メーカーです。モンベルはさまざまな製品を広く展開しているのに対し、イスカは寝袋専業です。モンベルはストレッチ性が特徴なのに対し、イスカはまるで魔法瓶のように体を包み込む立体的な形状をしています。
2021年秋に製品がリニューアルされました。新モデルのエア プラス810(重量:1,280g)は旧モデルのエア 810EX(重量:1290g)の後継モデルになります。EN13537の温度表示をしていません。最低使用可能温度はおおよそEN13537の極限温度に相当します。そのため、リミット温度は-20℃~-15℃程度になると考えられます。
スペック表ではわからないような細かなところまでこだわりって作られています。また、冷えやすく暖まりにくくテントで寝るとテントの生地と足に挟まれて押し潰れやすい足元にはダウンを多く封入しロフトがでるよう調整されています。
イスカのショルダーウォーマーのマジックテープ(エアドライト860)
足元も良く出来ていますが、個人的には、ショルダーウォーマーのとめるマジックテープ(ベルクロ)の作りが秀逸です。しっかりと閉じることができ、就寝中に動いた時に勝手に外れることがほぼ無い設計のため、温まった空気の漏れと冷気の侵入を防ぎます。(※上の写真は下位モデルのエアドライトの写真ですが、エアプラス810とはダウンが違うだけで同じ構造です)
また使わない時はマジックテープのフック面をループ面と重ねて収納できるので、いつの間にかフック面に糸ゴミが溜まって連結力が低下しにくい構造になっています。
そして、イスカのショルダーウォーマーを締める紐として、ゴム紐が使用されています。モンベルやナンガでは伸縮性の無い細引きが使われていますが、経験上、ショルダーウォーマーの紐としては断然ゴム紐の方が使いやすいです。具体的には、寝袋に入って「さあ、これから寝るぞ~」となっても、「そういえば明日の天気はどうかな」、「喉が乾いた」、「鼻水がでてきた」など、手を外に出したくなるシーンが結構あるのですが、伸縮性の無い紐だと、その度に紐を締めてるコードロックを緩めて、用事が終わったらまた締めるの作業が発生してかなり面倒です。ゴム紐だと、伸縮性があるため、そのまま手を出してもゴム紐が伸びてくれるので、再調整の手間が省けます。
海外製の山岳向け寝袋では、ゴム紐が使われていることもあるのですが、なぜモンベル等が採用しないのか10年前ぐらいから疑問に感じていますが、もしかしたらゴムの経年劣化を気にして採用しないのかもしれません。(ゴムは劣化しやすいので、販売数に比例して潜在的な修理対応も増えます)
ゴムは劣化しやすい特性はありますが、寝袋は直射日光を滅多に浴びない製品ですし、使い勝手の面からは断然ゴム紐が優れています(フード側はどっていでもいいですが、ショルダーウォーマーは断然ゴム紐が楽)
この寝袋に限ったことではありませんが、雪山用の寝袋はかなりのボリュームがあり、一度使うとモコモコに膨らみ、「本当にこの収納袋に入るのか?」みたいな感じになります。収納には慣れが必要です。登山で使われる方は、行く前に一度練習した方が良いです。経験上、力が強いとはいえない女性の場合は入れるの厳しいかもしれませんので、同行の男性に手伝ってもらうか、別途、コンプレッションバッグ(圧縮袋)を購入した方が入れるのも楽だし、収納サイズも小さくなります。
ストレッチ性は無く体に優しくフィットする作りのため、ゆったり目サイズのモンベルと比べ、入ってすぐに暖かく感じると思います。
今までに利用者の声やネット上の使用者レビューを見てきていますが、モンベルの寝袋は登山やキャンプで広く支持を受けているのに対し、イスカの寝袋は玄人の登山者、山岳会に所属している方などから「とても暖かい」と高い評価を得ています。
以下、amazonのカスタマーレビューより。
質実剛健、渋い。(2021年8月24日):キャンプメインです。性能は全く問題なく冬も大丈夫です。ナンガとの比較で思うことは頭の余裕です。ナンガより頭部の空間に余裕があり中に小さい枕元挿入可能です。デザインは好みでしょうがナンガの日の丸遠征隊的なデザインにややダサさを感じる方はナンガでいいと思います。オシャレ感はないですが実を取るかっこよさを感じます。
810の紫は下品ではなくありな紫だと思います。単色なので二色使いよりすっきりして登山感が減るので外しのカラーとして北欧系のテントでもありだと思いました。
180cmでも普通に使えます。横の伸びはやはりモンベルに軍配。ナンガのブランド力にも負けますが質実剛健さがカッコいいモデル。イスカはまだ登山やアウトドアに興味ない方は知らない方が多いので持ってます優越感もあります。
また、エア プラス810(重量:1,280g)と同じ保温力で、ダウンのグレードを800FP(グースダウン)⇒750FP(撥水加工済みダックダウン)に変更し、売価も下がったエア ドライト860(重量:1330g)もあります。
登山用で少しでも軽く、という方にはエア プラス 810がおすすめですが、50gの重量差を許容できる登山者やキャンプ用途の方はエア ドライト860でも十分満足できると思います。
モンベル シームレス ダウンハガー800 #0
モンベル シームレス ダウンハガー800 #0[出典:モンベル]
- 【素材】生地:10デニール・バリスティック エアライト®ナイロン・タフタ[はっ水加工]中綿:800FP EXダウン
- 【重量】995g(1,027g) ※【重量】欄の( )内はスタッフバッグを含む総重量です。
- 【カラー】レッド(SURD)
- 【サイズ】R/ZIP(右ジッパー)、L/ZIP(左ジッパー)
- 【収納サイズ】∅18×36cm(8.1L)
- 【適応身長】183cmまで対応
- 【快適温度】 -6℃
- 【使用可能温度】 -13℃
- 【機能】RジッパーモデルとLジッパーモデルから選べます。(ジッパー長170cm)/ジョイント可能モデルとジョイントできます/ジッパースライダーには生地の噛み込みを軽減するパーツを取り付けています/スーパースパイラルストレッチシステム(内側に搭載:伸縮率最大135%)
- 【付属品】長期保管用の専用ストリージバッグ
保温力に比べて、非常に軽くなっている製品です。その軽量化を実現できた背景にはもちろん理由があります。
”スパイダーヤーン(SPIDER YARN)”と呼ばれる特殊な糸に一定量のダウンを保持させることにより、寝袋内部の隔壁(ダウンの偏りを防ぐためのメッシュ状の仕切り)を無くしています。
出典:モンベル
隔壁を無くすことにより、隔壁に使われるメッシュ生地を無くし、縫い穴も非常に少なくなったことにより、熱のロスも低減できるようになりました。ストレッチによる伸縮率最大135%も健在です。
一見、軽くて小さくて暖かくて、これでいいんじゃないか、と思いそうなところですが、この寝袋には事前に知っておくべき重要な内容があります。それは
約7~8割のダウンがどこにでも動く
先程のスパイダーヤーンで保持されているダウンは封入ダウンのおよそ2~3割り程度のようで、それ以外のダウンは隔壁で仕切られていないため、どこにでも移動できます。先日、モンベルの展示品を見た時、
になっていました。上記は3シーズン用の寝袋ですが、一緒に吊るされていた積雪期対応のモデルも同様の状態になっていました。
スパイダーヤーンがあるため、そこまで容易にダウンがあちこち移動するわけでわ無いですが、バフバフすると動きます。この構造の懸念点として、就寝中に動けるダウン(以下、フリーのダウン)が背中側に来てしまわないか、ということです。背中側に落ちてくると、ダウンは体重に潰されてほぼ保温材としての役割をしません。また、寝袋を洗濯したときにキレイにフリーダウンを分散させることができるか、という課題も残ります。正直、私が触った印象では均一にフリーダウンを分散させるのは、難しいと思います。
登山上級者で、ダウンをあえて上側(天井側)に寄せ、背面のダウンを少なくすることも可能かもしれませんが、その方法は寝袋ごと寝返りすると破綻するため就寝テクニックが必要です。
ジッパー側の断熱チューブが、以前はダブルドラフトチューブでしたが、シングルドラフトチューブに変更されています。確かに軽量化するにはシングルが良いですが、手がスポット入ると冷たいので、要注意です。
おそらく、2021年末がシームレス ダウンハガー800 #0が発売されて初シーズンとなります。正直、シームレス ダウンハガーをまだ使ったこと無いので経験的な話を書けませんが、今の時点でこの寝袋は玄人向きという印象です。
細かいことを気にせず普通に就寝したい方は、ダウンが隔壁で仕切られて寝袋全体としての保温力のムラができにくい製品を選んだ方が使いやすいと思います。その昔、モンベルがマルチボックス・コントラクションというダウンが偏らないように隔壁数を増やした寝袋を作っていた頃が懐かしいです。この新構造のシームレスダウンハガーが長期的に市場でどのように評価されていくのか、私も見守っていきたいと思っています。
ナンガ ウルトラドライダウンバッグ 810DX
- 快適使用温度 /下限温度:-7℃ / -13℃
- ダウン:スパニッシュダックダウン90-10% (770FP) 超撥水加工
- 生地:15dnナイロンシレ撥水加工
- 内部構造:台形ボックスキルト構造
- ダウン量:810g
- サイズ:レギュラー 最大長:210 X 最大肩幅80/cm(身長178cmまで)
- 収納サイズ:φ19 × 31cm 付属品:ショルダーウォーマー付
- 総重量:約1,260g
ナンガは永久保証が特徴の日本の会社です。(因みに、イスカ、モンベルも日本の会社です) 公式HPには、
ナンガのスリーピングバッグであれば「永久保証」の対象となり、期間を限定せずに永久に修理保証致します。[出典:ナンガ]
と記載あります。(因みにその他の国内メーカーが保証しないか、というとそんなことありません。特にモンベルは手厚すぎるのでは?と思うほどの保証で有名)
イスカやモンベルに比べると、際立った印象があまり無く、私の周りの登山関係者でもナンガの寝袋使ってる人がいないため、あくまで実物を確認しての記載になります。
気になる点は、
- ショルダーウォーマーのジッパー側に連結する仕組みが付いていない(モンベル・イスカはあります)
- ジッパーの裏側の断熱構造がシングルドラフトチューブ構造(イスカはダブルドラフトチューブ構造)
という点でしょうか。
ショルダーウォーマーは、ジッパー側に連結する構造が無いと、右肩に冷気が入りやすくなります。また、氷点下対応の山岳向け寝袋には、断熱力の無いジッパーの裏側にダウンのチューブ構造が覆いかぶさるように作るのですが、イスカやモンベルはダウンチューブがジッパーの両側についているのに対し、ナンガは上側のみに付いています。
これは他メーカーの寝袋の経験ですが、シングルのドラフトチューブだと、就寝中に手を動かした時にスポッ!とジッパーとチューブの間に挟まりやすく、そしてそこはとても冷たい場所なので、一気に手が冷えて寝にくかった経験があります。おそらくそういう理由もあって、イスカではダブルにしています。ダブルだとそういう現象は起きません。
個性的な点として、噛み込み軽減+蓄光機能のジッパーが使われているところです。寝袋の生地が避ける要因としてジッパーの噛み込みが挙げられますが、噛み込みしにくい構造で思わぬ生地裂けを予防できます。(僅かな生地裂けでもどんどんダウンが出てきます) 蓄光機能(消灯後に緑色に光るやつ)があるのも、なかなか面白いアイデアです。
ある寝袋のクリーニング会社のHPに、注文依頼のブランドの統計が掲載されています(こちら)が、1位モンベル、2位イスカ、3位スノーピークでナンガはシェア率はそれほど高くないようですが、ダウンの循環や羽毛の再利用についても取り組んでいるのが好印象です。
②中綿に高品質ダウン(750~650FP程度)、軽量生地を使用した寝袋一覧
イスカ エア ドライト860
- 【メーカー説明】厳冬期の3000m級山岳や、寒さの厳しい八ヶ岳などに最適なモデルです。撥水加工の高品質なダウン860gを使用し濡れにも強く、独自の舟形構造で保温性は抜群。本体を大きめに設定し、冬の着ぶくれに配慮しています。
- 最低使用可能温度:-25℃(快適使用温度は、表示温度におおむね5~10℃をプラスした温度 メーカーHPより)
-
生地 表/ナイロン100% 裏/ナイロン100%
-
平均重量 1,330g
-
羽毛量 860g(90/10 750フィルパワ-)
-
最大長 84(肩幅)×208(全長)cm
-
収納サイズ φ21×37cm
-
カラー パープル
上位モデルのエアプラス810にはグースダウンが使われていますが、グースダウンは元々水濡れに強く別途撥水加工の必要がないとのことです。それに比べ、ダックダウンは濡れやすく、その弱点を補うためダウンに撥水加工を施しています。
登山用で少しでも軽く、という方にはエア プラス 810がおすすめですが、50gの重量差を許容できる登山者やキャンプ用途の方はエア ドライト860でも十分満足できると思います。
厳冬期用の寝袋は使用期間が限られるため、しっかりメンテナンスすれば長く持ちます(私も2011年頃に購入した厳冬期用モデルが今も現役で使えます)。そのため、予算に余裕があり長期的に使う予定の方は、エア プラス 810も検討してみてください。
タケモ スリーピングバッグ 9
【生地】 表/ポリエステル100%、裏/ポリエステル100%【平均重量】 1420g【羽毛量】 900g(90/10 750フィルパワ-)【最大長】 内周囲(肩周り)165cm×208(全長)cm【収納サイズ】 φ22×39cm【カラー】 レッド【最低使用可能温度】-25℃(快適使用温度は、表示温度におおむね5~10℃をプラスした温度と思われます。)
タケモという2015年7月に設立されたメーカーをご存知でしょうか?国内登山用寝袋メーカーにて30年勤務した武本さんが”本物と呼べる良いものをより安く!”をポリシーに設立した寝袋メーカーです。
武本さんがどこの会社出身かは、寝袋の写真を見ただけで想像がつくかと思います。
スペック的に似通っている ”イスカ エアドライト860” と ”タケモ スリーピングバッグ9” を比較すると、タケモにはジッパー外側のフラップや頭部横の収納ポケットは無く、使われている部材(ショルダーウォーマーのゴム紐、コードロック)が簡素なものになっていますが、使われているダウンが750フィルパワーと同じです。その他、ショルダーウォーマーの位置が少し高めになっているなど細々としたところで違いがあります。
実は、武本さんとご縁あり、このスリーピングバッグ9のサンプルを提供していただき、私が実際に2016年の1月と2月の厳冬期の八ヶ岳登山で使ってみました。
結論から書くと、さすが国内登山用寝袋メーカーで長年勤務されていただけあって、そのエッセンスを大いに引き継いだ完成度の寝袋でした。
私はここ数年はモンベルの厳冬期用寝袋を使用したため、ストレッチしない他社の寝袋を使うと窮屈に感じるのではないか、と思っていましたが、実際にタケモ スリーピングバッグ9を使ってみると、広くもなく、狭くもない、必要以上のコールドスポット(冷えの原因となる隙間)が発生しない体を優しく包み込むような絶妙なフィット感に感心させられました。
実際に2つ雪山持っていって、比較しましたが、モンベルのような伸びはなく、そのままあぐらかくのも難しいですが、遊びが無い分、寝袋に入ってすぐに暖かいと感じました。
特に気に入ったのは、スリーピングバッグ9は、足裏のダウン封入量が非常に多く、ダウンの膨らもうとする力でパンパンになるくらい入っているのですが、それが素晴らしいと感じました。
どの寝袋メーカーも、”冷えやすい足先はダウンを増やしています”とカタログには書かれていますが、実際の封入量はメーカー間でかなりばらつきがあります。実際にテントで寝ると、寝る人の身長にもよりますが、寝袋の足裏部分のダウンは、テントの生地と足裏に挟まれてに潰されることとが多々あります。そうなる理由としては、山では平坦な場所といっても緩やかに傾斜していることが多く、頭を山側に(高い位置)にもっていくため、寝ていると下っている側(つまり足側)に徐々にずれ落ちること、また、頭側にテントの生地が近いと視覚的に圧迫感があり、テントの生地が風でバタつくのと距離置くため、頭側は余裕を開けて、足側に詰めがちになるためです。
足裏のダウンが押しつぶされると、当然断熱力が低下しますから、足裏が冷えやすくなってきます。ところが、タケモのスリーピングバッグ9は、足裏のダウンが膨らみきれないくらいダウンがパンパンに入っていて、多少足元に体がずれ落ちてきても、テントの生地をそのまま外側に押してしまうため、足裏がほとんど冷えない構造になっていることがわかりました。これは素晴らしい!
その後1年間、耐久性を試すためキャンプ等で何度もこの寝袋を使い続けましたが、羽抜けはほどんど無く、さすがの一言です。(ただし、まだ洗濯は1度もしていませんので、洗濯耐久性は未確認です)
この寝袋は、タケモのホームページに記載されているように
昨今の登山用品は素材、機能の進化それに掛かる宣伝費などにより益々、高価格になっています。Takemoでは登山用寝袋として最低限ではなく、必要十分以上の素材と品質、構造にこだわりながら、インターネット販売に限定することで徹底的にコストを削減し低価格を実現しました。個人事業ではありますが大企業に負けない最高品質の寝袋をお届けいたします。
を体現した、非常にコストパフォーマンスに優れた厳冬期用寝袋です。
ネット限定販売のため、実店舗での実物確認はできませんが、安心返品保証で不安を解消しています。
< Takemo(タケモ)の製品を安心してご購入していただくために! >ネット通販での購入には現物が確認できないという不安がつきものです。Takemoではご安心頂ける物造りを心がけていますが、ご購入後、万が一、商品が思っていたものと違い、ご満足いただけなかった場合、商品到着後、1週間以内であれば未使用のものに限り返品可能です。商品代金を全額、返金致します。但し、返品にかかる送料はお客様のご負担でお願いいたします。当ショップでご購入の場合は商品が到着後1週間以内にお問い合わせページのお問い合わせホームより返品の旨ご連絡ください。速やかに対応させていただきます。返品の商品が到着後、3営業日以内に全額、お客様の指定口座に振り込みさせていただきます。Amazonでご購入頂いた場合は商品到着後1週間以内にAmazonのアカウントサービスより返品リクエストしてください。Amazonの返品システムにより速やかに処理させていただきます。当社よりの直接の返金は出来ませんのでご了承お願いいたします。
タケモの寝袋は、タケモのホームページとamazonで販売しているようですが、なぜかamazonの方が安く販売されています。
決済システムも安心できますし、amazonでの購入がおすすめです。
以下、amazonのカスタマーレビューも非常に高い評価となっています。
コスパ良し!快適!(2016年1月16日):冬季のキャンプ用に購入。ISUKAのエア810EX購入寸前でこの商品を見つけ、HPで調べると元ISUKAの社員さんが立ち上げた新興メーカーの商品。良い物を安くというコンセプトで作られているということで、その気概をかって購入。
構造はISUKAと同じく、肩の部分と顔周りにドローコードがあり、肩から下は常にポカポカ、顔はどうしても外気に触れるので寒いですが、ドローコードで口だけ出せば余裕で眠れました。零下のキャンプではいつも寒くて眠れませんでしたが、オーバースペックもありかなり快適に眠ることができました。 それまではモンベルのダウンハガー#3(リミット0度)で震えていましたが、今回-5度のキャンプでは、上半身下半身薄手の下着と上着2枚ずつで暑いくらいでした。ただしシュラフに入る時点で足がかなり冷たくなっていたので、最初は寒いかなと思っていたのですが、結果的には夜中に暑さで目覚めることに。ドローコードを緩めました。 面倒くさがりなので、シュラフカバーをしなかったのですが、朝起きたらテント内が結露、口周りはビショニショなりましたが、濡れてしまうほどではありませんでした。シュラフカバー併用が推奨となっていますので、今後はきちんとカバーをして使用します。
強いてマイナスポイントを挙げるとすれば、モンベルのダウンハガーに比べ狭いです。あちらは自由度の高さがウリですから当たり前かもしれませんが、体勢を変えるときにちょっと気になりました。 キャンプをしていて寒さで眠れないとか、寝ていて寒さがしみ込んできて起きてしまうというのは苦痛です。かといって5万円超のシュラフをどれだけ使うのかというのも悩みどころ。
安くはないですがレベルの高い商品を、この値段で買えるというのは、まさに「良いものを安く」だと思います。スペック的にもエア810EXとそん色ありませんし、重量もこのスペックならこんなものでしょう。いつか雪中キャンプと思っているので、徐々にハードルを上げていって、このシュラフで乗り切りたいと思っています。コスパ良し(2016年5月8日):裁縫の丁寧さや形の良さ最高です。収納サイズは大きいですがしかたないですね。雪山の使用で悪天候にもかかわらず心強い味方でした。買って損なし(2016年12月24日):ここまでのスペックでこの値段は素晴らしいシュラフだと思います。I社やN社よりは知名度は低いが買って損はないと思う。
タケモは個人事業で運営しているため、生産数もそれほど多くないようで、頻繁に在庫がなくなってしまうようです。検討されている方はお早めに。
(2017/01/18時点では、amazonで17%OFFの34,000円で販売されていました。)
寝る時の服装(ご参考)
雪山のテントで寝るとき、いったいどんな服装で寝ているのか、初めての方だとなかなか勝手がわからないと思うので、私が実際に使っているの登山用品を掲載してみたいと思います。
きっと、雪山用の登山服選びの参考になるとおもいます。
上記写真は、実際に私が使用している装備です。(1枚1枚写真撮影して、切り貼り&縮尺してつくりました)。
ここ数年はこのレイヤリングが落ち着いています。
肌着、中間着、防寒着と分けていますが、肌着は雪山登山中も寝袋で寝るときも着替えること無く着続けます。
中間着もほとんど着て、めったに脱ぐことがありません。
防寒着は状況によって着たり脱いだりする衣類になります。
(購入年を記載して置きます。私が購入した時期と現在のモデルは多少異なっている場合があります。ただ、同じ名前の商品ですので、コンセプトはほとんど変わらないどころか、モノによっては進化していると思われます。)
肌着(ベースレイヤー、アンダーウエア)
肌に直接触れる肌着は、すべてメリノウールにしています。メリノウールは繊維の細いウールで、肌触りがチクチクしにくい(メーカーにより肌触りには差があります)です。メリノウールは、肌に触れて暖かい、汗濡れしても汗冷えしにくい、登山で数日着続けてもほぼ無臭、という優れた特徴を持つ天然繊維です。登山時の肌着は、夏場は速乾性が需要ですが、気温の低い雪山では薄着になれないことほとんどであり、速乾性とともに、濡れても冷たくならない性能が重要ですが、その点メリノウールは優れています。また、繊維特性により、-40℃くらいまで凍らないという特徴があると聞いたことがあります。私の山仲間のほとんどが雪山登山での肌着はメリノウール(厳密には主成分がメリノウール、強度を出すために化繊混毛など製品により異なる)を着ています。
①モンベル スーパーメリノウールM.W.ハイネックシャツ Men’s (2011年購入)
モンベルのメリノウール100%の中厚手のベースレイヤーです。中厚手は、暑すぎず、薄すぎず、とても使い勝手が良いです。ハイネックで首元まで暖かく、急な登りで汗ばんだときはジッパーを下ろせば胸元まで涼しくなり、体温調整しやすいです。伸縮性も結構あり、手元の実物を伸ばしてみましたが1,5倍ぐらい伸び、動きを妨げません。メリノウールといえど、多少チクチク感はありますが、慣れればこんなものかな、という感じです。2011年くらいに購入して、春、秋、冬の登山で何度も着用してきて、ウールの艶感はあまりありませんが、かなり丈夫でまだ現役です。価格も他メーカーより手頃なので、おすすめです。
②モンベル メリノウール インナーグローブ (2015年頃購入)
メリノウール95% の薄手のグローブです。雪山では寒すぎて素肌を露出できないですが、厚手のグローブだと操作性が落ちるため、薄手のグローブが活躍します。登山中や就寝時に着用します。肌が縫い目から透けるほどの薄さですが、メリノウールなので薄さの割に暖かいです。また薄いため、多少濡れても手の熱で湯気がでて、気がついたら乾きます。弱点は、あんまり耐久性がないことです。特にゲイターの着脱でマジックテープを触るとはりつき、一気に摩耗します。実はこのグローブは2代目で、初代は指先に穴が空いてしまったため、指先を切って使っています。薄手のグローブは消耗が早いですね。それでもこのモンベルのメリノウール インナーグローブは価格が1000円くらいで、他メーカーに比べてかなり手頃です。手の形が合えば、おすすめです。現在はスマホ対応したモデルしか無いようですが、それでも1500円程度です。
③モンベル スーパーメリノウールM.W.タイツ Men’s (2014年購入)
モンベルのメリノウール100%の中厚手のベースレイヤーです。春夏秋冬履いているため、初代は膝に穴が空いてしまったため、現在2代目を使っています。非常に伸びがよく、動きを妨げません。私は直接タイツ1枚をはいています。しかし、多少のチクチク感があるため、陰部にあたるのが気になり、その下にパンツをはく方もいます。これも他社に比べ、コストパフォーマンスに優れています。
④スマートウール PhDアウトドアヘビークル (2015年購入)
主原料がウールの登山用ソックスです。これも初代が摩耗したため、2代目になります。春夏秋冬の登山で活躍しています。厚手で保温力があり、フィット感が非常に良い優れているため、登山靴の中でダブつくことがありません。非常におすすめです。
中間着
中間着は、通気性と保温力のバランスが良いものがおすすめです。
⑤マウンテン・イクィップメント フラッシュビーニー (2014年購入)
表地ウール50% アクリル50% 裏地ポリエステル100%のニット帽です。就寝時や登山中にかぶったりします。そこそこ厚みがありますが、その上からギリギリヘルメットがかぶれる程度の厚みです。何度も使って思ったのですが、もう少し薄手のニット帽でも良かったのかな、と感じます。また、私は頭が大きいのか深くかぶってもギリギリ耳が覆える大きさでちょっと使いにくいです。薄手で耳の部分がしっかり覆えるような形状ニット帽がある(例えば マムート マカイ アドバンスドビーニーのような )ので、そのようなタイプの方が良かったかな、と思っています。
⑥パタゴニア メンズ・R1フーディ (2012年購入)
薄手でのフリースですが、雪山登山用として非常に高い完成度です。元々は、登山ガイドの友人から「え?これ使ってないの?素晴らしいよ!」と紹介されて購入しました。私は他にもパタゴニアR3ジャケットやその他メーカーのフリースも持っていますが、最近は雪山行くときはほぼR1フーディを着ています。この製品の素晴らしいところは、フードと親指用ループです。フードは簡易的なバラクラバの役割を果たし(強風時はこれでは厳しい)、使わず首元に降ろしているときはネックウォーマーの役割を果たします。生地が薄めなので、首元でダブついていても嵩張らず、上着と干渉しにくいです。親指ループは、グローブとジャケットの間に僅かにできる隙間からの冷気の侵入を防ぎます。実際に使うとわかるのですが、様々な点で完成されたフリースです。非常におすすめです。
⑦マムート クロスオーバー2in1 アドバンス・パンツ (2013年頃?購入)
マムートのジップオフ(ひざ上にジッパーあり、ショートパンツにもなる)タイプのパンツです。雪山用ではなく、3シーズン用のパンツです。アンダータイツを履けば、3シーズンようの登山パンツでも、問題なく雪山で使えます。100化繊ですが、綿のように優しい肌触りで伸縮し、ウエスト周りのゴムの伸縮もよくできていて、膝も立体裁断で膝を曲げやすく、気に入ってます。残念ながら、現在は生産中止のようです。
防寒着(インサレーション)
防寒着は、登山中に着たり着なかったり、またはテントにいるときや、就寝時に着用します。氷点下の世界では、体を動かしていないとあっという間に体温が奪われますが、しっかりとした防寒着を用意すれば暖かく過ごせます。
⑧パタゴニア ダスパーカ (2015年購入)
登攀者向き(登山でももちろんOK)に設計された、化繊の防寒着です。化繊ですが、まるで厚い空気層で保護されているかのように暖かいです。それまではダウンの防寒着を着ていたのですが、このダスパーカを着用してから、化繊でもこんなに暖かいのか、と驚愕しました。化繊なので、水濡れでも保温力が低下しにくく、化繊なので、万が一生地が裂けてもダウンジャケットのように羽が飛び散ることもありません。最近はアイスクライミングのため雪山に入ることが多く、私の用途にはこのダスパーカが最適だなと感じます。ただ、その保温力の高さゆえ、これを着用して寝袋で寝ると、汗だくになります。寝はじめのときは体も暖かく、気温もそれほど落ち込んでいたいため、ジッパー開けて保温力を下げて寝ます。深夜には気温もぐっと下がるため、寒さで目が冷めて、ジッパーを締めて、寝袋のショルダーウォーマーも締めて再度寝ています。ダスパーカは、体とのフィット感が非常によく、無駄な空間が空きにくいです。非常におすすめです。
⑨モンベル OutDryアルパイングローブ (2011年頃購入)
登山中に主に使用するものですが、あまりに手が冷えてしまったときに寝袋内でも着用することがあります。寝ていて熱くなったら、寝袋内で脱いでしまうこともあります。モンベルのアウトドライのグローブは、インナーのウールグローブと完全防水のアウトドライのオーバーグローブを分離できて、非常に使い勝手が良いです。また、2011年頃に購入したのですが、今現在までバイクや登山、クライミングで酷使しているため、手のひらの皮がかなり摩耗してていますが、現役です。アウトドライがこれほどの耐久性があるとは予想していませんでした。透湿性もあるので、蒸れにくく、3レイヤーのゴアテックスグローブのようなごわつきもありません。このグローブは完全防水グローブとして、かなり優秀です。
モンベルの海外向けのダウンパンツで、モンベルショップで発見して購入しました。800FPのダウンを封入しています。オーバーパンツのように、両サイドにジッパーが付いていて、登山靴を履いた状態でも着脱できます。また、摩耗しやすい膝や尻部分の生地は補強されいて耐久性も高めている、凝った作りのダウンパンツです。モンベルが日本で販売している、同程度のダウンパンツは、両サイドにジッパーが無く、部分補強が無い分、軽量なスペリオダウンパンツになります。
⑪モンベル エクセロフト フットウォーマー (2011年頃?購入)
登山上級者の方から、「これいいよ。みんなこれ使ってるよ。」と言われて購入した防寒ソックスです。テント泊だけでなく、山小屋に宿泊したときも使っています。正直、履いても暖かいというより、冷たくはなりにくいという感じです。化繊のボリエステルの中綿なので、ダウンのフットウォーマーのように気を使う(足で踏むものですから)必要がありません。(ダウンの方が暖かいと思いますが)。洗濯も中性洗剤でできますので、扱いやすいです。夜中にトイレでテントから出るときに、登山靴に履き替えるのが面倒で、このフットウォーマー履いたまま凍りついた雪の上を歩いたりしてますが、今のところ避けること無く、結構丈夫なんだなと感心します。ただ、ソールは無いため斜面ではかなり滑って転倒しそうになりますので、要注意です。
雪山で寝るときにこんなに着込んで寝るのか、と驚かれるかたもいると思います。寝袋の保温力が十分に高ければ中間着だけで寝ることはできるのですが、これほど着込むのには単に暖かく寝ること以外にも理由があります。
それは夜中や朝方のトイレです。雪山では標高の高さによる高山病予防と、乾燥による脱水症状を防ぐため、積極的に水分を取ります。その結果、夜中にトイレに行きたくなってしまうケースが多々あります。
例えば、中間着のみで寝袋で寝ていると、トイレに行こうとして寝袋を出た瞬間にあっという間に氷点下の冷気で体が冷えてしまいます。寒い寒いと防寒着を着ようとしても、防寒着自体が氷点下の場所で置かれているため、着るとさらに体が冷えます。そんな状態で、さらに空気も凍るようなテントの外へ行くことになるのです。寝起きの状態は体がそれほど発熱していませんから、これほど体温が奪われると、それを回復するのに寝袋に戻っても時間がかかります。
そのため、寝袋から出ても体温を維持しやすい防寒着を着て寝るのが一般的で理にかなっています。
あまりに保温力が高い衣類を着ている(ダスパーカのような)と、寝て間もなく多量の汗が出てしまいます。寝始めは、テント内の温度がそれほど下がっておらず体もそれなりに発熱していますから、寝袋に入ったときにジッパーを完全に締めずに寝て、保温力のバランスを取ります。そして、夜中や朝方になると猛烈に冷え込んできますから、そのときに寝袋のジッパーを締めて、ショルダーウォーマーも締めます。
このような保温力調整は、何度も雪山宿泊の経験を重ねていくうちに、わかってくると思います(^^)
シュラフカバーは必要なのか?
2泊以上のテント泊するならあった方が良いと思います。
1泊でも、できれば用意したほうがいいでしょう。
それは、
- ダウンは濡らすと保温力が低下。しかも氷点下の世界なので、ほぼ乾かない。
- 雪山はテント内で過ごす時間が多く(外寒いのでほとんどテント内にいます)、飲み物をこぼす、鍋をこぼすなどで寝袋をぬらすリスクが高い。
- テント内のバーナー使用でテント内の凍っている結露が水滴化し、マットが濡れる。当然その上の寝袋も濡れる。
という理由があるためです。
雪山で一度テント泊を経験すると、いかに濡れやすい状況なのか、よくわかると思います。
2012/02/21 厳冬期谷川岳の雪洞(雪の洞窟)で寝る私。寒いので鼻と口しか出しません。シュラフカバー付けているので中の寝袋がわかりませんが。。。
最近販売されている登山用寝袋は、生地にが撥水加工されているものも多いです。そのため、少しくらいの水滴の付着などは撥水して濡れません。
しかし、垂れた水滴でマットに濡れるともうダメです。撥水加工の寝袋を濡れたマットの上に載せて、寝袋内に人が入ると、寝袋がマットと体に挟まれ生地に圧力がかかるため、水が染みてきて、ダウンも濡らし、保温力を低下させます。
厳冬期に谷川岳の避難小屋に宿泊したときは、小屋上部から壁を伝って水滴がポタポタと流れ続けている状況で、シュラフカバーのお陰でベチャベチャに寝袋が濡れずにすみました。仲間の分も持っていったのですが「とても助かりました。」と言われました。
2014/02/27 谷川岳の雪に埋まった熊穴沢避難小屋で1泊。小屋内が換気していない風呂場のように結露。水が壁をつたって沢山落ちてくる。。。
雪で囲まれていというのは、温度が変われば水に囲まれているということです。温度は調理等でバーナーを使えば瞬時に上昇し氷を溶かします。
テント内部は1泊すれば、結露でかなり濡れます。
また、寝袋が綺麗な水で濡れたのなら乾かせば綺麗になりますが、鍋の汁などで濡れてしまったら、後始末が面倒です。
シュラフカバーを付ければ、外部からの濡れによる保温力の低下、汚れの付着を気にせずにいられます。(唯一気にするのは、ちゃんとカバーがかかっているかぐらいです)
私の場合は、1泊のテント泊でもシュラフカバーを持っていくことが多いです。
2泊以上の場合は、よほど軽量化を気にしなければならないような場合を除いては、必ず持っていきます。
⇒ シュラフカバーの選び方についてはこちらに詳しく書いています♪
雪上のテント内に敷くマットはどれがいいのか?
基本的にどのような状況でも安定した断熱力を発揮できる発泡マット(クローズドセルマット)をおすすめします。
逆に、収納サイズが小さくなるエア・インフレータブルのマットはパンクのリスクがあるため、そのリスクを十分に理解した上で利用することをおすすめします。
2019年12月に今までの集大成として「【雪山・冬山登山】の寝袋マットの選び方(積雪期)」として丁寧に記事にまとめ初めました。
[目次]1 最初に
1.1 雪山のテント・雪洞泊の特徴
2 クローズドセルマットとエアー注入式マットのどちらを選ぶか
2.1 クローズドセルマットは絶大な安心感がある
2.2 エアー注入式マットはパンクリスクが拭えない
2.3 雪山のテント・雪洞泊で求められるマットの断熱力
3 雪山のテント・雪洞泊のマット選び
3.1 クローズドセルマットのみ
3.2 クローズドセルマット+エアー注入式マット
3.3 エアー注入式マットのみ
このページ同様にかなりの記事ボリュームになっています。雪山でのエアー注入式マットのパンク・エア漏れ事例、南極遠征のマット選びについても掲載しています。
⇒ 「【雪山・冬山登山】の寝袋マットの選び方(積雪期)」の記事はこちら
テント内でバーナーを使っていいの?
よくテント内でのバーナー(コンロ、ストーブとも言う)使用は危険なので良くないとあります。
それは本当で、テント内でバーナーを使うと、
- バーナーの火がテントや周辺の物に引火し、火事になる
- テント内の換気不足により一酸化中毒になる
といった事故が起こりえます。
そのため、テント内でバーナーを使わないのがベストです。
特に無積雪期であれば、テント外でバーナーを使うようにするのがよいと思います。
ただし、雪山となると・・・
えっ?外でバーナー使う?うそでしょ!?
私は何度も雪山に足を運んでいますが、テントの外でバーナーを使って煮炊きしている人を1度もみたことがありません。
そして、私も仲間もすべてテント内でバーナーを使用します。
雪山でのテントの中を大公開! 真ん中の人のマットが犠牲になるのは毎度のこと。 靴下はバーナーの周りに置けば乾く。
上記のようなリスクがあっても、雪山はとにかく寒いです!
バーナーの熱はテント内の温度を上げるため、氷点下の世界をあたたかく過ごすための熱源となります。
まさにストーブの役割を果たすわけです。
もちろん、テント内でのバーナー使用には細心の注意を払っています(^^)
雪洞(雪の洞窟)内の場合は換気に注意!
余談ですが、雪山での食事はほとんど鍋です。
大量の水分と調理の手間が少なく、体が温まる鍋は、雪山の食事の定番です☆
最後に
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
あれもこれもと、いろいろと書いているうちに非常に長いページとなってしまいました。
皆様が、安全に登って無事下山し、自然の中を歩いた心地よさ、仲間と語り合った思い出、白く輝く神秘的な世界に浸った体験とともに、自宅に帰還できるようお祈りして、このページを終えたいと思います。
著者PROFILE
2009年末から寝袋と関連装備に特化したこのサイトを開設。いつの間にか運営10年を超える老舗サイトに。ファミリーキャンプから無積雪期登山、厳冬期登山、バイクのキャンプツーリングに自転車旅行、車中泊など、アウトドアを幅広く経験。寝袋の宿泊数は100泊以上~500泊未満。狭い業界ですが、まだまだ知らないこと沢山あり、日々勉強中です☆
谷川岳の雪洞で宿泊
今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。
雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)
雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。
自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。
楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆
寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。
キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。
『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。
これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。
『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。
テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆