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<2023年更新!>近年、保温力表示規格としてISO23537(ISO国際規格)、EN13537(欧州規格)が広く採用されるようになっています。そこで温度範囲(快適温度・コンフォート温度/使用可能・下限温度・リミット温度/限界温度・エクストリーム温度)、測定方法、普及の影響、個人的な意見、盲点などを調査してみました。

  

メーカーにより、Limit temperatureが使用可能温度or下限温度orリミット温度と異なるため、わかりにくいです!

■追記(2020/04/24)

欧州規格のEN13537は、2016年に国際基準の欧州規格のISO EN 23537として置き換えられました。以下、変遷です。

[規格の変遷]

EN 13537:2002 (2002年公開)→ EN 13537:2012 (2013年公開)→ISO EN 23537:2016(2016年公開)

近年、日本の寝袋メーカーにおいてはEN13537⇒ISO 23537と表記が変わりつつあります。

 

EN13537とは?

ヨーロピアン・ノーム(EN)とはEU諸国間における工業製品の基準となるもので、EN13537は寝袋・シュラフの保温力表示を統一するためにEU諸国で決められた温度評価の規格です。

 

POINT

今までは各メーカーが独自の方法で算出されていた使用温度を、同一基準で示すことができます。検査は認定された第三者機関が行う公平なもので、各メーカーの独自基準に基づく使用温度表示とは一線を画すものといえます。

 

 

  

そのため、EU以外の日本メーカーでもこの温度評価を採用するようになってきています。

温度範囲

  

3つの温度範囲で示されています。

元は英語表記ですが、日本ではそれぞれの温度範囲の名称がメーカーによって異なる(日本語訳・英語の日本語読み・英語)ため、すべて記載しておきます。

快適温度・コンフォート温度(Comfort temperature)

一般的な女性(25歳/60kg/160cm)が快適に寝ることができる温度域です。
初心者ユーザーも快適に寝ることができます。

使用可能温度・下限温度・リミット温度(Limit temperature)

一般的な男性(25歳/70kg/173cm)がシュラフの中で丸くなり、快適に寝ることができる温度域です。
経験豊富なユーザーは、衣服や他の要素により最適な防寒性を得ることができます。

限界温度・エクストリーム温度(Extreme temperature)

一般的な成人女性が寝袋の中で丸まった状態で6時間耐えられる温度域です。健康上の問題が発生し、場合によっては死に至る恐れがあります。
極限の温度範囲であることをユーザーに警告するラベルです。

 

測定方法

ヒータと温度センサーが取り付けられた等身大のマネキンを利用します。

出典:NoZipp

温度センサーが装着されたマネキンに、長袖と足首までアンダーウェアを着せ、シュラフに寝かせ、キャンプ用のマットレスの上に乗せます。マネキン内側の5箇所の温度が測定され、放熱の度合いを計測します。計測された温度と人工気象室の気温を計算式にあてはめて値を算出します。シュラフの保温性能は単純な中綿の量だけでなく、布地の種類や厚み・ジッパー等にも影響を受ける為、テストではこれらを総合的に判断します。

この測定における一般的男性は身長173cm体重73kgの25歳、一般的女性は身長160cm体重60kgの25歳となっています。

その他

ENテストは、一定の条件下でのテスト方法を標準化しました。しかし、スリーピングマットの品質、衣服、湿度などによって、実際の状況とは大きく異なります。短期間のテストでは、長期的な品質を測定できません。厳しい条件下で複数日にわたる行程での防寒品質は測定できません。また、そのほかにもマネキンではシミュレーションできない多くの要因が防寒に与える影響があります。このような要素には、発汗、年齢、浅い眠り、栄養、体力などがあります。

 

EN13537の普及の影響

消費者が各社の寝袋・シュラフを比較する目安になる

EN13537が普及するまで、日本で販売している寝袋の多くが各社の独自基準の温度評価だっため、異なるメーカー間の製品比較がほぼ出来ない状況でした。

2013年からイスカが一部モデルでEN13537の温度評価を掲載するようになり、2014年から国内大手のモンベルやナンガがEN13537を主力モデルで採用するようになりました。(それまでカタログ表記が切りの良い数字だったのが、EN13537採用後に数℃ずれた温度表記になったのを鮮明に覚えています)

温度評価は、寝袋選びの主軸です。EN13537の普及で、消費者も選びやすくなったと思います。

 

EN13537に関する個人的な意見

体感温度はヨーロッパ人基準

私がEN13537に少し違和感を感じたのは、とある海外メーカーの雪山向けの寝袋を2014年に入手して実際に使った時でした。

  

何度か使用して、「うーん、これは本当に氷点下対応(リミット温度-11℃)か?緑広がる季節なのに、うっすら足元が寒い。」

妻にもこの話を伝えたら「なんか暖かく無いよね」と同じ意見がでてきて、やっぱりそうなんだろう、と感じるようになりました。

海外の老舗メーカーの製品なので、縫製も作りもしっかりしています。たまたまその製品が個体差でそうなのか、設計通りなのかはわかりませんが、その違和感を長いこと抱いていました。

そしてEN13537を採用していない国内メーカーの寝袋を雪山で使ったある時、「EN13537はヨーロッパ基準だから、日本人の体感温度と違うんではないだろうか」と頭に浮かんだのです。

 

実際、ヨーロッパの地中海周辺を覗いた地域は、日本より涼しく、そこで進化してきている人種(白色人種など)は日本人よりも寒さに強いといわれています。

 

経験談

私は過去、日本の山で白色人種を見かけたことがありますが、明らかに服装が違います。日本人なら寒くてフリースやハードシェルを着るような状況でも、平気な顔で半袖や半ズボンで登っていたりします。この人種間の体感温度の違いは、多くの外国人登山者が訪れる富士山で、鮮明に感じることができます。

 

POINT

EN13537は、日本人と体感温度の違うヨーロッパの方々を基準に作られた寝袋の温度評価です。

そのため、EN13537の温度評価の数値をそのまま日本人に当てはめるのは無理があるかもしれません。

 

  

参考内容ですが、日本人と欧米人では、快適なエアコン温度設定が3~4℃違うそうです。

 

EN13537の盲点

寝袋サイズを小さくすると結果が良くなる

  

国内の寝袋メーカー方から直接聞から「EN13537は寝袋サイズを小さくすると結果が良くなるんですよね」と聞いた時、「そんな抜け道みたいのがあるのか」と感じました。

サーマルマネキンの体格ピッタリに作ると、温度評価が良くなるということのようです。(逆に、マネキンより遥かに大きいブカブカの寝袋で評価するとマネキンと寝袋間に保温しにくい空間ができるため、なかなか温まらなく評価が下がる)

 

経験談

実は数年前にとある海外メーカーの冬季用の山岳寝袋に入ったときのことです。スペックは良いですが、実際入って肩幅が狭いと感じました。通常、冬季用モデルは、ダウンジャケット等を着込んで寝袋に入るのを想定して横幅にゆとりがあるのですが、これはフリースを着て入っただけでピッタリでした。私は確かに肩幅広めですが、今まで様々なメーカーの冬季用寝袋に入ってきて、こんなにキツイと感じたのは初めてでした。

  

寝袋の形状を細身すれば、使用する中綿・生地が減り、軽量かつEN13537の温度評価も良くなるかもしれませんが、実使用で快適性とは別の話に感じます。

注意点

同じような生地、ダウンを使用して、同じ保温力であればそれほど重量も変わらないはずです。スペックが他社より良すぎるものは、横幅を確認するか、実際に店頭で入って身体に合っているか確認すると良いでしょう。

 

マイナス18°C以下では正確に測定できない?

マウンテンハードウェアのホームページに以下内容が記載がありました。

マウンテンハードウェアでは、華氏0度°C(摂氏約マイナス18度°C)以下の温度に対応するスリーピングバッグには、ヨーロピアンノーム温度評価基準を利用していません。それは、ヨーロピアンノームにおけるテストの性格上、華氏0度°C以下の温度域では精度が正確でなくなるからという理由です。

 

最後に

また、欧州規格のEN13537は、2016年に国際標準化機構のISO 23537として規定されています。

各メーカーの表記が、EN13537ではなくISO 23537に置き換わってきています。

 

参考リンク

EN13537

寝袋メーカーのEN13537の説明

この記事を書いた人寝袋選びで大切なこと寝袋とマットは2つで1つ

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著者: Masaki T

2009年末から寝袋と関連装備に特化したこのサイトを開設。いつの間にか運営10年を超える老舗サイトに。ファミリーキャンプから無積雪期登山、厳冬期登山、バイクのキャンプツーリングに自転車旅行、車中泊など、アウトドアを幅広く経験。寝袋の宿泊数は100泊以上~500泊未満。狭い業界ですが、まだまだ知らないこと沢山あり、日々勉強中です☆

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雪山 クローズドセルマット

谷川岳の雪洞で宿泊

今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。

雪山 テント泊 八ヶ岳

雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)

雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。

自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。

楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆

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山岳・登山用の寝袋マットの選び方の基本(無積雪期)

寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。

キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。

『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。

これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。

登山ルート上のキャンプ場・テント場

『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。

テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆

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