情報が一部古くなったので、2020年用に更新しました
モンベル(montbell)は1975年創業の日本のアウトドア総合メーカーです。
今や、登山者に限らずあらゆるアウトドア愛好者が一度は耳にするメーカーではないでしょうか?
そのような起業の背景もあり、モンベルのマミー型の寝袋・シュラフからは非常に高いこだわりが伝わってきます。
モンベルの寝袋の特徴はずばり 伸びる!!!
これに尽きます。
実際に
- 「2009 Editor's Choice Award」(エディターズ・チョイス賞)
- 「2010 Gear of the Year」(ギア・オブ・ザ・イヤー)を受賞
- 「2011Mountain Standards award」(マウンテン・スタンダード賞)
など、数々の賞をとっています。
まず、一般の人がモンベルの寝袋のカタログを見ると、そのラインアップの豊富さに驚くことでしょう。
お店に行ったら、寝袋がずらーっと並んでいて
「こんなに寝袋がたくさんある!すごい!」となるかもしれません。
この多種多様の寝袋を前にして、「えーと、・・・一体何を選んだらよいのだろうか。。。」となり、店舗においてある無料の寝袋のパンフレット片手に、自分なりに調べて見ても、初めて見る情報と量が多すぎて結局何を選んでよいかよくわからない。。。
となる方、今までたくさん見てきています。
大丈夫です。迷うのが、普通です☆
私自身も、この商品分類を経験を伴って理解するのに1年以上かかっています。
(山仲間の感想を身近に聞いてきた経験や、私自身がキャンプ、車中泊、夏秋登山、雪山登山等で、モンベルの寝袋を何度も実際に使い続けて、ようやく腑に落ちて理解できるようになりました。)
このページでは、モンベルの寝袋・シュラフ(山岳系の方々は寝袋のことをシュラフと呼ぶ方が多数いる)の選び方を、初めての方にもわかりやすいように、お伝えしていければと思います。
(P.S. 私自身、本格的にモンベルの寝袋の変遷を見続けてまもなく10年になります。もうそんなに経過したか、と感慨深い想いが湧いてきます)
新着情報
モンベルの寝袋の選び方をご紹介する前に、新着情報を簡潔にお伝えしたいとおもいます。
2020年
隔壁無しのスパイダーバッフルシステム
隔壁無しのスパイダーバッフルシステムを採用した、2モデルが発売されました。
- シームレスドライダウンハガー900(表地:ゴアテックス(防水)、中綿:900FPダウン)
- シームレスダウンハガー900(中綿:900FPダウン)
この2モデルは、”スパイダーヤーン(SPIDER YARN)”と呼ばれる特殊な糸に一定量のダウンを保持させることにより、寝袋内部の隔壁(ダウンの偏りを防ぐためのメッシュ状の仕切り)を無くしたモデルです。
出典:モンベル
隔壁を無くすことにより、
- ダウンのロフトを最大限活かせる
- 表地に針穴がほとんど無くなる(保温力アップ)
- コールドスポットができにくい
という3つの特徴が得られる、とカタログに記載されています。
出典:モンベル
私自身も展示品で確認&試着しましたが、ハイエンドモデルのため、価格が高く、とても個性的な寝袋でした。その個性をわかった上で使える玄人向きの寝袋と感じました。
詳しくはこちら ⇒ 「【隔壁無し】モンベル シームレス(ドライ)ダウンハガー900試着体験記、気になった点」
中綿ダウンのモデル、モデルチェンジ
2020年になり、中綿がダウンの寝袋のメーカー型番が変更になり、スペックも微妙に変わっています。
メーカーに問い合わせたところ、主に2点の変更があるとのことでした。
- 寝袋のフード部分の形状変更 (保温力アップ)
- ジッパーのフラップ形状を変更 (保温力アップ)
また、実物を確認したところ、2020モデルの中綿ダウンモデル(ダウンがハー900,800,650等)から
- ジッパーに『生地の噛み込みを軽減するパーツ(YKK製)』
が取り付けられています。(カタログにも記載されています。化繊モデル(バロウバッグ)は付いてません)
モンベルの寝袋は収縮する構造上、どうしてもジッパーが生地に噛み込みしやすかったですが、今回の変更により、より開閉しやすくなるだけでなく、生地裂けリスクも軽減されるでしょう。
ダウンハガー650モデルの生地変更、軽量化へ
2019年モデルまでは生地に40デニール・ナイロンが使われていましたが、2020年モデルより30デニール・ポリエステルになり、ダウンハガー 650#3では旧モデル858g⇒新モデル720gと138gも軽量化されました。
肌触りも、旧モデルよりサラサラしていて、例えるなら絹のような触り心地になっています。(上位モデルのダウンハガー800に若干近いさわり心地です)
この変更に伴い、650モデルも十分登山用途で許容できる重量になったと思います。
アルパインダウンハガー650モデル無くなる
寝袋の中綿に650FPのダウンを使用したアルパインダウンハガー650(伸縮率120%)がラインナップから無くなりました。(伸縮率135%のダウンハガー650モデルは続いています)
1割程度、価格上昇
2019年度のカタログに掲載されていた価格に比べ、2020年度の価格はおおよそ1割程度価格が上昇しています。(同じ名前でもモデルチェンジしてはいるのですが)
メーカーに問い合わせたところ、「ダウンの価格が高騰しています」との回答でした。
近年、ダウンの寝袋はモンベルに限らずどこのメーカーも価格が上昇傾向にあります。
その他、近年のモンベル寝袋・シュラフの変遷(2018~2019)
失敗しないモンベルの寝袋の選び方-基本編
ここから、本格的にモンベルの寝袋の選び方をご紹介していきます。
モンベルのカタログを見ると、ざっと寝袋だけで30種類以上もあります。
その中から自分の用途に適切な寝袋を見つけるには、最適な手順があります。
- 寝袋の形状を選ぶ(マミー型or封筒型)
- 寝袋の中綿を選ぶ(ダウンor化学繊維)
- 保温力を選ぶ(#5~EXP)
- 伸縮率を選ぶ(135% or 120%)
- ジッパーの向きを選ぶ(右ジッパーor左ジッパー)
以上の手順を踏めば、ほぼご自身の用途に合った最適な寝袋に行き着きます。
それでは、各内容について解説していきます。
寝袋の形状を選ぶ(マミー型or封筒型)
寝袋には、大きく分けてマミー型と封筒型の2つの形状があります。
封筒型って何?マミー型とは?と思うかもしれませんが、写真でみるとわかりやすいです。
マミー型

封筒型

けっこう形が違いますよね。封筒型は、一般的に自宅で使うふとんに近い長方形ですが、マミー型はその名のとおりミイラみたいな形をしています。
単純に形だけの違い?!と思いきや、実はかなり用途が違っています。
マミー型は、身体のラインに沿った形状のため保温効率が高く、軽量・収納をコンパクトにしたい登山・バックパック・自転車旅行・バイクツーリングなどの用途に最適です。
封筒型の寝袋は、自宅の布団に近い寝心地が得られますが、収納サイズが同じ保温力のマミー型の寝袋の数倍になるため、車移動のキャンプ向けになります。
モンベルは最先端の技術を集結した高性能・超軽量のマミー型の寝袋を主力としています。カタログを見ると、モンベルの寝袋のラインナップを見ると、ほとんどがマミー型の寝袋です。
そのため、以下の解説ではマミー型の寝袋の内容を中心に話を進めていきます。
寝袋の中綿を選ぶ(ダウンor化学繊維)
モンベルのマミー型寝袋の中綿(なかわた、保温素材)は、大きく分けてダウンと化学繊維(エクセロフト)の2種類あります。
ダウン

化学繊維(エクセロフト)[出典:モンベル]
モンベルの寝袋に使われているダウンは、主にグースダウン(がちょう)とダック(あひる)ダウンの2種類です。グースダウンはダックダウンよりダウンボール自体が大きく、撥水性も高いと言われていて、高級素材です。
650FPも2013年頃?まではグースダウンでしたが、近年ダックダウンが使われるようになったようです。ダックダウンでも性能差はそれほど遜色ないとメーカーの方から聞いています。ただ他メーカーの方からダックよりグースのほうがダウンボール自体は大きく、ダウン自体の撥水性も高い(より水濡れに強くなり、保温力が低下しにくい)と聞いています。(補足:ただし、元々のダウンの撥水力が弱くてもダウン撥水剤を使うことで水濡れに強くできます)。モンベルの寝袋のハイエンドモデルはすべてグースダウン(モンベル表記ではEXダウン)が採用されています)
更にダウンも
- 900FPダウン(グースダウン)
- 800FPダウン(グースダウン)
- 650FPダウン(ダックダウン)
の3種類あります。
"FP(フィルパワー)"とは、その復元力を数値で表したダウンの性能を評価する基準の一です。
フィルパワーとは、1オンス(約28.4g)のダウンをシリンダー内で圧縮し、一定の温度、湿度の条件下で、それが何立方インチに復元するかを測定したものです。フィルパワーの数値が高いほどダウンの空気含有量が多く、その大量に含まれる空気の断熱効果によって保温性に優れるため、数値の高いものほど良質なダウン(フィルパワーの高いダウンほど、ある保温力を実現するのに少ないダウン重量で実現でき、より軽量・コンパクト化できる)と言うことになります。
一般的に550フィルパワー以上で高品質とされ、700から800フィルパワーのものが最も良質とされています。
モンベルの化学繊維綿のエクセロフトは、極細繊維と中太繊維と極太繊維の3種類をブレンドしたポリエステル綿で、一般的に普及しているポリエステル綿よりもダウンのように柔らかく、ふわふわしています。
以下、それぞれの中綿の重量、収納サイズ、値段の関係性です。
- 重量
- 収納時の大きさ
- 値段
また、上記以外にも重要な性能差があります。それは復元力・ロフト回復性(強く圧縮した状態から膨らむ力)です。
このことは、カタログ等ではあまり語られない内容ですが、ダウンと化繊綿の大きな違いともいえます。
通常、寝袋は小さく圧縮した状態で保管します(お店でもその状態で販売されている)が、ダウンは強く圧縮されペチャンコの状態からでも人間が入ると不思議と徐々に膨らんでやがてパンパンに膨らみます。これこそ自然素材の神秘です。長い年月、強く圧縮されていても不思議と膨らむ素材、それがダウンです。
化繊綿はこれがありません。長い年月圧縮されているとその状態で癖が付き、復元力・回復力も低下し、保温力も低下していきます。モンベルのエクセロフトは、この現象を可能な限り低減する工夫がされていますが、自然の神秘素材のダウンには及ばないと言ってもいいでしょう。
それ以外にも、体感的な暖かさの違いもあります。
同程度の保温力のダウンと化繊の寝袋を使うとわかるのですが、ダウンは寝てしばらくすると、ふわっと包み込まれるような暖かさを感じやすいのですが、化繊綿は「寒くはないが暖かくもない」という表現が使われたりします。
私はこのような経験を何度もしているので、ダウンに対して人智を超えた自然の神秘、畏敬の念さえ感じます。
一方、化繊綿には、ダウンより優れた性能もあります。それが濡れによって保温力が低下しにくいことです。
ダウンは水や結露によって濡れたり、湿ってくると保温力が著しく低下します。
ダウンの羽毛を拡大すると、太い羽毛(羽枝:うし)の先にも小さな羽毛(小羽枝:しょううし)が無数に生えているのが確認できます。この羽毛が対流しにくい空気を抱える(通称:デッドエア)ことで高い保温力が実現できているのですが、濡れるとこの小羽枝が閉じてしまい保温力が低下していきます。1泊登山ではそれほど気になりませんが、連泊すると寝袋生地に付着した結露が収納袋に圧縮する時に羽毛に圧着するため、この現象が顕著にでてきます。また一度濡れにより保温力が低下すると、好天時に天日干ししないとなかなか乾かないため、登山等で悪天候が続くと少し扱いにくくなります。
化繊綿は濡れによる膨らみ低下がほとんど無いため、保温力が安定しています。そのため、連泊登山が多い方の中には、ダウンの寝袋の保温力低下を懸念して、あえて少し重量増でも化繊の寝袋を選ぶ方もいます。
また、カヌー、カヤックなど水濡れリスク(水没など)の高い用途では、濡れても乾きやすく保温力の低下しにくい化繊モデルが選ばれやすいです。
以上、いろいろ書きましたが、中綿での寝袋の選び方は
- 重量を軽くし、収納も小さくしたい ⇒ 800FPグースダウンのモデル
- 価格を抑えたい ⇒ エクセロフト(化繊)モデル
から選ぶという感じになってきます。
重量と収納サイズの観点から、おおよそですが
- 登山・バックパック・自転車旅行 ⇒ 900FPダウン or 800FPダウン
- バイクツーリング ⇒ 800FPダウン or 650FPダウン
を選ぶ方が多いです。
細かく書くと、バックパック・自転車旅行・バイクツーリングの方々は、積載量や季節で、ダウンか化繊に別れることもあります。(バイク・自転車は車種や収納ボックス(キャリア・ツーリングバッグ)の容量により積載量が異なる。バックパックは温暖な地域に行く方は、メンテナンスのしやすさを考慮して化繊モデルを選ぶ方もいます。
保温力を選ぶ(#7~EXP)
モンベルの寝袋には、商品名の後に、#5や#0など、保温力を表す表記が付いています。
例えば、
- ダウンハガー650 #3(ダウンハガー ろっぴゃくごじゅう シャープ さん)
- ダウンハガー800 #0(ダウンハガー はっぴゃく シャープ ぜろ)
- ダウンハガー800 EXP(ダウンハガー はっぴゃく シャープ エクスペディション)
などと言ったりします。(※モンベルの従業員の方々がこのように読んでいました)
現在使われている保温力を表す表記は、
- #7(リミット温度:8℃程度)
- #5(リミット温度:4℃程度)
- #3(リミット温度:0℃程度)
- #2(リミット温度:-4℃程度)
- #1(リミット温度:-10℃程度)
- #0(リミット温度:-18℃程度)
- EXP(リミット温度:-22℃)
と7種類あります。(余談ですが、2010年頃?まで#4というのがあり、私も昔使ってました)
このモンベル独自の保温力表記は、はじめての方は戸惑いやすく、見慣れるとわかりやすい表記になります。
保温力表記に、寝袋の対応時期を追記すると、
- #7(リミット温度:8℃程度) ⇒ 夏用。主に平地キャンプ向け。バイク・自転車ツーリングなど。
- #5(リミット温度:4℃程度) ⇒ 夏用。登山用としては使用期間短く、おすすめしない。
- #3(リミット温度:0℃程度) ⇒ 3シーズン用。2000m級登山では、9月中旬以降はしんどいかも。
- #2(リミット温度:-4℃程度) ⇒ 3.5シーズン。氷点下になる紅葉時期登山も対応。
- #1(リミット温度:-10℃程度) ⇒ 日本国内の残雪期登山、キャンプであれば厳冬期除いた3月~12月ぐらいか。
- #0(リミット温度:-18℃程度) ⇒ 日本国内の厳冬期登山、キャンプ向け。
- EXP(リミット温度:-22℃) ⇒ 主に局地遠征、海外の高山遠征向け。
ざっくりこのような感じになります。
登山での一番人気は軽量・コンパクト性、価格のバランスのとれた#3です。(因み私は無積雪期登山用に#2、厳冬期登山用に#0を所有。)
ご自身の用途では、どの保温力帯がよいか、じっくり検討してみてください☆
伸縮率を選ぶ(135% or 120%)
モンベルではスーパースパイラルストレッチシステムとスパイラルストレッチシステムの2つを採用した寝袋を製造しています。
どちらのシステムも横方向(実は縦方向にも)伸びます。
ポイントは、伸縮率です。
- スーパースパイラルストレッチシステム ⇒ 伸縮率135%
- スパイラルストレッチシステムは ⇒ 伸縮率120%
つまり、よく伸びるのは、スーパースパイラルストレッチシステムです。
[動画]スーパースパイラルストレッチシステム(伸縮率135%)の伸び具合
ただし、スーパースパイラルストレッチシステム(伸縮率135%)は、スパイラルストレッチシステム(伸縮率120%)に比べて、
- 使用する生地量が増える
- ジッパーが長い(長い分、重量が増える)
- 伸縮に使う細いゴム紐の増え重量増
があり、同じ保温力でも重量と収納サイズが多少増えます。
結局、どちらを選べばよいか迷うところなのですが、一つの基準をここでお伝えしたいと思います。
過去、2つのシステム(伸縮率135% or 120%)の寝袋を寝比べるお客さんをたくさん見てきましたが、
- 身長170以上の男性 ⇒ スーパースパイラルストレッチシステム(伸縮率135%)
- それ以下の身長の男性や女性 ⇒ スパイラルストレッチシステム(伸縮率120%)
がおすすめです。
先ほどの条件で、だいたい寝袋の中であぐらがかけるかどうかが決まってくるようです。
男性はそもそも骨格が大きく、肩幅もあるため、適度なゆとりを求めるならスーパースパイラルストレッチシステムのモデルを選ぶと良いでしょう。
女性は全体的に骨格が狭いためスパイラルストレッチシステムでも十分にゆとりを感じることができるようです。もちろん、スーパースパイラルストレッチシステムを選んでも問題ありません。
モンベルの寝袋の最大の特徴は、伸びる かつ フィットする ことにあります。
スーパースパイラルストレッチシステムは多くの男性でもあぐらがかけるゆとりとゴムの収縮により身体にフィットし、身体と寝袋の寒いスペースをできるだけ作らないように作られています。
ですから、多少の重量の増加や価格の上昇があっても、基本的にはスーパースパイラルストレッチシステムがおすすめです。迷ったらスーパースパイラルストレッチシステム!と覚えておいてください。
よくわからなければ、実際にお店で入り比べると良いでしょう(^-^)
ジッパーの向きを選ぶ(右ジッパーor左ジッパー)
スーパースパイラルシステムのモデルの中には”R/ZIP”と”L/ZIP”の2種類存在しています。
- R/ZIPとは? ⇒ Right Ziperの略で寝袋に仰向けに入ったときに右側面にジッパーがあります。
- L/ZIPとは? ⇒ Left Ziperの略で寝袋に仰向けに入ったときに左側面にジッパーがあります。
右ジッパーと左ジッパーが存在するのは寝袋を連結する用途等を考えてのことです。
日本人の多くの人は右利きと思います。
右利きの人は右ジッパーの寝袋が使いやすいです。利き腕側にジッパーがある方がジッパーを上げ下げしやすいからです。
逆に、左ジッパーは、左利きの人や、すでに右ジッパーの寝袋をもっていて連結させたい方におススメです。
小さな子供と一緒に寝たい親や若いカップルは、連結させるために右ジッパーと左ジッパーを購入する傾向があるようです。
日本で流通する登山や旅行用の軽量なマミー型寝袋のほとんどは、寝た状態で右側にジッパー(スライダー)が付いています。
しかし、世界基準ではジッパーは左側が多いのが現状です。
海外製は左ジッパー(シートゥーサミットのシュラフ)
[右ジッパーと左ジッパーの比較実演]
上の動画を見ると、右ジッパーより左ジッパーの方が右手で開けやすい様子が映し出されています。
欧米人より日本人の方が、全体的に身長も低く、見るからに体格も細く、おそらく腕も短い傾向があります。海外ブランドのウェア(日本向けリサイズされていないもの)を着た経験のある方はわかると思うのですが、腕(袖)が日本人向けのものより長くなっています(海外ブランドのウェアを着たいけど袖が長くて着れなくて、購入を断念する経験をされた方も多いのではないかと思います。)
日本人は欧米人より全体的に身長低く、体格細く、腕も短いため、右ジッパーを腕を曲げて操作する時、寝袋内の肩や胸周りの限られたスペース内で難なく操作できてしまうため、右ジッパーが普及していると考えられます。
それでは主力モデルを紹介していきます。
主力モデルの紹介
ダウンハガー 900FP モデル
2020年、モンベルから隔壁がなく、縫い目が少ない革新的な構造『スパイダーバッフルシステム』と900FPダウンを使用した寝袋・シュラフが発表されました。
『スパイダーバッフルシステム』を採用されたのは、以下の2モデルになります。
隔壁無しのスパイダーバッフルシステムを採用した、2モデルが発売されました。
- シームレスドライダウンハガー900(表地:ゴアテックス(防水)、中綿:900FPダウン)
- シームレスダウンハガー900(中綿:900FPダウン)
簡単に特徴を列挙すると
- 最先端で技術、最高のダウンを使用したスーパーハイエンドモデル
- 隔壁を無くし、その代わりにスパイダーヤーンと呼ばれる特殊な糸にダウンを絡めとる構造
- アウトドア業界の中でも最高品質と言われる900FPのダウンを使用し軽量化
- 超極細 7デニール ナイロン(デニール数が小さいほど繊維が細い)の生地を使用して、軽量化。(穴空予防のため、火気・火の粉厳禁です)
- ゴアテックスによる完全防水(シームレスドライダウンハガー900のみ)
既存の寝袋の概念を超えたモンベルのハイエンドモデルです。
ただ、価格もハイエンドです。最も需要が多いと思われる#3では、
- シームレス ドライ ダウンハガー900 #3 (重量:565g、価格¥57,000 +税)
- シームレス ダウンハガー900 #3 (重量:512g、価格:¥44,000 +税)
となってます。
また、実物を試着したところ、かなり個性的な寝袋であるとわかり、どちらかというと玄人向きです。
詳しくは別のページに掲載しましたので、興味のある方は御覧ください。
関連ページ
費用対性能を考えても、正直、次の800FPモデルでも十分軽く満足できると思います。
ダウンハガー 800FP モデル
実質、モンベルの寝袋の中でも、主力商品ともいえるのが、このダウンハガー800FPモデルです。
800フィルパワーの高品質グースダウンを使用し、生地も極細10デニール ナイロン(バリスティック エアライト)で撥水加工(POLKATEX)と帯電防止(静電気を軽減)加工が施されているハイエンドモデルです。
- 伸縮率135%のダウンハガー800
- 伸縮率120%のアルパインダウンハガー800
の2モデルあります。
- 800FPのグースダウン使用
- 表地は10デニール・バリスティックエアライト(ナイロン)
10デニールの生地はわずかに透けるほど薄さですが、その分軽量化に貢献しています。強度はけして高くありません。通常利用では問題ありませんが、強い引き裂き、ジッパーの噛み込み(噛み込んだ生地を無理に引っ張ると避ける可能性大。ゆっくり不可のかからないように引っ張ると多分大丈夫です)、焚き火の火の粉などで穴が開く可能性がありますので、それ相応の丁寧な扱いが求められます。
900FPにはかないませんが、十分に軽量でコンパクトにできています。
このモデルは寝袋を長時間背負う人に最適です。
例えば、登山、バックパッカーなどはザックに寝袋をいれた状態で何時間も歩くため、軽量化を考慮し多少値段が高くとも800FPモデルを選ぶと良いでしょう。
登山用で一番の売れ筋は、伸縮率が135%の ダウンハガー800 #3 です。
- ダウンハガー800 #3(伸縮率:135%、重量:595g、価格¥30,000 +税)
- アルパインダウンハガー800 #3(伸縮率:120%、重量:550g、価格¥28,000 +税)
「ダウンハガー800 #3」の購入者レビューと実売価格
関連ページ
また、2015年から女性用のダウンハガー800 Women'sも発売されました。
寝袋の色もちょっとカラフルになっています。
適応身長が173cmまで対応となって、足元のダウン量を20%アップして末端冷え性の方には優しい設計となっています。
今までは、身長が150cm代の女性がレギュラーサイズに入ると、横幅も足元も余ってしまし、保温力が低下していまう問題(小柄な女性が身長180cmくらいの男性向けの服着たら、ガバガバして寒いのと同じ)がありましたが、このモデルの登場は女性に朗報です♪
#3で比較すると、レギュラーモデルより約1000円値段安くて、重量も少し軽い(30g)ですから、女性専用のダウンハガー800 Women'sモデルから選ぶと良いでしょう(^-^)
注意点として、夫や息子や他の人とシェアして使う可能性ある方は、レギュラーサイズを購入した方がいいかもしれません。(男性には横幅も長さも小さい)
これ私専用!というつもりで購入する方向けですね(^^)
また、かなり贅沢ですが、子供の林間学校や登山体験でもたせるにも、良いでしょう。
「ダウンハガー800 Women's モデル」の購入者レビューと実売価格
ダウンハガー 650FP モデル
650FPのダックダウンを使用したモデルです。
ダウンハガー 650 ♯3
2019年モデルまでは生地に40デニールナイロンが使われていましたが、2020年モデルより30デニールポリエステルになり、旧モデル858g⇒新モデル720gと138gも軽量化されました。
- 650FPのダックダウン使用
- 表地は30デニールのポリエステル
生地の繊維が太い分重量増えるが、強度は高いく、少し雑に扱っても生地避けは起こりにくい
- ダウンハガー800 #3(伸縮率:135%、重量:595g、価格¥30,000 +税)
- ダウンハガー650 #3(伸縮率:135%、重量:720g、価格¥23,500 +税)
重量は125g増えます。
だいたい皆さん悩むのは、このモデルではないでしょうか?
ある意味中間的なモデルで、とても軽い訳でもないく重いわけでもない。安いわけでもなく高いわけでもない。小さい訳でもなく、大きいわけでもない。800FPモデルと化繊モデルの中間に位置するからです。
旧モデルでは、本当は800FPモデルが欲しいけれども、経済的な理由でこれを選ぶ方が多いようです。
(登山で使うけれども800FPは値段が高くて・・・、どれだけ登山するかわからないし、とりあえず・・・など。登山用途より、バイクツーリングやキャンプや車中泊などで、とにかくダウンの寝袋が欲しいという方も良く選ばれてる印象)
しかし、2020年からのモデルチェンジにより、登山用とでも許容できる程度の重量になりました。
近年、ハイエンドの寝袋は価格上昇し続けているため、生地変更により軽量化された650FPモデルはより多くの人に選ばれるようになるかもしれません。
「ダウンハガー650FPモデル」の購入者レビューと実売価格
関連ページ
バロウバッグ モデル
バロウバッグ♯3
キャンパーに大人気の3シーズンモデル
アルパインバロウバッグ♯3
個人的にはこれ買うなら、左の寝袋買ったほうが・・・
- 化繊綿エクセロフトを使用
- 表地は40デニールのナイロン
エクセロフトという3種類の異なるポリエステル繊維綿をブレンドした柔らかく、回復力と保温力に優れた、特殊な化繊モデルです。
生地の繊維が太い分重量増えますが、強度は高く、少し雑に扱っても生地避けは起こりにくいです。
- ダウンハガー800 #3(伸縮率:135%、重量:595g、価格¥30,000 +税)
- ダウンハガー650 #3(伸縮率:135%、重量:720g、価格¥23,500 +税)
- バロウバッグ #3(伸縮率:135%、重量:1085g、価格¥14,500 +税)
バロウバッグは同じ保温力でも800FPモデルに比べると重量・収納サイズ共に約2倍程度になります。
これを選ぶ人は、ファミリーキャンプの人が多いです。登山する人でこれを選ぶ人はほとんどいません。
理由はダウンモデルに比べ、収納サイズが大きくなり(ザックに他のものが入らなくなる)、重量も重くなるからです。
実物を見ればわかりますが、#0~#3はかなりの大きさです。
ただ価格はダウンに比べて安いので、積載量に余裕のある車移動のキャンプする方には非常に人気があります。(化繊の封筒型寝袋の収納サイズに比べると、かなりコンパクト)
それに加えて、ダウンに比べて洗濯が容易でメンテナンスが楽!というメリットや水濡れでもロフトが変わらないという特徴もあり、カヌーやカヤックなど水濡れのリスクがある用途では、あえて化繊の寝袋を選ぶ傾向があるのを覚えて置いてください。
あと化繊のモデルは、ダウンに比べて、硬さがあるというか潰れにくいので、寝袋に入ってもストレッチに硬さがどうしても出てしまいます。そのため、化繊なら、なおさらゆとりのあるバロウバッグモデル(スーパースパイラルストレッチシステム)が断然おすすめです。
「バロウバッグ モデル」の購入者レビューと実売価格
具体的にどの寝袋を選べば良いか知りたい方はこちらを試してみてください(^-^)
ホローバッグ モデル
マミー型と封筒型の中間のような位置づけで、中綿が化繊の低価格モデルです。
モンベル ホローバッグ #3
快適睡眠温度が7℃以上の3シーズンモデル。
価格は安いが収納は大きいので車移動向け
モンベル ホローバッグ #7
快適睡眠温度13℃以上なので、夏利用のみの方向け
このモデルは、中綿で使用されている化繊がエクセロフトではなく、ただのホローファイバーという中空ポリエステルで、かなり固いです。ホームセンターで売ってる寝袋と似通っているように感じます。
価格は非常に安いですが、化繊が固いため収納も大きく、寝心地も固いです。上位モデルのように収縮する機能もありません。
ただ、費用を抑えたいファミリーキャンプや自宅や車中泊用としてはこれでも十分と思います。
寝るときの快適性はさておき、とにかく安いものがいい!という方におすすめです。
モンベル ホローバッグ モデルの購入者レビューと実売価格の一覧(Amazon)
ホローバッグ Kid's モデル
また、このモデルではキッズ用の寝袋もあります。
ホローバッグ#3 kid's(身長155cmまで)
快適睡眠温度が7℃以上の3シーズンモデル。
収納は大きいが安いので車移動向け
ホローバッグ#7 kid's(身長155cmまで)
快適睡眠温度13℃以上なので、夏利用のみの方向け
他のモデルと異なり、子どもの林間学校やキャンプイベント向けに作られています。
例えば、名前を記入できるラベルが付いています。
これで、誰の寝袋だかわからなくなる心配がありません。
また、キッズ用寝袋は、それをサポートするように、足元のバックル付きテープで子どもでも収納しやすくなっています。
子供は力が弱いですから、寝袋を収納するのも一苦労。
これが無いと、子供がくるくると寝袋を丸めた後に、収納袋に入れようとしたら、丸めた寝袋が開いてしまいます。
大人は丸めた寝袋を広がらないように押さえておくことができますが、子供はそこまで気が回らなかったりします。
林間学校やキャンプイベントは、いつも温かく世話してくれる親元を離れて、自分自身である程度身の回りのことをする、という自立を養う機会です。
ちょっとした機能が子供の自立をサポートします。
あと大切なことなのですが、子どもはこのバックル見ても、何かわかりません。
出発前にお父さんお母さんが使い方を教えてあげてくださいね(^^)
収納袋も、大きな間口になっていて、収納後はコンプレッションベルトでコンパクトに圧縮できます。
関連ページ
ファミリーバッグ<封筒型> モデル
ファミリーバッグモデルは他のマミー型のモデルと違い封筒型なのが特長です。
ファミリーバッグ #3
快適睡眠温度が7℃以上の3シーズンモデル。
ファミリーバッグ #7
快適睡眠温度が13℃以上の夏モデル。
ザ・ファミリーキャンプ用寝袋!と言ったところでしょうか。
収納サイズが大きいですが、封筒型はゆったりサイズなのでファミリーキャンプを楽しむ方には最適かと思います。
氷点下対応のもの、3シーズン用、夏用の3種類展開しています。
収納袋も大きく、収納しやすくなっています。
また、L字型のジッパーを開放して、毛布のように広げることができ、さらに2つのファミリーバッグを上下で重ねて連結して、大きさ2倍の大きな封筒型寝袋にすることができます(旧モデルとの接続はできないそうです)
関連ページ
ダウンファミリーバッグ<封筒型> モデル
2016年から中綿がダウンのファミリーバッグモデルが発売されています。
ダウンファミリーバッグ #1
快適睡眠温度が-3℃以上のモデル。
ダウンファミリーバッグ #3
快適睡眠温度が3℃以上の3シーズンモデル。
モンベルは、同様の封筒型のダウンの寝袋を数年前も作っていました。
しっかりとした作りで、サイズも最大長223×最大幅105cmと大きく、寝袋というより布団ともいえるようなものでしたが、価格が高くて(○万円)あまり売れなかった?のか、その後廃盤→中綿が化繊の封筒型になる(当然価格も○千円で1桁違い)→2016年に封筒型ダウン寝袋を発売、という流れを歩んでいます。
(旧ダウンファミリーバッグの製品情報がまだamazonに残っていました。)
2016年から販売されているダウンファミリーバッグは#1、#3共に最大長190×最大幅75cmとコンパクトになっています。
ダウンの封筒型寝袋は、あんまり一般的ではありません。
理由は、やはり同程度の保温力の化繊モデルに比べて価格が高いからです。(約3倍)
登山のように軽量化のため選ばれるダウンと違い、キャンプの場合は車の積載量が高いため、封筒型のダウンを選ぶ理由はずばり寝心地です。
頻繁にキャンプや車中泊する方で、自宅の布団と変わらないかそれ以上の寝心地をテントの中でも用意したい・・・というこだわり派の方には良いかもしれません。
また、L字型のジッパーを開放して、毛布のように広げることができ、さらに2つのファミリーバッグを上下で重ねて連結して、大きさ2倍の大きな封筒型寝袋にすることができます(旧モデルとの接続はできません)
気になる方は直接お店で化繊モデルと寝比べてみるとよいでしょう(^^)
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迷彩柄寝袋
モンベルではかなり変わった寝袋も作っています。
迷彩柄のエクセロフト カモワッチバッグという商品です。
上から足元までジッパーが通っていいます。
最近流行の人型寝袋の原型ともいえるかもしれません。
最後に
最後まで読んだ方、どうだったでしょうか?
モンベルの寝袋は種類も多く、初めて読んだ方は新しい単語が沢山でてきて、少し驚いた方も多いかもしれません。
実は、モンベルの寝袋だけでもこれほど多彩なラインナップのため、最寄りのモンベルショップに行っても、すべての商品の在庫が置いてあるとは限りません。(取り寄せは可能です)
皆様の寝袋選びの参考になれば幸いです。
谷川岳の雪洞で宿泊
今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。
雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)
雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。
自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。

楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆
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寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。
キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。
『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。
これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。

『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。
テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆
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