<2024年 更新!>モンベルの寝袋の選び方、主力モデルの紹介(ドライシームレスダウンハガー 900/シームレスダウンハガー 800/ダウンハガー 650/シームレスバロウバッグなど)を紹介します☆モンベル(montbell)は1975年創業の日本のアウトドア総合メーカーです。
今や、登山者に限らずあらゆるアウトドア愛好者が一度は耳にするメーカーではないでしょうか?
著者PROFILE
経歴:大手アウトドアショップで寝袋・マットのコーナーを中心に約4年間の接客経験に加え、独自の調査・研究を重ね、寝袋・マットの情報を中心としたこのサイトを運営して10年以上。無積雪登山・雪山登山・クライミング・アイスクライミング・自転車旅行・車中泊旅行・ファミリーキャンプなど幅広くアウトドアを経験。(詳細プロフィール) 名前:Masaki T
実際に過去、
- 「2009 Editor’s Choice Award」(エディターズ・チョイス賞)
- 「2010 Gear of the Year」(ギア・オブ・ザ・イヤー)を受賞
- 「2011Mountain Standards award」(マウンテン・スタンダード賞)
- 「2021 Editors’ Choice Award」(エディターズ・チョイス賞)
など、数々の賞をとっています。(※2020年頃から大幅にランナップがリニューアルされています)
モンベルの寝袋・シュラフの特徴
軽量・コンパクトなマミー型寝袋(シュラフ)が主力
モンベルの寝袋は登山向けの超軽量・コンパクトなマミー型ダウン寝袋(シュラフ)が主力です。
ファミリーキャンプ向けの封筒型の寝袋は種類が少なく、その他ほとんどが(ミイラみたいな形状の)マミー型の寝袋です。マミー型の寝袋の中綿素材は、化繊(エクセロフト)とダウンがあります。
基本的に軽量・コンパクトな寝袋ばかりのラインナップのため、価格も高めです。極力積載量も重量も小さくしたい登山・海外旅行・バイクツーリング・自転車旅行等の用途に向いています。
ラインナップが豊富
まず、一般の人がモンベルの寝袋のカタログを見ると、そのラインナップの豊富さに驚くことでしょう。
お店に行ったら、寝袋がずらーっと並んでいて
「こんなに寝袋がたくさんある!すごい!」となるかもしれません。
この多種多様の寝袋を前にして、「えーと、・・・一体何を選んだらよいのだろうか。。。」となり、店舗においてある無料の寝袋のパンフレット片手に、自分なりに調べて見ても、初めて見る情報と量が多すぎて結局何を選んでよいかよくわからない。。。
となる方、今までたくさん見てきています。
「モンベルの寝袋は種類が多すぎて迷う」のが、普通です☆ 私自身も、この商品分類を経験を伴って理解するのに1年以上かかっています。
(山仲間の感想を身近に聞いてきた経験や、私自身がキャンプ、車中泊、夏秋登山、雪山登山等で、モンベルの寝袋を何度も実際に使い続けて、ようやく腑に落ちて理解できるようになりました。)
このページでは、モンベルの寝袋・シュラフ(山岳系の方々は寝袋のことをシュラフと呼ぶ方が多数いる)の選び方を、初めての方にもわかりやすいように、お伝えしていければと思います。
(P.S. 私自身、本格的にモンベルの寝袋の変遷を見続けてまもなく10年以上になります。もうそんなに経過したか、と感慨深い想いが湧いてきます)
新着情報
モンベルの寝袋の選び方をご紹介する前に、新着情報を簡潔にお伝えしたいとおもいます。
2020年以降
2020年から寝袋の構造が大幅に変わってきています。
隔壁無しのスパイダーバッフルシステム
”スパイダーヤーン(SPIDER YARN)”と呼ばれる特殊な糸に一定量のダウンを保持させることにより、寝袋内部の隔壁(ダウンの偏りを防ぐためのメッシュ状の仕切り)を無くしたシステムです。
[出典:モンベル]
隔壁を無くすことにより、
- ダウンのロフトを最大限活かせる
- 表地に針穴がほとんど無くなる(保温力アップ)
- コールドスポットができにくい
という3つの特徴が得られる、とカタログに記載されています。
出典:モンベル
以下の動画の解説が非常にわかりやすいです!
隔壁無しの「スパイダーバッフルシステム」を採用したモデルがハイスペック製品に採用されています。
- シームレスドライダウンハガー900(表地:ゴアテックス(防水)、中綿:900FPダウン)
- シームレスダウンハガー900(中綿:900FPダウン)
- シームレス ダウンハガー800(中綿:800FPダウン)
さらなる軽量化につながった「スパイダーバッフルシステム」ですが、ダウンが偏りやすいという懸念点も。
スパイダーバッフルシステムでは「スパイダーヤーンにダウンに一定量のダウンを保持させる」と記載あります。
[出典:モンベル]
この一定量はどのくらい?となりますが、私の見立てでは寝袋内の総ダウン量の半分程度で、残り半分のダウンはフリー(どこにでも動ける)の状態です。一般的なダウン寝袋は、ある範囲内にダウンを保持するため隔壁と言って寝袋の外側生地と内側生地の間に小部屋を作って、ある範囲内にダウンが留まるようにして、極端なダウンの偏りが起きないように設計されています。しかし、スパイダーバッフルシステムでは隔壁が無いため、フリーのダウンがどこにでも移動できる状態です。このモンベルの寝袋は、この構造をよく理解して使わないと極端なダウンの偏りが起きた時に使用者自身でダウンを均一化させるように移動させないと、寝袋内で温かい場所と寒い場所ができてしまう可能性があります。
特にダウンの寝袋は一度洗濯すると、洗濯中にダウンがクシュクシュに玉にまとまるため、そこから乾燥させてもほぼほぼ偏りが起きます。普通の隔壁ありのダウン寝袋でもこの現象が起きるのですから、隔壁なしのスパイダーバッフルシステムではスパイダーヤーン以外のフリーのダウンが偏ってしまう可能性があります。
因みに、ダウンを均一化させるにはダウンが多い箇所から少ない箇所へ移動するように寝袋をバサバサと上下に振ればフリーのダウンが動きます。ただ、ダウンがちゃんと移動しているか、行き過ぎていないかは生地が透けて中が見える訳では無いのでわかりにくいです。
この寝袋が初心者向きか?と聞かれたら、こういう構造を理解して扱える方向きかな、と正直感じます。
シームレスバロウバッグに
2022年からモンベルの化繊綿のマミー型寝袋の主力商品だったバロウバッグシリーズが、
- シームレスバロウバッグ(伸縮率124%)
- シームレスアルパインバロウバッグ(伸縮率114%)
にリニューアルされました。
シームレスバロウバッグよりシームレスアルパインバロウバッグの方が横方向の伸縮率は下がりますが軽量化されています。(サイドジッパーの長さもアルパインの方が少し短くなっています)
生地の噛み込みを軽減するパーツYKKが標準に
2020年以降のリニューアルモデルから
- ジッパーに『生地の噛み込みを軽減するパーツ(YKK製)』
が取り付けられています。(カタログにも記載されています。)
モンベルの寝袋は収縮する構造上、どうしてもジッパーが生地に噛み込みしやすかったですが、今回の変更により、より開閉しやすくなるだけでなく、生地裂けリスクも軽減されるでしょう。
その他、近年のモンベル寝袋・シュラフの変遷(2018~2019)
失敗しないモンベルの寝袋の選び方-基本編
ここから、本格的にモンベルの寝袋の選び方をご紹介していきます。
モンベルのカタログを見ると、ざっと寝袋だけで30種類以上もあります。
その中から自分の用途に適切な寝袋を見つけるには、最適な手順があります。
- 寝袋の形状を選ぶ(マミー型or封筒型)
- 寝袋の中綿を選ぶ(ダウンor化学繊維)
- 保温力を選ぶ(#5~EXP)
- 伸縮率を選ぶ(135% ~ 114%)
- ジッパーの向きを選ぶ(右ジッパーor左ジッパー)
以上の手順を踏めば、ほぼご自身の用途に合った最適な寝袋に行き着きます。
それでは、各内容について解説していきます。
寝袋の形状を選ぶ(マミー型or封筒型)
寝袋には、大きく分けてマミー型と封筒型の2つの形状があります。
封筒型って何?マミー型とは?と思うかもしれませんが、写真でみるとわかりやすいです。
マミー型
封筒型
けっこう形が違いますよね。封筒型は、一般的に自宅で使うふとんに近い長方形ですが、マミー型はその名のとおりミイラみたいな形をしています。
単純に形だけの違い?!と思いきや、実はかなり用途が違っています。
マミー型は、身体のラインに沿った形状のため保温効率が高く、軽量・収納をコンパクトにしたい登山・バックパック・自転車旅行・バイクツーリングなどの用途に最適です。
封筒型の寝袋は、自宅の布団に近い寝心地が得られますが、収納サイズが同じ保温力のマミー型の寝袋の数倍になるため、車移動のキャンプ向けになります。
モンベルは最先端の技術を集結した高性能・超軽量のマミー型の寝袋を主力としています。カタログを見ると、モンベルの寝袋のラインナップを見ると、ほとんどがマミー型の寝袋です。
そのため、以下の解説ではマミー型の寝袋の内容を中心に話を進めていきます。
寝袋の中綿を選ぶ(ダウンor化学繊維)
モンベルのマミー型寝袋の中綿(なかわた、保温素材)は、大きく分けてダウンと化学繊維(エクセロフト)の2種類あります。
ダウン
化学繊維(エクセロフト)[出典:モンベル]
モンベルの寝袋に使われているダウンは、主にグースダウン(がちょう)とダック(あひる)ダウンの2種類です。グースダウンはダックダウンよりダウンボール自体が大きく、撥水性も高いと言われていて、高級素材です。
650FPも2013年頃?まではグースダウンでしたが、近年ダックダウンが使われるようになったようです。ダックダウンでも性能差はそれほど遜色ないとメーカーの方から聞いています。ただ他メーカーの方からダックよりグースのほうがダウンボール自体は大きく、ダウン自体の撥水性も高い(より水濡れに強くなり、保温力が低下しにくい)と聞いています。(補足:ただし、元々のダウンの撥水力が弱くてもダウン撥水剤を使うことで水濡れに強くできます)。モンベルの寝袋のハイエンドモデルはすべてグースダウン(モンベル表記ではEXダウン)が採用されています)
更にダウンも
- 900FPダウン(グースダウン)
- 800FPダウン(グースダウン)
- 650FPダウン(ダックダウン)
の3種類あります。
“FP(フィルパワー)”とは、その復元力を数値で表したダウンの性能を評価する基準の一です。
フィルパワーとは、1オンス(約28.4g)のダウンをシリンダー内で圧縮し、一定の温度、湿度の条件下で、それが何立方インチに復元するかを測定したものです。フィルパワーの数値が高いほどダウンの空気含有量が多く、その大量に含まれる空気の断熱効果によって保温性に優れるため、数値の高いものほど良質なダウン(フィルパワーの高いダウンほど、ある保温力を実現するのに少ないダウン重量で実現でき、より軽量・コンパクト化できる)と言うことになります。
一般的に550フィルパワー以上で高品質とされ、700から800フィルパワーのものが最も良質とされています。
モンベルの化学繊維綿のエクセロフトは、極細繊維と中太繊維と極太繊維の3種類をブレンドしたポリエステル綿で、一般的に普及しているポリエステル綿よりもダウンのように柔らかく、ふわふわしています。
[出典:モンベル]
以下、それぞれの中綿の重量、収納サイズ、値段の関係性です。
- 重量
- 収納時の大きさ
- 値段
また、上記以外にも重要な性能差があります。それは復元力・ロフト回復性(強く圧縮した状態から膨らむ力)です。
このことは、カタログ等ではあまり語られない内容ですが、ダウンと化繊綿の大きな違いともいえます。
通常、寝袋は小さく圧縮した状態で保管します(お店でもその状態で販売されている)が、ダウンは強く圧縮されペチャンコの状態からでも人間が入ると不思議と徐々に膨らんでやがてパンパンに膨らみます。これこそ自然素材の神秘です。長い年月、強く圧縮されていても不思議と膨らむ素材、それがダウンです。
化繊綿はこれがありません。長い年月圧縮されているとその状態で癖が付き、復元力・回復力も低下し、保温力も低下していきます。モンベルのエクセロフトは、この現象を可能な限り低減する工夫がされていますが、自然の神秘素材のダウンには及ばないと言ってもいいでしょう。
それ以外にも、体感的な暖かさの違いもあります。
同程度の保温力のダウンと化繊の寝袋を使うとわかるのですが、ダウンは寝てしばらくすると、ふわっと包み込まれるような暖かさを感じやすいのですが、化繊綿は「寒くはないが暖かくもない」という表現が使われたりします。
私はこのような経験を何度もしているので、ダウンに対して人智を超えた自然の神秘、畏敬の念さえ感じます。
一方、化繊綿には、ダウンより優れた性能もあります。それが濡れによって保温力が低下しにくいことです。
ダウンは水や結露によって濡れたり、湿ってくると保温力が著しく低下します。
ダウンの羽毛を拡大すると、太い羽毛(羽枝:うし)の先にも小さな羽毛(小羽枝:しょううし)が無数に生えているのが確認できます。この羽毛が対流しにくい空気を抱える(通称:デッドエア)ことで高い保温力が実現できているのですが、濡れるとこの小羽枝が閉じてしまい保温力が低下していきます。1泊登山ではそれほど気になりませんが、連泊すると寝袋生地に付着した結露が収納袋に圧縮する時に羽毛に圧着するため、この現象が顕著にでてきます。また一度濡れにより保温力が低下すると、好天時に天日干ししないとなかなか乾かないため、登山等で悪天候が続くと少し扱いにくくなります。
化繊綿は濡れによる膨らみ低下がほとんど無いため、保温力が安定しています。そのため、連泊登山が多い方の中には、ダウンの寝袋の保温力低下を懸念して、あえて少し重量増でも化繊の寝袋を選ぶ方もいます。
また、カヌー、カヤックなど水濡れリスク(水没など)の高い用途では、濡れても乾きやすく保温力の低下しにくい化繊モデルが選ばれやすいです。
以上、いろいろ書きましたが、中綿での寝袋の選び方は
- 重量を軽くし、収納も小さくしたい ⇒ 800FPグースダウンのモデル
- 価格を抑えたい ⇒ エクセロフト(化繊)モデル
から選ぶという感じになってきます。
重量と収納サイズの観点から、おおよそですが
- 登山・バックパック・自転車旅行 ⇒ 900FPダウン or 800FPダウン
- バイクツーリング ⇒ 800FPダウン or 650FPダウン
を選ぶ方が多いです。
細かく書くと、バックパック・自転車旅行・バイクツーリングの方々は、積載量や季節で、ダウンか化繊に別れることもあります。(バイク・自転車は車種や収納ボックス(キャリア・ツーリングバッグ)の容量により積載量が異なる。バックパックは温暖な地域に行く方は、メンテナンスのしやすさを考慮して化繊モデルを選ぶ方もいます。
保温力を選ぶ(#7~EXP)
モンベルの寝袋には、商品名の後に、#5や#0など、保温力を表す表記が付いています。
例えば、
- ダウンハガー650 #3(ダウンハガー ろっぴゃくごじゅう シャープ さん)
- ダウンハガー800 #0(ダウンハガー はっぴゃく シャープ ぜろ)
- ダウンハガー800 EXP(ダウンハガー はっぴゃく シャープ エクスペディション)
などと言ったりします。(※モンベルの従業員の方々がこのように読んでいました)
現在使われている保温力を表す表記は、
- #7(使用可能温度:7℃程度)
- #5(使用可能温度:3℃程度)
- #3(使用可能温度:0℃程度)
- #2(使用可能温度:-5℃程度)
- #1(使用可能温度:-10℃程度)
- #0(使用可能温度:-13℃程度)
- EXP(使用可能温度:-20℃)
と7種類あります。(余談ですが、2010年頃?まで#4というのがあり、私も昔使ってました)
このモンベル独自の保温力表記は、はじめての方は戸惑いやすく、見慣れるとわかりやすい表記になります。
保温力表記に、寝袋の対応時期を追記すると、
- #7(使用可能温度:7℃程度)
⇒ 夏用。主に平地キャンプ向け。バイク・自転車ツーリングなど。 - #5(使用可能温度:3℃程度)
⇒ 夏用。登山用としては使用期間短く、おすすめしない。 - #3(使用可能温度:0℃程度)
⇒ 3シーズン用。2000m級登山では、9月中旬以降はしんどいかも。 - #2(使用可能温度:-5℃程度)
⇒ 3.5シーズン。氷点下になる紅葉時期登山も対応。 - #1(使用可能温度:-10℃程度)
⇒ 日本国内の残雪期登山、キャンプであれば厳冬期除いた3月~12月ぐらいか。 - #0(使用可能温度:-13℃程度)
⇒ 日本国内の厳冬期登山、キャンプ向け。 - EXP(使用可能温度:-20℃)
⇒ 主に局地遠征、海外の高山遠征向け。
ざっくりこのような感じになります。
登山での一番人気は軽量・コンパクト性、価格のバランスのとれた#3です。(因み私は無積雪期登山用に#2、厳冬期登山用に#0を所有。)
ご自身の用途では、どの保温力帯がよいか、じっくり検討してみてください☆
伸縮率を選ぶ(135% ~ 114%)
モンベルでは
- スーパースパイラルストレッチシステム(伸縮率135% or 124%)
- スパイラルストレッチシステム(伸縮率114%)
の2つを採用した寝袋を製造しています。
[出典:モンベル]
どちらのシステムも横方向(実は縦方向にも)伸びます。
シームレスモデルでは、外側の生地はバイアスストレッチの伸縮のみになっていて、内側の生地のみ糸ゴムの伸縮が付いています。旧モデルの外側生地にも糸ゴム伸縮あるモデルでは、寝袋に入ったままで座ってあぐらかけましたが、新しいシームレスモデルは旧モデルより最大の横方向の伸び幅が小さくなっていて、あぐらかくの厳しいです。
それでもある程度の伸縮がある(旧モデルはグニャングニャン伸びましたが、新モデルはグニャぐらい)ため、他メーカーの伸縮なしの寝袋より、マミー型でも圧迫感が出にくいです。
身長170以上の男性は圧迫感が出やすいため、伸縮率高いモデルの方が楽に寝やすいです(それ以下の身長の方はそれほど伸縮なくても十分快適に寝れる可能性高いです)
男性はそもそも骨格が大きく、肩幅もあるため、適度なゆとりを求めるならスーパースパイラルストレッチシステムのモデルを選ぶと良いでしょう。
女性は全体的に骨格が狭いためスパイラルストレッチシステムでも十分にゆとりを感じることができるようです。もちろん、スーパースパイラルストレッチシステムを選んでも問題ありません。
モンベルの寝袋の最大の特徴は、伸びる かつ フィットする ことにあります。よくわからなければ、実際にお店で入り比べると良いでしょう(^-^)
ジッパーの向きを選ぶ(右ジッパーor左ジッパー)
スーパースパイラルシステムのモデルの中には”R/ZIP”と”L/ZIP”の2種類存在しています。
- R/ZIPとは? ⇒ Right Ziperの略で寝袋に仰向けに入ったときに右側面にジッパーがあります。
- L/ZIPとは? ⇒ Left Ziperの略で寝袋に仰向けに入ったときに左側面にジッパーがあります。
右ジッパーと左ジッパーが存在するのは寝袋を連結する用途等を考えてのことです。
日本では右ジッパーの寝袋を選ぶのが一般的です。
右利きの人は右ジッパーの寝袋が使いやすいです。利き腕側にジッパーがある方がジッパーを上げ下げしやすいからです。
逆に、左ジッパーは、左利きの人や、すでに右ジッパーの寝袋をもっていて連結させたい方におススメです。
小さな子供と一緒に寝たい親や若いカップルは、連結させるために右ジッパーと左ジッパーを購入する傾向があるようです。
日本で流通する登山や旅行用の軽量なマミー型寝袋のほとんどは、寝た状態で右側にジッパー(スライダー)が付いています。
しかし、世界基準ではジッパーは左側が多いのが現状です。
海外製は左ジッパー(シートゥーサミットのシュラフ)
[右ジッパーと左ジッパーの比較実演]
上の動画を見ると、右ジッパーより左ジッパーの方が右手で開けやすい様子が映し出されています。
欧米人より日本人の方が、全体的に身長も低く、見るからに体格も細く、おそらく腕も短い傾向があります。海外ブランドのウェア(日本向けリサイズされていないもの)を着た経験のある方はわかると思うのですが、腕(袖)が日本人向けのものより長くなっています(海外ブランドのウェアを着たいけど袖が長くて着れなくて、購入を断念する経験をされた方も多いのではないかと思います。)
日本人は欧米人より全体的に身長低く、体格細く、腕も短いため、右ジッパーを腕を曲げて操作する時、寝袋内の肩や胸周りの限られたスペース内で難なく操作できてしまうため、右ジッパーが普及していると考えられます。
主力モデルの紹介
それでは主力モデルを紹介していきます。
ドライシームレスダウンハガー 900(#1,#2,#3,#5)
[出典:モンベル]
シュラフカバーいらずの最軽量モデル。
- ダウン品質:900FPのグースダウン
- 内側にスーパースパイラルストレッチで伸縮率「135%」
- 外側生地がゴアテックスで完全防水。縫い目もシームテープで防水処理。
- サイズは、レギュラー(身長~183cm)とロング(身長~198cm)
最高品質の軽量ダウン+外側の生地がゴアテックスの完全防水のダウン寝袋です。#3の非防水モデルと比較すると、
- ドライシームレスダウンハガー 900 #3:重量582g
- シームレスダウンハガー 800 #3:重量555g
で、わずか27gの差しかありません!(価格は約1.5倍ですが)
ただ、シームレスダウンハガー 800 #3に比べると
- サイドジッパーが腰までと短い(軽量化のため)
- 外側がゴアテックスなので生地の伸びにくい(ちょっとゴワゴワして生地も固め)
- 寝袋の洗濯しにくそう(外側が防水のゴアテックスですから)
など、ちょっとメンテナンスが面倒そうですが、通常の寝袋+シュラフカバーではどうやってもこの重量にはなりません。
他のページにも記載してますが、シュラフカバー等の防水対策は1泊までの登山であれば基本不要で、
- 2泊以上の縦走登山が多い
- 結露が起きやすいターブ泊やシングルウォールテント泊がメイン
- 多少の悪天候(雨天)でも怯まず山へ行く
という方は、このドライシームレスダウンハガー でかなり荷物を軽量化できると思います。
ただ、価格は高いため、上記に該当しない方は費用対性能を考えても、次の800FPモデルでも十分軽く満足できると思います。
\ 競合・ライバル製品 /
防水生地の寝袋は寝袋業界全体でも非常に希少ですが、ナンガからオーロラテックス(2レイヤ地で耐水圧20,000mm、透湿性6,000g/m2/24hrs)を使った表地が防水透湿かつ軽量モデルの「オーロラライト」シリーズがあります。防水・透湿・耐久年数はオーロラテックスよりゴアテックスの方が上ですが、価格がこちらの方がモンベルの2/3ぐらいです。
シームレスダウンハガー 800(EXP,#0,#1,#2,#3,#5,#7)
[出典:モンベル]
モンベルの最軽量モデル。売れ筋モデルです
- ダウン品質:800FPのグースダウン
- 内側にスーパースパイラルストレッチで伸縮率「135%」
- サイズは、レギュラー(身長~183cm)とロング(身長~198cm)
高品質800FPグースダウン+軽量生地+スパイダーバッフルシステムで最軽量を実現した、実質的なモンベルの主力モデルです。
そのため、保温力が局地遠征対応のEXPから#0,#1,#2,#3,#5,#7まですべて揃っています。
保温力表記に、寝袋の対応時期を追記すると、
- #7(使用可能温度:7℃程度)
⇒ 夏用。主に平地キャンプ向け。バイク・自転車ツーリングなど。 - #5(使用可能温度:3℃程度)
⇒ 夏用。登山用としては使用期間短く、おすすめしない。 - #3(使用可能温度:-1℃程度)
⇒ 3シーズン用。2000m級登山では、9月中旬以降はしんどいかも。 - #2(使用可能温度:-5℃程度)
⇒ 3.5シーズン。氷点下になる紅葉時期登山も対応。 - #1(使用可能温度:-10℃程度)
⇒ 日本国内の残雪期登山、キャンプであれば厳冬期除いた3月~12月ぐらいか。 - #0(使用可能温度:-13℃程度)
⇒ 日本国内の厳冬期登山、キャンプ向け。 - EXP(使用可能温度:-20℃)
⇒ 主に局地遠征、海外の高山遠征向け。
ざっくりこのような感じになります。
おそらく登山用途含め、多くの方がこの「シームレスダウンハガー 800」シリーズから選ぶと思います。最も多くの方に選べれるのは、3シーズン対応の#3です。#2以下は氷点下対応でネックバッフル(首周りの中綿チューブ)が付きます。
#3は2色あります。
紅葉時期も登山するなら#2が使いやすいです(私も旧モデルの#2持ってます)
\ 競合・ライバル製品 /
軽量ナイロン生地+高品質な軽量ダウンの寝袋は最も需要が多く、モンベルと長年のライバルでもある日本メーカーのイスカとナンガ等でもランナップが充実しています。
※イスカとタケモは最低使用可能温度。快適使用温度は、表示温度におおむね5~10℃をプラスした温度です。
上記ハイエンドモデルより少し素材価格を抑えた寝袋も人気です!
シームレスダウンハガー 800 Women’s(#0,#1,#2,#3,#5)
[出典:モンベル]
シームレスダウンハガー 800の女性向けにモデルで、長さが短くなってます。
- ダウン品質:800FPのグースダウン
- 内側にスーパースパイラルストレッチで伸縮率「135%」
- サイズは、レギュラー(身長~173cm)で女性向け
例えば身長が150cm代の女性がレギュラーサイズ(身長~183cm)を使うとかなりガバガバ余ります。布団みたいに広々感じて寝やすいかもしれませんが、身体と寝袋のスペースが空いて寝袋内が温まりにくいのと、必要以上に大きな寝袋を持ち運ぶことになりますが、この女性向けモデルを選べば、無駄なスペース、無駄な重量を削減できます。
#3で比較すると、
- シームレスダウンハガー 800 #3:重量555g
- シームレスダウンハガー 800 Women’s #3:重量532g
で、23g軽量化できます。
ただし、この寝袋を選ぶと「私専用」となり、他の人(例えば夫や170cm以上の子供)と寝袋をシェアしにくくなります。
その点をクリアできれば、いいのかなと思います。
寝袋の色もちょっとカラフルになっています。
\ 競合・ライバル製品 /
他メーカーでは、女性対応モデルは「ショートサイズ」になります。女性は男性よりも寒く感じやすいため、3シーズン用でも少し暖かめの寝袋がおすすめです。
※イスカとタケモは最低使用可能温度。快適使用温度は、表示温度におおむね5~10℃をプラスした温度です。
ダウンハガー 650(#0,#1,#2,#3,#5)
[出典:モンベル]
650FPダックダウンを使用したモデル。価格もハイエンドモデルより手頃です。
- ダウン品質:650FPのダックダウン
- 外側・内側にスーパースパイラルストレッチで伸縮率「124%」
- サイズは、レギュラー(身長~183cm)とロング(身長~198cm)
ダウンハガー650は、隔壁のある以前からある構造のモデルで扱いやすいと思います。生地も30デニールポリエステルなので強度もあります。
ハイエンドモデルと比べると、
- シームレスダウンハガー 800 #3:重量555g
- ダウンハガー650#3:720g
と、165gの差があり、収納サイズも大きくなりますが、
- 車・バイク移動のキャンプ
- 登山目的だが予算を抑えたい
という方にも対応できるモデルです。
平地キャンプの利用がメインの方で登山対応できる寝袋を探されている方におすすめです。私も旧モデルになりますが、#0をキャンプ・車中泊用途で10年以上使ってます。
\ 競合・ライバル製品 /
このクラスの寝袋は、他のメーカーも購入しやすい価格帯になっています。
※イスカとタケモは最低使用可能温度。快適使用温度は、表示温度におおむね5~10℃をプラスした温度です。
シームレスバロウバッグ(EXP,#0,#1,#2,#3,#5)
エクセロフトという3種類の異なるポリエステル繊維綿をブレンドした柔らかく、回復力と保温力に優れた、特殊な化繊モデルです。
[出典:モンベル]
化繊綿「エクセロフト」を使用したモデル。キャンプ向けです。エクセロフトは化繊綿ながら非常に柔らかく、身体にフィットしやすいため寝心地も良いです☆
- 中綿:エクセロフト
- 外側にスーパースパイラルストレッチで伸縮率「124%」
- サイズは、レギュラー(身長~183cm)とロング(身長~198cm)
シームレスバロウバッグは2022年に旧モデル「スーパースパイラルバロウバッグ」からリニューアルされたモデルです。化繊綿でもシームレス構造にして、縫い目を極限まで減らして温かい空気を蓄えるようリニューアルされました。
以下の新旧モデルの比較動画がとても参考になります!
生地も30デニールポリエステルなので強度もあります。
その他モデルと比較すると、
- シームレスダウンハガー 800 #3:重量555g
- ダウンハガー650#3:720g
- シームレスバロウバッグ#3:963g
の違いがあります。
収納サイズも化繊綿モデルは大きくなるため、主にキャンパー向けになります。価格も購入しやすい金額です。
EXP,#0,#1,#2の収納袋はコンプレッションバッグが標準装備になっていて、ベルト締めで圧縮可能です。
化繊綿モデルは水濡れに強く(保温力が低下しにくい、濡れても乾きやすい)ため、陸上のキャンパーだけでなく、水濡れリスクが払拭できないカヤックなどのウォータースポーツ愛好家からも選ばれやすい寝袋です。
\ 競合・ライバル製品 /
軽量・コンパクトな化繊寝袋は、そんなに選択肢が多くありません。どうしても軽量化するとなるとダウンにはとてもかなわないのが大きな理由と思います。価格は1万円台からと購入しやすい価格になります。
※イスカとタケモは最低使用可能温度。快適使用温度は、表示温度におおむね5~10℃をプラスした温度です。
シームレスアルパインバロウバッグ(#0,#1,#2,#3,#5,#7)
少しでも軽量化したい方向けの化繊綿モデルです。
- 中綿:エクセロフト
- 内側にスーパースパイラルストレッチで伸縮率「114%」
- サイズは、レギュラー(身長~183cm)とロング(身長~198cm)
シームレスアルパインバロウバッグは、アルパインバロウバッグと比べて
- 伸縮率「114%」
- サイドジッパーが短い
- 若干、重量が軽くなり、収納サイズも小さくなる
という違いがあります。
その他モデルと比較すると、
- シームレスダウンハガー 800 #3:重量555g
- ダウンハガー650#3:720g
- シームレスバロウバッグ#3:963g
- シームレスアルパインバロウバッグ#3:928g
となります。シームレスバロウバッグと、それほど重量差ありません。
シームレスバロウバッグと、それほど重量差ありません。サイドジッパーは長いほうが温度調整しやすく、基本的にある程度の快適性を求める方はシームレスバロウバッグの方がおすすめです。
その他モデル
ニッチな寝袋、ファミリーキャンプ向けの封筒型の寝袋もラインアップされています。
ちょっとマニアックな製品が多いため、ここでは割愛しますが、興味のある方は直接モンベルのWebサイトでご確認ください。
最後に
最後まで読んだ方、どうだったでしょうか?
モンベルの寝袋は種類も多く、初めて読んだ方は新しい単語が沢山でてきて、少し驚いた方も多いかもしれません。
実は、モンベルの寝袋だけでもこれほど多彩なラインナップのため、最寄りのモンベルショップに行っても、すべての商品の在庫が置いてあるとは限りません。(取り寄せは可能です)
気になる寝袋があれば、実店舗で試着をおすすめします☆
以上、皆様の寝袋選びの参考になれば幸いです。
著者PROFILE
2009年末から寝袋と関連装備に特化したこのサイトを開設。いつの間にか運営10年を超える老舗サイトに。ファミリーキャンプから無積雪期登山、厳冬期登山、バイクのキャンプツーリングに自転車旅行、車中泊など、アウトドアを幅広く経験。寝袋の宿泊数は100泊以上~500泊未満。狭い業界ですが、まだまだ知らないこと沢山あり、日々勉強中です☆
谷川岳の雪洞で宿泊
今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。
雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)
雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。
自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。
楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆
寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。
キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。
『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。
これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。
『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。
テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆
実は、モンベル創業の原点は寝袋です。元々、モンベルを創業した辰野さんが若いころに使っていたアウトドア用品があまりに酷いものが多く、何とか改良したいと思って作った寝袋・シュラフが、モンベル最初のアウトドア用品だそうです。そのような起業の背景もあり、モンベルのマミー型の寝袋・シュラフからは非常に高いこだわりが伝わってきます。
モンベルの寝袋の特徴はずばり 伸びる!!!
これに尽きます。