2026年最新の「クマによる人身被害事例」を、死亡事故・登山中の事故・都道府県別の被害件数とあわせて、わかりやすくまとめました。環境省によると2026年度は8月末までに60人が被害に遭い6人が亡くなり、9月も登山道や住宅の周りで事故が続いているため、熊鈴・熊撃退スプレーなど今日からできる対策も解説します。

クマによる人身被害は年によって増えたり減ったりしますが、近年は深刻な被害が出る年が目立ち、住宅地やお店の中でも事故が起きています。
2025年度は被害者238人・死亡13人と過去最悪になり、2026年度も8月末時点で死亡6人と前年同期(5人)を上回り、9月に入ってからも被害が続いています。
記事のポイント
- 2026年9月27日までの最新クマ人身被害事例を掲載(2021年以降の主な事例も)
- 2026年度は8月末時点で被害者60人・死亡6人(環境省速報値)
- 2025年度は過去最悪:被害者238人・死亡13人
- 年度別の被害件数の推移と、被害が多い都道府県トップ5
- ブナ豊作でも油断できない、2026年秋の注意点
- クマ撃退スプレーの選び方など、今日からできる事故防止策




名前:Masaki T [ profile ]
経歴:北海道出身、登山歴15年以上。関東の大型の登山用品店で約4年間の勤務を経験。熊撃退スプレーを家族分の2本所有(フロンテァーズマン,UDAP)し、出没リスクの高い地域では携行。自分自身も勉強しつつ適正な情報発信を心がけています
日本の熊研究機関:日本クマネットワーク(JBN)/日本熊森協会/知床財団/信州ツキノワグマ研究会



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クマによる人身被害事例【2021〜2026年】
2021年度から2026年度までに起きた、主なクマの人身被害事例を年ごとに紹介します。「どんな場所で」「何をしているときに」被害に遭ったのかに注目して読むと、身を守るヒントが見えてきます。
- 2026年(令和8年)― 8月末で死亡6人、9月も被害が続く
- 2025年(令和7年)― 統計開始以来の最悪年
- 2024年(令和6年)
- 2023年(令和5年)― 当時の過去最多
- 2022年(令和4年)
- 2021年(令和3年)
- 過去に起きた重大なクマ人身被害
- 登山中に起きた主なクマ被害 ― 代表的な7事例
2026年(令和8年)― 8月末で死亡6人、9月も被害が続く
2026年度(令和8年度)は、4月から途切れることなく被害が続いています。環境省の速報値では、8月末までに56件・60人が被害に遭い、そのうち6人が亡くなりました。
被害者の数は前年の同じ時期(69人)より少し少ないものの、亡くなった方は前年同期の5人を上回っています。NHKも9月、今年度は昨年度以上のペースで死亡事故が起きていると伝えています。
酪農学園大学の伊吾田宏正准教授(狩猟管理学)は、「2025年度の反動で26年度は落ち着くのではないか」と考えていたそうです。ところが春から初夏にかけての被害は、その予想を上回るペースで進みました。
- 4月21日|岩手県紫波町
山菜採りに出かけた55歳の女性が、遺体で見つかりました。
2026年度で最初の犠牲者です。
出典:環境省速報値(PDF) - 5月5日〜7日|山形県酒田市・岩手県八幡平市
酒田市の山林で78歳の男性が、八幡平市の山林で60代の女性が、相次いで遺体で見つかりました。
山形県でクマによる死亡事故が起きたのは、1988年以来38年ぶりです。
出典:日本経済新聞 - 5月17日|東京都 奥多摩町
登山中の30代のロシア人男性がクマに襲われ、顔や腕に大けがをしました。
クマよけの鈴は持っていなかったそうです。
出典:東京新聞 - 5月19日|東京都 奥多摩町(仙元峠付近)
登山道近くの崖の下で、身元のわからない遺体が見つかりました。
近くに大型動物のものとみられる足跡やふんがあり、警察はクマの可能性も含めて調べています(執筆時点で、クマによる被害とは断定されていません)。
出典:東京新聞 - 5月20日|岩手県西和賀町
ワラビ採りに出かけた85歳の男性が、自宅近くの沢で亡くなっているのが見つかりました。
近くでクマが目撃されており、警察はクマに襲われた可能性が高いとみています。
出典:岩手めんこいテレビ(Yahoo!ニュース) - 6月1日|岩手県釜石市
クマが住宅の網戸を破って入ろうとしましたが、住人が大声を出すと逃げていきました。
市街地の住宅でも、油断できない状況です。
出典:NHKニュース - 6月2日|福島県福島市(工場・住宅街)
4人がクマに襲われ、けがをしました。
クマはカギのかかった窓を自分で開けて建物に入り込み、その後逃げています。
出典:ダイヤモンド・オンライン - 6月2日|秋田県秋田市
高齢の女性がクマに襲われたとみられる状態で見つかり、死亡が確認されました。
現場近くにいたクマは駆除されています。
出典:NHKニュース - 6月24日・29日|青森県 八甲田山系
24日にタケノコ採り中の70代の女性が両脚をけがし、29日には別の入山者が襲われて亡くなったとみられています。
青森県は八甲田地区に特別警報を出しました(7月31日まで)。
出典:青森県 - 7月5日|秋田県 由利本荘市(鳥海町)
山菜採りをしていた83歳の男性がクマに襲われ、頭や顔をけがしました。
運ばれるときには意識があり、会話もできたそうです。
出典:岩手日報ONLINE(共同通信) - 8月13日|宮城県 仙台市青葉区(店舗の裏山)
お店の裏山で、従業員の60代の男性がクマと出くわし、頭などをけがしました(命に別状はありません)。
仙台市は周辺に注意を呼びかけ、箱わなを置いて捕獲を進めています。
出典:仙台市 - 8月13日|群馬県 みどり市(東町沢入)
山林内の渓流で、群馬県内では今年度2例目となる人身被害が起きました。
出典:群馬県 - 9月23日|秋田県 北秋田市(森吉山)
青森県弘前市から登山に来ていた高齢の男性が、下山中にクマに襲われました。
右腕をかまれ顔をひっかかれましたが、自力で山の中腹の施設に駆け込み、助けを求めています。
出典:デイリースポーツ(共同通信) - 9月24日|富山県 南砺市(大門山の登山道)
1人で登山をしていた70代の男性が成獣(大人のクマ)1頭に襲われ、左のふくらはぎをひっかかれました(全治1〜2週間)。
男性は自力で下山しています。富山県内のクマによる人身被害は、2026年度で4件目(被害者は5人目)です。
出典:チューリップテレビ(Yahoo!ニュース)・NHKニュース - 9月26日|長野県 千曲市(登山中)
登山中の30歳の男性がクマ2頭に出くわし、親グマとみられる1頭に正面から覆いかぶさられました。
男性は持っていたクマ撃退スプレーを噴射して追い払い、軽いけがで済んでいます。クマ撃退スプレーを実際に使って危険を回避した事例として、ふだんの持ち方の大切さも考えさせられます。
出典:SBC信越放送(Yahoo!ニュース)・abn長野朝日放送(Yahoo!ニュース) - 9月27日|和歌山県 有田川町(ビニールハウス前)
農作業でビニールハウスに向かった60代の男性が、体長約1.5mのクマに襲われ、腕や頭にけがをしました(全治約10日)。
西日本の生活の場でも、人身被害が起きていることがわかります。
出典:MBSニュース(Yahoo!ニュース)・読売テレビ(Yahoo!ニュース)
環境省の集計で確認されている2026年度の死亡者は、岩手県3人、青森県・秋田県・山形県が各1人の、計6人です(8月末時点)。月ごとに見ると、4〜6月に42人が被害に遭い、7月は11人、8月は7人でした。
※環境省の全国統計は8月末までの速報値です(9月29日時点)。9月の事故は、自治体や報道機関が公表した個別の事例として掲載しており、60人・6人の数字には含めていません。
秋はキノコ採りや紅葉登山で山に入る人が増えるうえ、9月には和歌山県など西日本でも被害が出ています。「自分の地域は大丈夫」と思わず、引き続き注意してください。
2026年秋〜冬にかけての注意点
今年の秋は、ブナの実が岩手県で「過去10年で最も高い指数の豊作」、秋田県でも5地点中4地点で「豊作」と予測されています。山にエサが多い年は、去年のような大量出没は起きにくいと考えられています。
ただし、2026年度4〜7月のクマの出没件数は17,362件と、過去最悪だった前年同期(12,716件)を大きく上回りました。専門家は、人里の食べ物の味を覚えたクマが散発的に出てくる可能性や、エサが豊富なぶん来年は子連れのクマが増える可能性を指摘しています。
「豊作だから安心」とは考えず、キノコ採りや紅葉登山の前には地元の出没情報を確認しましょう。市街地でも窓や網戸が破られた例があるので、戸締まりの見直しもおすすめです。
2025年(令和7年)― 統計開始以来の最悪年
2025年度(令和7年度)は、クマの人身被害がもっとも深刻になった1年でした。被害者は238人、亡くなった方は13人で、それまで最多だった2023年度(219人・6人)を大きく上回り、統計開始(2006年度)以来の最悪となりました。
とくに秋に被害が集中し、10月だけで89人が被害に遭っています。年末の「今年の漢字」に「熊」が選ばれるほど、多くの人が関心を寄せた年でもありました。
- 4月9日|長野県 飯山市
物置を片づけていた60代の男性がクマと鉢合わせし、かまれて大けがをしました。
その後、同じクマが住宅に入り込み、90代の男性と60代の女性もけがをしています。
出典:朝日新聞デジタル - 4月22日|群馬県 片品村(尾瀬国立公園)
バックカントリースキー中の男性がクマに覆いかぶさられ、けがをしました(全治1週間)。
出典:尾瀬保護財団 - 5月3日|長野県 軽井沢町・追分
山菜採り中の人がけがをしました。
同じ地区では6月3日にも、散策中の人が被害に遭っています。
出典:軽井沢町 - 5月15日|新潟県 南魚沼市
60代の男性が顔や腕などをけがしました。
新潟県は「出没警戒注意報」を出しています。
出典:新潟日報 - 6月4日|新潟県 長岡市(栃尾地域)
クマの出没にともなう人身被害を、長岡市が公表しました。
出典:長岡市防災ポータル - 6月22日|長野県 大町市
タケノコ採り中の男性2人が襲われ、1人が亡くなり、1人がけがをしました。
出典:長野県・TBS NEWS DIG - 6月26日|長野県 上松町
作業を終えて山を下りていた森林組合の男性職員2人が襲われ、けがをしました。
出典:TBS NEWS DIG・FNNプライムオンライン - 6月28日|山梨県 北杜市
ツキノワグマによる人身被害を山梨県が公表しました。
8月3日には身延町でも被害が起きています。
出典:山梨県 - 6月30日|栃木県 那須塩原市
男性が後頭部をかまれ、大けがをしました。
出典:栃木県 - 6月30日|岩手県 盛岡市
中学校の正門近くで草刈りをしていた81歳の男性が襲われ、頭をけがしました。
出典:テレ朝NEWS - 7月4日|岩手県 北上市
自宅の中で81歳の女性がクマに襲われ、亡くなりました。
後日、同じクマが駆除されています。
出典:岩手日報ONLINE・環境省 - 7月12日|北海道 福島町(住宅地)
新聞配達中の52歳の男性が亡くなりました。
18日に駆除されたクマとDNAが一致し、2021年の死亡事故を起こしたクマと同じ個体だとわかりました。
出典:FNNプライムオンライン・UHB北海道文化放送 - 7月31日|秋田県 北秋田市
障害者施設の敷地内でごみ出しをしていた73歳の女性がクマに襲われ、後日、入院先で亡くなりました。
秋田県で2025年度に初めての死者でした。
出典:日本経済新聞・環境省 - 8月14日|北海道 知床半島・羅臼岳(岩尾別コース)
下山中の20代の男性がヒグマに襲われ、亡くなりました。
翌15日、現場で親子グマ3頭が駆除され、知床財団が事故の概要を公表しています。
出典:知床財団・林野庁北海道森林管理局 - 9月12日|宮城県 富谷市・富谷新町(市街地)
散歩中の60代の男性が、後ろからクマに襲われて頭などをけがしました(命に別状はありません)。
出典:富谷市・宮城県 - 10月3日|宮城県 栗原市・栗駒山
キノコ採りのグループがクマと出会い、75歳の女性が亡くなりました。
もう1人の女性は行方不明になっています。
出典:FNNプライムオンライン・TBS NEWS DIG - 10月7日|群馬県 沼田市・恩田町(スーパーマーケット店内)
お店に入り込んだ大人のクマ1頭によって、男性客など2人がけがをしました。
クマはそのまま逃げています。
出典:FNNプライムオンライン・テレ朝NEWS - 10月8日|岩手県 北上市・夏油大橋近くの山林
行方不明だった73歳の男性が、遺体で見つかりました。
遺体のそばにクマがいたことから、警察は「クマに襲われて死亡」と断定しています(10月14日発表)。遺体の一部には、食べられた跡が確認されました。
出典:テレ朝NEWS - 10月10日|岩手県 雫石町・長山早坂の林
キノコ採りに出かけた71歳の男性が、遺体で見つかりました。
クマに襲われた可能性が高いと報じられています。
出典:FNNプライムオンライン - 10月12日|岩手県 盛岡市・乙部(住宅の敷地内)
72歳の男性が、2頭いた子グマのうち1頭に襲われ、頭などに軽いけがをしました。
出典:FNNプライムオンライン・TBS NEWS DIG - 10月15日|岩手県 雫石町・御明神(山林/箱わなの見回り)
箱わなにかかったクマを確認していた81歳の男性が、飛び出してきたクマに襲われ、けがをしました。
出典:TBS NEWS DIG・FNNプライムオンライン - 10月16日|秋田県 秋田市・手形大沢(秋田大学近くの市道)
夜、64歳の男性がクマに襲われ、頭や腕をけがしました。
出典:AKT秋田テレビ - 10月16日|秋田県 大館市・自宅裏の畑
農作業をしていた80代の女性が、顔などをひっかかれてけがをしました。
出典:AKT秋田テレビ・FNNプライムオンライン - 10月16日|岩手県 北上市・瀬美温泉(露天風呂付近)
清掃作業をしていた60代の男性従業員が行方不明になり、翌17日、近くの岩崎新田地区で遺体が見つかりました。
遺伝子の解析で、駆除されたクマが襲ったクマだと特定されています。
出典:FNNプライムオンライン - 10月24日|秋田県 東成瀬村(役場付近)
外にいた夫婦がクマに襲われ、助けに入った親子も巻き込まれて、計4人が被害に遭いました。
38歳の男性が亡くなり、3人が頭などに大けがをしています。現場近くのクマ1頭が駆除されました。
出典:共同通信(Yahoo!ニュース) - 10月27日|岩手県 一関市(住宅の庭)
67歳の男性が自宅の庭でクマに襲われ、亡くなったとみられています。
付近のクマ1頭が駆除されました。
出典:時事通信 - 10月27日|秋田県 秋田市(雄和地区)
女性がクマに襲われ、亡くなりました(後日、クマによる被害と断定)。
秋田県の人身被害は10月30日時点で年間58件・66人にのぼり、県内で過去最悪のペースでした。
出典:秋田県 - 11月1日|山形県 南陽市
パトロール中の市の職員がクマに襲われ、手を骨折する大けがをしました。
出典:山形県 - 11月3日|秋田県 湯沢市(川連町の山林)
キノコ採りに向かった79歳の女性が行方不明になり、翌日、遺体で見つかりました。クマに襲われた可能性が高いとされています。
同じ日には、秋田市と大仙市でも男性がけがをしました。
出典:秋田魁新報 - 12月4日|長野県 野沢温泉村
自宅兼店舗の前で雪かきをしていた78歳の男性がクマに襲われ、顔や右手首、太ももなどに大けがをしました。
出典:長野県北信地域振興局 - 12月20日|宮城県 大和町
駆除作業中の猟友会の男性がクマに襲われ、亡くなりました。
この事故は、環境省の一般向けの人身被害統計とは別の「有害捕獲作業中の事故」として扱われています。
出典:宮城県 - 12月26日|秋田県 秋田市・大森山動物園駐車場
出勤途中の50代の動物園職員がクマに右肩やおなかをかまれ、顔にもすり傷を負いました。
冬になっても、市街地への出没が続いていたことがわかります。
出典:秋田魁新報電子版
2024年(令和6年)
- 6月3日|北海道 雨竜町
林道で調査をしていた道の職員がヒグマに襲われ、けがをしました。
北海道は周辺の4町村に「ヒグマ注意報」を出しています。
出典:UHB北海道文化放送 - 6月25日|青森県 八甲田山系
タケノコ採りを兼ねて登山をしていた80代の女性がツキノワグマに襲われ、亡くなりました。
登山道の一部が一時閉鎖されています。
出典:朝日新聞デジタル - 11月30日〜12月2日|秋田県 秋田市(スーパー店内)
スーパー「いとく土崎みなと店」で、男性従業員がクマに襲われてけがをしました。
クマは店内に居座り続け、2日後に箱わなで捕獲・駆除されました。
出典:秋田魁新報電子版 - 2024年度全体
年間の人身被害は82件・被害者85人・死亡3人でした(環境省)。
前年の198件・219人からは大きく減りましたが、市街地に出てくる「アーバンベア」の問題は続きました。
出典:環境省
2023年(令和5年)― 当時の過去最多
- 10月9日|秋田県 秋田市
住宅街で、男女4人が相次いでクマに襲われ、けがをしました。
出典:朝日新聞デジタル - 10月19日|秋田県 北秋田市
早朝、駅前や住宅が集まる地域で、女子高校生を含む5人が立て続けに襲われ、けがをしました。
出典:朝日新聞デジタル - 10月29日〜31日|北海道 大千軒岳
1人で登山をしていた北海道大学の学生(22歳)がヒグマに襲われ、亡くなりました。
2日後には、同じ山で下見をしていた消防署員3人が、同じ個体とみられるヒグマに襲われ、2人がけがをしています(3人とも生還)。
出典:北海道新聞 - 6〜10月|北海道・東北各地
山菜採りや渓流釣りをしていた、1人で行動する人を中心に、けがをする事故が続きました。
年間の被害は198件・219人で、当時の統計開始以来最多。6人が亡くなっています。
出典:環境省・NNNドットコム
2022年(令和4年)
- 2022年度全体
年間の被害は71件・被害者75人・死亡2人でした(確定値)。
前年より減ったものの、夏以降は多い状態が続きました。
出典:環境省
2021年(令和3年)
- 6月18日|北海道 札幌市手稲区・東区
市街地を約9kmにわたって歩き回ったヒグマが、自衛隊員2人を含む4人にけがをさせ、交通が一時止まりました。
クマは札幌丘珠空港の近くで駆除されています(「札幌市東区ヒグマ襲撃事件」)。
出典:朝日新聞デジタル - 7月30日|北海道 斜里町(知床半島)
昆布漁をしていた40代の男性がヒグマに襲われ、亡くなりました。
現場付近では前年から、同じ個体とみられるクマが何度も目撃されていました。
出典:朝日新聞デジタル - 2021年度全体
年間の被害は80件・被害者88人・死亡5人でした(環境省)。
札幌の市街地での事故などが、大きく報道されました。
出典:環境省
過去に起きた重大なクマ人身被害
直近6年間より前の事故ですが、被害の大きさから今も語り継がれている事故を紹介します。
- 2016年5〜6月発生(2022年8月16日、検証報告公表)|秋田県 鹿角市
「十和利山熊襲撃事件」。タケノコ採りで山に入った男女が次々とツキノワグマに襲われ、4人が亡くなり、4人がけがをしました。
2022年に公表された検証報告では、複数のクマが関わり、捕獲が遅れたことで被害が広がったと指摘されています。本州で最悪の獣害事件として記録されています。
出典:ダイヤモンド・オンライン
登山中に起きた主なクマ被害 ― 代表的な7事例
| 事例 | 概要・出典 |
|---|---|
| 2026-09-26 千曲市の山・長野県 熊種:ツキノワグマ 負傷1(軽傷) | 登山中の30歳の男性がクマ2頭に出くわし、親グマとみられる1頭に覆いかぶさられました。持っていたクマ撃退スプレーを噴射して追い払い、軽いけがで済んでいます。 出典:SBC信越放送(Yahoo!ニュース) |
| 2025-08-14 羅臼岳(知床)・北海道 熊種:ヒグマ 死亡1 | 下山中の20代の男性がヒグマに襲われ、亡くなりました。翌日、親子グマ3頭が現場で駆除されています。 出典:知床財団 |
| 2024-06-25 八甲田山系・青森県 熊種:ツキノワグマ 死亡1 | タケノコ採りを兼ねて登山をしていた80代の女性が、ツキノワグマに襲われ亡くなりました。半径3kmの入山規制が続けられました。 出典:朝日新聞デジタル |
| 2023-10-29〜31 大千軒岳(1072m)・北海道 熊種:ヒグマ 死亡1・負傷2 | 1人で登山をしていた北海道大学の学生がヒグマに襲われ、亡くなりました。2日後、下見中の消防署員3人が同じ個体とみられるヒグマに襲われ、2人がけがをしています(3人とも生還)。 出典:北海道新聞 |
| 2022-10-01 二子山西岳(1165m)・埼玉県 熊種:ツキノワグマ 負傷0(物損) | 岩場を下っていた登山者が、親子グマに何度も突進される動画が広まりました。ヘルメットにはかみ跡が残っていました。 出典:YAMAP |
| 2009-09-19 乗鞍岳・岐阜県/長野県境 熊種:ツキノワグマ 負傷10 | 連休中、観光客や登山者、バスターミナルの職員ら10人が襲われ、けがをしました(重傷3人・軽傷7人)。クマはバスターミナルの建物の中にも入り込みました。 出典:現代ビジネス |
| 1970-07-25〜29 カムイエクウチカウシ山・北海道 熊種:ヒグマ 死亡3 | 福岡大学ワンダーフォーゲル部の5人が、若いメスのヒグマに何度も襲われ、3人が亡くなりました。日本の山岳史上でも最悪級の獣害です。 出典:ダイヤモンド・オンライン |
ポイント
- 春と秋は特に注意:春は山菜採りなどで山に入る人が増え、秋は冬眠前のクマがたくさん食べる時期です。
ドングリなどの実りが悪い年は、人里への出没が増えることもあります。- 下山中や1人のときほど油断しない:紹介した事例でも、下山中や単独行動中に襲われたケースが目立ちます。
疲れて静かになりがちな帰り道こそ、声や鈴で存在を知らせましょう。- 子グマの近くには母グマがいることがあります:母グマは子を守ろうとして攻撃してくることがあります。
子グマを見ても近づかず、静かにその場を離れましょう。
羅臼岳や大千軒岳、千曲市の事例を見ると、「クマに出会わない工夫」と同じくらい、近づかれてしまったときの備えも大切だとわかります。熊撃退スプレーを持つなら、性能だけでなく、すぐ取り出せるホルスターなどの持ち方まで含めて選びましょう。
年度別のクマ人身被害件数の推移【環境省データ】
環境省のデータをもとに、年度ごとの被害件数・被害者数・死亡者数をまとめました。2026年度は8月末時点の速報値です。
| 年度・件数・人数・死亡 | 備考・出典 |
|---|---|
| 2026(令和8)※速報・8月末時点 56件 / 60人 / 死亡6人 | 死亡6人の内訳は岩手3人、青森・秋田・山形が各1人。被害者数は前年同期(69人)を下回る一方、死亡者は前年同期(5人)を上回っています。 出典:環境省速報値(PDF) |
| 2025(令和7) 216件 / 238人 / 死亡13人 | 統計開始(2006年度)以来の過去最悪。農作業中の被害が全体の約2割を占めました。 出典:環境省(PDF)・日本農業新聞 |
| 2024(令和6) 82件 / 85人 / 死亡3人 | 前年から大きく減少。ただしアーバンベアの出没は続き、年末には秋田市のスーパーに侵入する事案も起きました。 出典:環境省 |
| 2023(令和5) 198件 / 219人 / 死亡6人 | 当時の統計開始以来最多。秋田・岩手など東北に被害が集中しました。 出典:環境省 |
| 2022(令和4) 71件 / 75人 / 死亡2人 | 前年より減ったものの、夏以降は多い状態が続きました。 出典:環境省 |
| 2021(令和3) 80件 / 88人 / 死亡5人 | 札幌の市街地での事故などが大きく報道されました。 出典:環境省 |
※環境省が公表している数値を掲載しています。直近の年度は速報値のため、今後変わる場合があります。
都道府県別のクマ人身被害 ― 被害が多かった県トップ5
都道府県別の集計から、特に被害が多い地域を年度ごとに見ていきます。お住まいの地域や、これから出かける地域の傾向をチェックしてみてください。
- 都道府県別に見る被害の傾向
| 年度 | トップ5(順位/被害者数)・出典 |
|---|---|
| R08(2026)※速報・8月末時点 | ①岩手 12人 ②福島 10人 ③秋田 7人 ④山形 5人 ⑤富山 4人 死亡者は岩手3人、青森・秋田・山形が各1人。京都・奈良・島根など西日本でも被害が出ています。 出典:環境省速報値(PDF) |
| R07(2025) | ①秋田 67人 ②岩手 40人 ③福島 24人 ④新潟 17人 ⑤山形 12人・群馬 12人 秋田は都道府県別でも過去最多クラス。死者は岩手5人・秋田4人・北海道2人・長野1人など。 出典:環境省(PDF) |
| R06(2024) | ①長野 13人 ②秋田 11人 ③岩手 10人 ④新潟 7人 ⑤福島 6人 出典:環境省(PDF) |
| R05(2023) | ①秋田 70人 ②岩手 49人 ③福島 15人 ④青森 11人 ⑤新潟 10人 出典:環境省(PDF) |
| R04(2022) | ①岩手 24人 ②長野 8人 ③福島 7人・宮城 7人 ⑤秋田 6人 出典:環境省(PDF) |
| R03(2021) | ①長野 16人 ②北海道 14人・岩手 14人 ④秋田 12人 ⑤群馬 8人 出典:環境省(PDF) |
| R02(2020) | ①岩手 29人 ②新潟 21人 ③石川 15人 ④福井 12人・長野 12人 出典:環境省(PDF) |
都道府県別に見る被害の傾向
- 東北地方が上位に入りやすい
秋田・岩手・福島・青森は、被害者が多い年度が目立ちます。
とくに秋田は、2023年度に70人、2025年度に67人と突出しました。 - 2026年度は岩手・福島・秋田が上位
8月末時点では岩手12人、福島10人、秋田7人の順です。
亡くなった6人も、すべて東北の4県で起きています。 - 日本海側や西日本でも被害が出る
新潟(R02・R06・R07)・富山(R08)・石川・福井などが上位に入る年度もあります。
2026年度は京都・奈良・島根でも被害が出ており、9月には和歌山県でも農作業中の男性が襲われました。「東北だけの問題」ではありません。 - 長野県が全国最多になる年もある
2021年度と2024年度は、長野県の被害者数が全国で最も多くなりました。
被害が多い地域は、年度によって入れ替わります。 - 岩手県は毎年のように上位
2020年度以降、岩手県はずっと上位に入り続けています。
2026年度も、ここまで全国最多です。
クマ被害が増えている5つの背景
クマ被害がここまで深刻になっている背景には、いくつもの理由が重なっています。ひとつずつ、やさしく整理してみましょう。
- 季節ごとの事故の特徴
- 出没する場所の広がりと、建物への侵入
- 食害が確認された重大事故と、その受け止め方
- エサや環境の変化
- 行政・社会の対応と課題
1. 季節ごとの事故の特徴
春(4〜6月)は、冬眠から目覚めたクマがエサを求めて活発に動く時期です。山菜採りや渓流釣りで人が山に入る時期とも重なり、2026年度も4〜6月だけで42人が被害に遭いました。
とくに6〜7月は繁殖期です。オスグマが相手を探して広い範囲を歩き回り、オスを避けたい母グマが人里の近くまで下りてくることもあります。
夏(7〜8月)は、サクランボなどの果樹や水場を求めてクマが移動し、里山や渓流で出会いやすくなる時期です。
秋(9〜11月)は、冬眠に備えてクマがたくさん食べる時期です。2025年度は9〜11月だけで161人が被害に遭い、1年間の約7割を占めました。
ブナなどの実りが悪い年は、エサを求めて人里に出てくるクマが増えやすくなります。ただし出没や被害には、実りの状況だけでなく、クマの数や土地の使われ方、人の行動など、いくつもの理由が関係すると考えられています。
冬(12〜3月)は基本的に冬眠の時期ですが、地域やクマの状態によっては冬にも動くことがあります。2025〜2026年の冬にも、東北や北陸で冬の被害が報告されました。
2. 出没する場所の広がりと、建物への侵入
環境省の調査では、平成15年度から30年度にかけて、クマがすむ地域が全国で広がりました。東北で134%、関東で126%、中部で127%と、多くの地域で分布が拡大しています。
出没の件数も増えていて、2025年度のツキノワグマの出没は全国で5万776件と、記録が残る2009年度以降で最多になりました。2026年度も4〜7月だけで17,362件と、前年同期を上回っています。
耕作放棄地や手入れされていない果樹がエサ場になり、夜の住宅地に入り込むクマも増えています。河川敷や緑地が、クマの通り道になっている可能性も指摘されています。
2025年には、長野県飯山市での住宅への侵入や、群馬県沼田市のスーパー店内への侵入が起きました。2026年も、岩手県釜石市で網戸を破って入ろうとした例や、福島県福島市でカギのかかった窓を開けて建物に入った例が報告されています。
3. 食害が確認された重大事故と、その受け止め方
これまで、クマが人を襲うのは「びっくりして身を守るため」や「子グマを守るため」がほとんどだと考えられてきました。しかし2025年秋には、遺体の一部が食べられていた事例や、複数の人が続けて襲われる事例が各地で起きています。
岩手県北上市では、行方不明になった男性の遺体の一部に食べられた跡が確認されました。秋田県東成瀬村では、襲われた夫婦を助けに入った親子まで巻き込まれ、計4人が被害に遭っています。
ただし、「食べられた跡があった」ことと「はじめから食べる目的で襲った」ことは同じではありません。日本クマネットワーク(JBN)も、これまでの説明だけでは説明できない事例があると指摘しており、原因の解明はこれからです。
4. エサや環境の変化
気温や雨の量などの気象条件が、ブナなどの実りやクマの行動に影響する可能性が研究されています。日本クマネットワークの分析では、2018年までの約40年間で、クマの分布域が約2倍に広がったことが示されています。
ブナは、豊作と凶作をくり返しやすい木として知られています。2026年秋は豊作が予想されていますが、専門家は「エサが多いと出産が増え、翌年は子連れのクマが増える可能性がある」と注意をうながしています。
5. 行政・社会の対応と課題
高齢化でクマの捕獲を担うハンターが足りず、対応が遅れやすい状況が続いています。自治体ごとに情報の集め方や公開のしかたが違うため、広い範囲での情報共有も課題です。
国も対策を強めています。2025年末には環境省が警察や自衛官のOBに捕獲への協力を呼びかけ、2026年3月27日には「クマ被害対策ロードマップ」がまとめられました。2026年度のクマ対策予算は、過去最大の62億円です。
石原宏高環境大臣の5月12日の会見によると、自治体が雇う「ガバメントハンター」は、17道県で約100人分の雇用を国が交付金で支える計画です。市街地で人に危険が迫ったときに、市町村の判断で銃を使える「緊急銃猟」も、各地で体制づくりが進んでいます。
8月25日には、環境省が「クマ撃退スプレーの性能に係る推奨要件」を初めて公表しました。国内にはスプレーの規格がなく、効果の薄い製品も出回っているためです(くわしくは、このあとの事故防止のパートで紹介します)。
東京都も動き出しています。八王子市の住宅や学校の近くでの目撃や、奥多摩町での被害を受けて、2008年度から禁止してきたツキノワグマの狩猟を、2027年度から約20年ぶりに限定的に解禁する方針を示しました。小池百合子知事は「危険を伴うので一定のルールが必要」と話しています。
クマの人身被害を防ぐために、今日からできること
クマによる事故は、「出会わない工夫」と「出会ってしまったときの備え」で、被害を減らすことができます。場面ごとの対策と、2026年8月に国が示したクマ撃退スプレーの目安を、順番に見ていきましょう。
- 場面別の対策(登山・山菜採り・住宅周辺など)
- 登山者ができる最低限の対策
- クマ撃退スプレーの選び方と持ち方【2026年8月・国の目安】
- もしクマに出会ってしまったら
場面別の対策(登山・山菜採り・住宅周辺など)
| 行動局面 | 推奨対策 |
|---|---|
| 登山・渓流釣り | ◆ 1人で行動せず、熊鈴・ホイッスル・クマ撃退スプレーを持つ ◆ 早朝・夕暮れ・悪天候のあとは特に注意する ◆ 下山中も声や鈴で存在を知らせ続ける |
| 山菜採り・キノコ採り | ◆ 出発前に出没情報を必ず確認し、複数人で行動する ◆ 熊鈴だけに頼らず、ときどき声を出して存在を知らせる ◆ 夢中になって下を向き続けず、こまめに周りを見回す |
| 里山・農作業 | ◆ ラジオなどで音を出し、人がいることを知らせる ◆ 作業前にやぶを刈って見通しをよくし、1人作業を避ける |
| 住宅周辺 | ◆ 果物・野菜・生ごみを外に置きっぱなしにしない ◆ ペットフードやビニールハウスの管理を徹底する ◆ 収穫しない柿や栗の木は、早めに実を取るか伐採を検討する |
| 市街地 | ◆ 自治体のサイトや防災アプリで出没情報を確認する ◆ 早朝・夕暮れの1人での外出を控える ◆ 窓や網戸の戸締まりを見直し、出没情報がある地域ではスプレーの携行も検討する |
登山者ができる最低限の対策
- 1人での登山を避け、鈴や声で音を出し続ける
- クマ撃退スプレーは”すぐ取り出せる位置”に付け、使用期限を毎年確認する
- テント泊でも行動中でも、食べ物やごみは密閉してにおいを残さない
- 出発前に、自治体・警察・林野庁のサイトで出没情報と林道の通行止め情報を確認する
- クマを見かけたら距離をとり、背中を見せずに下がる。子グマを見ても近づかない
熊撃退スプレーは、どの商品でも同じ性能というわけではありません。射程距離や噴射時間、成分、噴射のかたちに違いがあるので、クマのいる山に入るなら信頼できる製品を選ぶことも大切です。
クマ撃退スプレーの選び方と持ち方【2026年8月・国の目安】
クマ撃退スプレーは、近い距離でクマに出会ってしまったときに身を守るための道具です。ただ日本にはクマ撃退スプレーの統一規格がなく、性能や品質がさまざまな製品が流通しています。
環境省によると、人に使う催涙スプレーを「クマ対策用」として売っている例や、アメリカの認証ラベルによく似た絵を貼った製品も確認されています。見た目や商品名だけで判断せず、有効成分・噴射距離・噴射時間などを確かめて選ぶことが大切です。
2025年8月に羅臼岳で登山者が亡くなった事故でも、同行者が持っていたのは人に使う催涙スプレーで、クマ用ではありませんでした。さらに遭遇したときに噴射できず、中身がすでに空だった可能性も報告されています。
そこで環境省は2026年8月、スプレー選びの目安となる「推奨要件」を初めてまとめました。買う前・持っていく前に、次のポイントを確認してみてください。
- 有効成分の濃度(CRC):カプサイシンと関連カプサイシノイド(CRC)の合計濃度が1.0〜2.0%程度
(「OC濃度」とは別の指標なので、商品を比べるときはCRCの表示を確認しましょう) - 噴射距離と噴射時間:7.5m程度以上飛び、6秒程度以上出続けるもの
- 噴射のかたち:霧状に広がるタイプ
(棒状にまっすぐ飛ぶタイプは、狙いを定めにくいためおすすめされていません) - 持ち方:ベルトや肩ひもに付ける専用ケースで、手元を見なくても取り出せるようにする
(ザックの中では、いざというときに間に合いません) - 使用期限:中身は年々劣化するので、期限切れのものは買い替える
消費者庁などは、練習用スプレーを使って事前に操作を練習しておくことも勧めています。また、テントのまわりに前もってまいておくと、残ったにおいでかえってクマを呼ぶおそれがあるので逆効果です。飛行機には持ち込めない点にも注意しましょう。
出典:環境省「クマ撃退スプレーの性能に係る推奨要件」(PDF)・消費者庁「クマ撃退スプレーの備え方」・毎日新聞(Yahoo!ニュース)
2026年9月には、長野県千曲市で登山中にクマに覆いかぶさられた男性が、持っていたスプレーを噴射して追い払い、軽いけがで済んでいます。具体的にどのスプレーを選べばいいか迷ったら、射程・噴射時間・成分・使用期限などを製品ごとに比べた記事も参考にしてみてください。
もしクマに出会ってしまったら
クマを見つけても、あわてて走って逃げるのはやめましょう。クマに背中を見せず、目を離さないようにしながら、ゆっくり後ずさりして距離をとるのが基本です。
それでもクマが向かってきたら、スプレーが届く距離まで引きつけて噴射します。スプレーがないときや間に合わないときは、地面にうつ伏せになり、両腕で首の後ろや頭を守る姿勢をとってください。
クマによるけがは、顔や頭、首、腕に集中しやすいことがわかっています。急所を守ることが、命を守ることにつながります。
まとめ|クマの人身被害は山だけでなく生活圏でも起きている
2025年度のクマによる人身被害は216件・238人、死亡13人と、2006年度以降でもっとも多くなりました。2026年度も8月末までに60人が被害に遭い、6人が亡くなっています。9月に入ってからも、富山・長野・和歌山などで人身被害が続いています。
いまでは山の中だけでなく、住宅地やお店、学校の近くなど、ふだんの生活の場でも被害が起きています。「ブナが豊作だから今年は大丈夫」と油断せず、出かける前に地域の出没情報を確かめましょう。
鈴や声で存在を知らせる、1人で行動しない、スプレーをすぐ使える位置に持つ。こうした小さな備えの積み重ねが、あなたと大切な人の安全を守ってくれます。
登山や山菜採り、渓流釣りでクマのいる場所に入るときは、熊鈴などで「出会わない対策」をしたうえで、もしものときのために熊撃退スプレーも用意しておくと安心です。
- 参考資料
参考資料
- 環境省「R08年度におけるクマの人身被害件数」(速報値・PDF)
- 環境省「R07年度におけるクマの人身被害件数」(PDF)
- 環境省「クマに関する各種情報・取組」
- 環境省「クマ撃退スプレーの性能に係る推奨要件」の公表について(2026年8月25日)
- 消費者庁「クマ撃退スプレーの備え方―事前の確認・準備が必須です―」
- 岩手県「ツキノワグマによる人身被害状況・出没状況」
- 青森県「クマに注意してください!」
- 日本クマネットワーク「2025年秋季のクマ類を巡る状況に関する現状整理」(PDF)
- クママップ「全国クマ出没情報」
熊撃退スプレーのよくある質問
撃退スプレーの選び方と購入
最強の熊撃退スプレーはどれですか?





スペック的にも実績的にも「カウンターアソールト CA290 ストロンガー」が最強だと思います。詳しくは下記ページをご参照。


売れている人気の熊撃退スプレーはどれですか?





ツキノワグマ&ヒグマ対応の『米国UDAP社 12HP ベアスプレー 』が米国でEPA登録されたスプレー(米国で熊スプレーとして認可)の中では低価格のため非常に人気です。詳しくは下記ページをご参照。


安い熊スプレーでも大丈夫ですか?


熊スプレーの法整備がされていない日本では、近年、関係者の中で「熊スプレーの模造品」を懸念する声が上がっています。



実際に遭遇した時に効果が期待できない・実践的ではない熊スプレーも販売されていて、安価な傾向があります。


熊撃退スプレーはどこで購入できる?


オンラインショップでの取扱は実質amazonでの販売が多くを占めています。実店舗では、アウトドアショップやホームセンター等で購入可能です。
詳しくは下記ページをご参照ください。


熊撃退スプレーの成分と仕様
熊撃退スプレーの成分は何?


主成分はカプサイシンおよび関連カプサイシノイドでOC(Oleoresin Capsicum)と呼ばれます。これらは唐辛子に含まれる辛味成分で、哺乳類の粘膜や眼球のTRPV1受容体を強烈に刺激し、瞬時に痛覚・熱覚を引き起こします。
OCは溶剤(水溶性と油性がある)に溶かされ、ガス(窒素or二酸化炭素or代替フロンなど)と共にスプレー缶に詰めれれています。


カプサイシノイド濃度 が最大で2%なのはなぜですか?


米国環境保護庁(EPA)登録製品では総カプサイシノイド濃度 1〜2% が標準とされています。これは人体に対する非致死性と、野生動物に対する即効的な忌避効果のバランスを取った値であり、2%を超える処方は規制対象となり一般流通しません。


熊撃退スプレーの効果と必要性
熊撃退スプレーって本当に必要?
その昔は仕事や研究調査で積極的にクマの生息域に入る方が携行するものでした。ところが近年は里山・市街地にも出没し被害が多くなる年もあり、出没頻度が多い地域では市町村がクマ撃退スプレーを推奨し、補助金がでている地域もあります。




熊スプレーは効果ある?助かった人はいない?


熊スプレーの先進国の米国でも日本でも助かった実例が複数報告されています。


熊撃退スプレーを使えば万が一襲われても助かりますか?
熊の専門家の方は「100%はないけれど90%助かる」と言われています。
過去、業務で9回襲われてますが、通常の5倍~10倍激しく攻撃してきた熊でも熊スプレーで撃退できた(以下の動画をご参照)
殺虫剤や自作スプレーが熊スプレーの代用になりますか?


結論として、殺虫剤(スズメバチ等)や自作では専用設計された熊スプレーと同等の効果は期待できないです。詳しい理由は、下記ページにまとめました。


熊撃退スプレーの使い方
熊が近づいてきた時、熊撃退スプレーはどの距離で噴射したらよいですか?
5m~3m程度まで引き付けて噴射するのが推奨、と言われています。熊撃退スプレーのスペックは無風状態での測定値で、現実には風の影響を受けますので、確実に熊に届く距離が5m~3m程度と言われています。
10mだと風で飛ばされて効果がありません。5m,3m,2mと段階的に噴射します。最初の5mの距離での噴射でほとんどの熊が逃げます。
冬季は噴射力が落ちる?
気温0 °C付近でガス圧低下が起きます。内ポケット携行で温度を保つのを推奨します。
熊に熊撃退スプレーを噴射している動画はありますか?


海外に実際に噴射している様子の動画が複数あります。



最近はAI生成の架空動画もありますので、投稿日の古いものをピックアップしました。
熊がどのように人間に近づいてくるかわかります。
熊が木に登ってるのはちょっと怖いですね。
熊が淡々と近づいてくる
熊が少しずつ距離を縮めてくる
熊撃退スプレーの取り扱いと注意事項
人間にご誤噴射したらどうなる?


猛獣対策の熊撃退スプレーは対人用の護身用の催涙スプレーの何倍も強力な劇薬です。噴射物が僅かに目に入る・皮膚に付着するだけで数時間の痛みが続くようです
緊急時でも周囲に人がいる状況での使用も最大限の配慮が必要で、安易に噴射して自分にかかって動けなくなった例もあるようです。
誤噴射や被爆による応急処置
- 内容物が目に入った場合:すぐに流水で15分以上やさしく洗眼し、コンタクトレンズは5分以内に取り外す。
- 皮膚や衣服に付着した場合:衣類を脱ぎ、ただちに流水で15分以上洗い流す。
- 症状が改善しない場合は本製品を持参のうえ医療機関を受診する
海外や日本での誤噴射事故も複数件あります。


熊撃退スプレーが目に入ると失明しますか?


熊スプレーの先進国の米国では情報が蓄積されており、結論としては、米国の医学的見解に基づいても、熊スプレーが永久的な失明を引き起こす可能性は「極めて稀」と言われています。



誤曝露後の米国の救急医療における最重要の対処は、「絶対にこすらない」ことと、「最低15分間の徹底的な洗浄」となっているようです。


熊スプレーは飛行機で運べますか?


スプレー缶は飛行機で荷物として運べません。例えば、東京から北海道まで行く場合は、熊撃退スプレーは「現地で購入」か「手持ちのスプレーを陸送」が必要になります。


使用期限切れは使える?
刺激成分が劣化し効果が落ちる恐れがあるため推奨されていません。



多くの熊スプレーの使用期限は3~4年程度です。
使用期限の切れた熊撃退スプレーの処分方法は?
万が一用ですので、全く使用せずに使用期限を過ぎるケースがほとんどだと思います。
熊撃退スプレーは劇薬ですので、僅かに成分が目や皮膚に付着するだけで痛みが生じます。安全に処分する方法が公開されていますので、下記ページにまとめました。


熊に関する知識と対策
熊が出没による人身被害の多い都道府県はありますか?
環境省の資料によると、2019年~2024年の熊による人身被害件数が多い都道府県トップ5は、北海道、青森県、岩手県、秋田県、新潟県、福島県、長野県がほぼ占めています。



本州はツキノワグマですが、北海道はより巨体のヒグマで気性も荒いと言われています。


熊鈴と併用すべき?
クマと出会わない対策が第一。鈴・ラジオで存在を知らせ、スプレーは最終手段です。
クマの専門家の方曰く熊鈴の効果は
- 無風の開けた場所で最大300 m。
- 強風・沢音・密林では大幅に減衰。
- 「威嚇」ではなく“こちらの存在を知らせる手段” と割り切る。
と言われています。熊鈴は鈴型ではなく、音の大きなベル型が推奨です。



ただ、『過去に人を襲って食べた熊は熊鈴の音を聞くと逆に寄ってくる』という話もあり、過去にそういう事件があって解決していない山域では熊鈴は避けたほうが良いという意見もあります。
熊に遭遇した時の対処法ってあるの?



約50年クマ研究されてきた日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さんの『熊に遭遇した時の対処法』の動画(約35分)が非常に有用です!


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