<2024年更新!>モンベル「シームレスダウンハガー 800」の特徴、ダウン品質:800FPのグースダウン、生地の噛み込みを軽減するパーツYKK、ラインナップ、注意点等をご紹介☆
シームレスダウンハガー 800の特徴
[出典:モンベル]
モンベルの最軽量モデル。売れ筋モデルです
- ダウン品質:800FPのグースダウン
- 隔壁無しのスパイダーバッフルシステムを採用
- 内側にスーパースパイラルストレッチで伸縮率「135%」
- サイズは、レギュラー(身長~183cm)とロング(身長~198cm)
ダウン品質:800FPのグースダウン
中綿として、800FPのグースダウンが採用されています。
“FP(フィルパワー)”とは、その復元力を数値で表したダウンの性能を評価する基準の一です。フィルパワーとは、1オンス(約28.4g)のダウンをシリンダー内で圧縮し、一定の温度、湿度の条件下で、それが何立方インチに復元するかを測定したものです。
フィルパワーの数値が高いほどダウンの空気含有量が多く、その大量に含まれる空気の断熱効果によって保温性に優れるため、数値の高いものほど良質なダウンと言うことになります。一般的に550フィルパワー以上で高品質とされ、700から800フィルパワーのものが最も良質とされています。
主に寝袋で使用されるダウンとして、グース(がちょう)とダック(かも・あひる)の2種類です。グースはダックよりも身体が大きく羽毛自体も大きく、羽枝の密度が高く太くなっています。そのため、グースダウンはダックよりも単位グラムあたりの保温力が高く、より寝袋の軽量化に繋がります。また、グースダウンは羽毛自体の撥水性能が優れていてダックダウンよりも水濡れに強いと言われています。ただ、グースダウンはダックダウンよりも価格が高く、どの寝袋メーカーでもハイエンド製品に使われる傾向があります。因みに、カタログ表示でただ単に”ダウン”としか書かれていたいものはダックダウンの可能性が高いです。
800FPのグースダウンは、登山用品のハイエンド製品に使われる高品質ダウンです。
隔壁無しのスパイダーバッフルシステムを採用
”スパイダーヤーン(SPIDER YARN)”と呼ばれる特殊な糸に一定量のダウンを保持させることにより、寝袋内部の隔壁(ダウンの偏りを防ぐためのメッシュ状の仕切り)を無くしたシステムです。
[出典:モンベル]
隔壁を無くすことにより、
- ダウンのロフトを最大限活かせる
- 表地に針穴がほとんど無くなる(保温力アップ)
- コールドスポットができにくい
という3つの特徴が得られる、とカタログに記載されています。
出典:モンベル
以下の動画の解説が非常にわかりやすいです!
隔壁無しの「スパイダーバッフルシステム」を採用したモデルがハイスペック製品に採用されています。
さらなる軽量化につながった「スパイダーバッフルシステム」ですが、ダウンが偏りやすいという懸念点も。
スパイダーバッフルシステムでは「スパイダーヤーンにダウンに一定量のダウンを保持させる」と記載あります。
[出典:モンベル]
この一定量はどのくらい?となりますが、私の見立てでは寝袋内の総ダウン量の半分程度で、残り半分のダウンはフリー(どこにでも動ける)の状態です。一般的なダウン寝袋は、ある範囲内にダウンを保持するため隔壁と言って寝袋の外側生地と内側生地の間に小部屋を作って、ある範囲内にダウンが留まるようにして、極端なダウンの偏りが起きないように設計されています。しかし、スパイダーバッフルシステムでは隔壁が無いため、フリーのダウンがどこにでも移動できる状態です。このモンベルの寝袋は、この構造をよく理解して使わないと極端なダウンの偏りが起きた時に使用者自身でダウンを均一化させるように移動させないと、寝袋内で温かい場所と寒い場所ができてしまう可能性があります。
特にダウンの寝袋は一度洗濯すると、洗濯中にダウンがクシュクシュに玉にまとまるため、そこから乾燥させてもほぼほぼ偏りが起きます。普通の隔壁ありのダウン寝袋でもこの現象が起きるのですから、隔壁なしのスパイダーバッフルシステムではスパイダーヤーン以外のフリーのダウンが偏ってしまう可能性があります。
因みに、ダウンを均一化させるにはダウンが多い箇所から少ない箇所へ移動するように寝袋をバサバサと上下に振ればフリーのダウンが動きます。ただ、ダウンがちゃんと移動しているか、行き過ぎていないかは生地が透けて中が見える訳では無いのでわかりにくいです。
この寝袋が初心者向きか?と聞かれたら、こういう構造を理解して扱える方向きかな、と正直感じます。
生地の噛み込みを軽減するパーツYKK
2020年以降のリニューアルモデルから
- ジッパーに『生地の噛み込みを軽減するパーツ(YKK製)』
が取り付けられています。(カタログにも記載されています。)
モンベルの寝袋は収縮する構造上、どうしてもジッパーが生地に噛み込みしやすかったですが、今回の変更により、より開閉しやすくなるだけでなく、生地裂けリスクも軽減されるでしょう。
ラインナップ
高品質800FPグースダウン+軽量生地+スパイダーバッフルシステムで最軽量を実現した、実質的なモンベルの主力モデルです。
そのため、保温力が局地遠征対応のEXPから#0,#1,#2,#3,#5,#7まですべて揃っています。
「シームレスダウンハガー 800」の保温力別のラインナップは、
- EXP :○(使用可能温度:-20℃)
- #0:○(使用可能温度:-13℃)
- #1:○(使用可能温度:-10℃)
- #2:○(使用可能温度:-5℃)
- #3:○(使用可能温度:-1℃)
- #5:○(使用可能温度:3℃)
- #7:○(使用可能温度:-7℃)
になります。
わかりやすく表現すると、人間がまともに寝れる下限温度。一般的な男性(25歳/70kg/173cm)がシュラフの中で丸くなり、快適に寝ることができる温度域です。ただ、日本人より寒さに強い白人の体感による基準のため、日本人だと少し寒い温度です。詳しくは保温力表示規格ISO23537(EN13537)を参照)。
このモンベル独自の保温力表記は、はじめての方は戸惑いやすく、見慣れるとわかりやすい表記になります。
保温力表記に、寝袋の対応時期を追記すると、
- EXP(使用可能温度:-20℃程度)
⇒ 主に局地遠征、海外の高山遠征向け。 - #0(使用可能温度:-13℃程度)
⇒ 日本国内の厳冬期登山、キャンプ向け。 - #1(使用可能温度:-10℃程度)
⇒ 日本国内の残雪期登山、キャンプであれば厳冬期除いた3月~12月ぐらいか。 - #2(使用可能温度:-5℃程度)
⇒ 3.5シーズン。氷点下になる紅葉時期登山も対応。 - #3(使用可能温度:0℃程度)
⇒ 3シーズン用。2000m級登山では、9月中旬以降はしんどいかも。 - #5(使用可能温度:3℃程度)
⇒ 夏用。登山用としては使用期間短く、おすすめしない。 - #7(使用可能温度:7℃程度)
⇒ 夏用。主に平地キャンプ向け。バイク・自転車ツーリングなど。
ざっくりこのような感じになります。
登山での一番人気は軽量・コンパクト性、価格のバランスのとれた#3です。(因み私は無積雪期登山用に#2、厳冬期登山用に#0を所有。)
個人的には登山用途で紅葉時期は夜中は氷点下になることもあるので#2が使いやすいです。
おそらく登山用途含め、多くの方がこの「シームレスダウンハガー 800」シリーズから選ぶと思います。最も多くの方に選べれるのは、3シーズン対応の#3です。#2以下は氷点下対応でネックバッフル(首周りの中綿チューブ)が付きます。
#3は2色あります。
紅葉時期も登山するなら#2が使いやすいです(私も旧モデルの#2持ってます)
\ 競合・ライバル製品 /
軽量ナイロン生地+高品質な軽量ダウンの寝袋は最も需要が多く、モンベルと長年のライバルでもある日本メーカーのイスカとナンガ等でもランナップが充実しています。
※イスカとタケモは最低使用可能温度。快適使用温度は、表示温度におおむね5~10℃をプラスした温度です。
上記ハイエンドモデルより少し素材価格を抑えた寝袋も人気です!
著者PROFILE
2009年末から寝袋と関連装備に特化したこのサイトを開設。いつの間にか運営10年を超える老舗サイトに。ファミリーキャンプから無積雪期登山、厳冬期登山、バイクのキャンプツーリングに自転車旅行、車中泊など、アウトドアを幅広く経験。寝袋の宿泊数は100泊以上~500泊未満。狭い業界ですが、まだまだ知らないこと沢山あり、日々勉強中です☆
谷川岳の雪洞で宿泊
今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。
雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)
雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。
自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。
楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆
寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。
キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。
『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。
これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。
『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。
テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆