熊撃退スプレーは、北米の研究・公的機関の指針で有効性が繰り返し示されてきました。ただし万能ではなく、避難行動や正しい携行・使用手順とセットで力を発揮します。本稿では、主要論文の結論、IGBC(米国インタージェンシー・グリズリーベア委員会)/NPS(National Park Service/米国立公園局)の実務指針、日本の現場感、主要製品の比較表、関連動画、FAQ、実売価格までを一気に整理します。
記事のポイント
- 科学的根拠:停止率が高いが100%ではない。使い方の精度が決め手。
- 実務:携行位置・距離・噴射角・退避動線の準備が生死を分ける。
- 製品比較:射程・噴射時間・内容量・重量を総合で選ぶ。
- 日本の現場:地域の指針と冬季対策も要確認。

経歴:北海道出身、登山歴15年以上。関東の大型の登山用品店で約4年間の勤務を経験。最近はヒグマやツキノワグマの対策用品の調査・研究にも注力。 名前:Masaki T
熊撃退スプレーは本当に効果がある?|科学的根拠と限界

熊スプレーの本場は北米(米国&カナダ)で様々なデータ・レポートが蓄積されています。
グリズリー(北米内陸のハイイログマ)とヒグマ(ユーラシアのハイイログマ)は同一種(Ursus arctos)の地域個体群で、体格と肩の盛り上がりが顕著、掘削力が強い点が共通です。一方、クロクマ(Ursus americanus)とツキノワグマ(Ursus thibetanus)は別種だが近縁で、登攀が得意・雑食性などが類似しているそうです。
日本で流通している熊スプレーのほとんどは米国産ですが、日本の熊(ヒグマ・ツキノワグマ)もカプサイシノイド(MC/CRC)に反応し米国同様に有効なため、米国の情報をまとめる形で記載します。
科学的な結論はどうか(米国レポートより)


アラスカで集計された72件の事例では、ベアスプレーは「行動停止」効果がヒグマ92%、クロクマ90%、ホッキョクグマ100%と報告されています。
携行者の98%は無傷で、負傷例も軽微でした。ここでいう「行動停止」は、攻撃・接近・追跡などの望ましくない行動が止まることを指し、完全な無力化を保証するものではありません。



データの多くは現場報告や聞き取りに基づくため、記録精度や報告バイアスの影響は避けられず、風向・地形・植生・降雨や降雪、缶の保管温度や経年劣化、使用者の動作(安全ピンの外し忘れ、構え角度、噴射の長さ)といった要因で結果が変わり得ます。
米国インタージェンシー・グリズリーベア委員会(IGBC)は「どの抑止手段も100%ではないが、負傷防止の観点でスプレーは最も成功率が高い」と位置づけます。併せて、正しい携行位置(腰または胸前)、反復練習(イナート缶)、使用直後の退避、風向の確認など運用面の徹底を求めています。
特に近距離での突進に対しては、短い牽制噴射で雲形を作り、熊がさらに接近した段階で胸〜顔面へ扇状に重ねる、といった段階的対応が推奨されます。こうした手順が守られて初めて、統計上の成功率に近い結果に届きやすくなります。
一方、銃器の抑止効果は状況依存で、携行者・第三者の負傷リスクも上がり得ます。近距離での照準の難しさ、バックストップ不在時の跳弾・貫通リスク、アドレナリン下での射撃精度低下、複数個体や母子連れ個体に対する抑止の不確実性など、実務上の課題が指摘されています。歴史的事例のレビューでも、銃器の成功・失敗は混在しており、非致死的で雲状に広がるスプレーは、一般のハイカーや研究者にとってリスクと効果のバランスが取りやすい対処法として位置づけられることが多いです。



もっとも、どちらも“万能薬”ではないため、回避行動と組み合わせて備えることが大切です。
成分・濃度と「効き」の関係


NPS(米国立公園局)は、EPA(米国環境保護庁)登録のベアスプレーは「総カプサイシノイド1〜2%」が標準で、ラベル上に明記されることを示しています。これが“効くのに非致死的”のバランス域と言われています。
「OC%」「SHU」「(MC/CRC)%」って何?



結論を記載すると、熊スプレー選びの比較指標となる数値は”MC”もしくは”CRC”になります。
OC%(Oleoresin Capsicum%)
唐辛子抽出物(オレオレジン)の割合。エキス全体の比率を示すが、有効成分の実量を直接示さない。



OC% は「唐辛子エキスの量」で、唐辛子と言っても様々な辛さの種類があり、同じ「10% OC」でも抽出の仕方や品質で辛味成分量が変わるため、製品比較には不向きです。
SHU(Scoville Heat Units)
唐辛子の辛さ指標。
- 1% 純粋カプサイシン ≒ 約160,000 SHU
- 100% 純粋カプサイシン = 16,000,000 SHU



多くは原料時点の値で、後工程(希釈・配合・噴霧剤混和)を反映しないそうです。
主要カプサイシノイド濃度(MC/CRC%)



これが製品比較の基準となりえます!(メーカーによりMC表記かCRC表記かが異なります)
有効成分である辛味分子群(カプサイシン、ジヒドロカプサイシン等)の総量で、最終製品(噴霧液)中の「有効カプサイシノイド総量(主要成分)」を定量した濃度。



MCもしくはCRCが、最終製品(噴霧液)中の「有効カプサイシノイド総量(主要成分)」を定量した濃度になり、実際の効き目を判断する「ゴールドスタンダード」。
EPA(米国環境保護庁)規格ではMC(CRC)%の上限値は2.0%です。(後で解説)
前提:
- 純カプサイシン 16,000,000 SHU。(これがSHUの最高値)
- 原料オレオレジンが2,000,000 SHU
→ 純カプサイシノイド換算で**約12.5%**含有(2,000,000/16,000,000)。
完成品の配合が**OC 1.3%**なら、
- 粗い近似で MC ≒ 1.3% × 12.5% ≒ 0.16% に過ぎません。



つまり「原料は200万SHUでも、最終MCは低い」ことが普通に起こります。
※実際は主要成分だけを数えるCRC/MCの定義差、ロット差、損失、溶媒寄与などでさらにズレる可能性あり



OCの数値が高くてもどのくらい辛い成分かわからない、SHUが高くてもどのくらい希釈しているかわからない、でとにかくMCかCRCの%が非常に重要です!
まとめ
- OC%は「どれくらいエキスを入れたか」
- MC/CRC%は「その中で効く成分がどれくらいか」
- SHUは「その効く成分の辛さを数値化」
熊スプレーとしての効果の高さはMC/CRC%(できれば2.0%)を第一です。
(OC%やSHUは参考程度にとどめるのが安全です。)
なぜ米国では熊スプレーのMC(CRC)%の上限値は2.0%なのか?



米国ではMC(CRC)の上限値2.0%は“熊への抑止的効果”と“人への安全性”の両立点と考えられているためです。
米国ではMC(CRC)2.0%は「法律で許される最大」として承認ラベルに記され、熊への効果(抑止力)と人への安全性(眼・皮膚・吸入影響、誤使用時の暴露)の両立点と結論づけられています。2.0%超は抑止力の増分が限定的な一方、暴露リスクが増すため認められません。
米国のEPA登録された熊スプレーにはMCもしくはCRCの記載があります。
- MC:Major Capsaisinoids
- CRC:Capsaicin and related capsaicinoids




数値以外の要素


また、「効き」を左右するのは濃度だけではありません。吐出量(g/秒)やノズル設計、噴霧パターン(霧=フォグ/円錐状)、滴径分布、到達距離、連続噴射時間のバランスが総合的な有効性を決めます。
突進に対しては、広がりのある霧状で視覚・呼吸器へ同時に強い刺激を与え、退避の“時間”を稼ぐ設計が実戦的とされています。反対に、細いジェット状は一点集中で到達距離に優れますが、命中精度の要求が高く、風の影響を受けやすい場面では不利になることがあります。
温度の影響
温度の影響も無視できません。低温下では缶内圧が下がって霧化が粗くなるおそれがあるため、冬季や高所では体温に近い位置で携行し、手袋着用での操作性を含めて事前にイナート缶で練習しておくと安心です。逆に炎天下の車内放置は過加圧・内容物劣化のリスクがあるため避けます。
使用期限は3〜4年
さらに、製造からの経年によって推進剤の抜けやバルブ劣化が進む可能性があり、一般に使用期限は3〜4年が目安です。缶底やラベルの表示を確認し、期限切れ・錆・凹みなどの異常があれば更新しましょう。
なお、1〜2%は“非致死的”域とされていますが、実際には強い痛み・咽頭刺激・一時的視覚障害を引き起こします。練習は必ずイナート缶で行い、実缶は安全ピンを挿したまま保管します。人混みや風下に仲間がいる場面では、使用判断と退避動線の確保をより慎重に行ってください。
最後に、輸入品を選ぶ際は成分表記・警告文・有効期限の明記、そして信頼できる流通経路かどうかを確認するのが無難です。これらを踏まえ、濃度“だけ”にこだわらず、噴射特性・携行性・運用しやすさを総合して選ぶことが、結局はいちばん“効く”という結論に近づきます。
日本における熊撃退スプレーの効果



日本においても、様々な熊の専門家の方々が発信されていますので、紹介させていただきます。
「濃塩酸を置く、火柱で脅すなど、20種類ほどの方法を試しましたが、ヒグマは逃げなかったが、カウンターアソールトを噴射すると、一発で逃げ去った」
2025年にヤフーに以下記事が投稿され非常に有用だと思い一部転載させていただきます。
■「クマスプレーもどき」を専門家も危惧
実はいま、クマの撃退効果がないとみられる「クマスプレーもどき」が、ネット通販や実店舗で複数売られている。記者が提示された商品もそのひとつだ。
「クマ用に作られていない『クマスプレー』が広まれば、効果を信じて使用した人が、最悪、命の危険にさらされかねない。非常に危険です」
そう指摘するのは、ヒグマ学習センター代表の前田菜穂子さんだ。
前田さんは、学芸員として「のぼりべつクマ牧場」の博物館(北海道登別市)に勤めていた際、ヒグマの撃退方法について研究を重ねた人物だ。1986年、世界で初めて商品化されたクマスプレー「カウンターアソールト」の開発にも寄与した。当時、前田さんは日本のクマにも効果があるか、試作品で実験した。
■米国には「クマスプレー」の製品基準
「煙が出るくらいの濃塩酸を置く、火柱で脅すなど、20種類ほどの方法を試しましたが、ヒグマは逃げなかった。ところが、カウンターアソールトを噴射すると、一発で逃げ去った」(前田さん)
噴射成分のカプサイシンが感覚神経に作用すると、猛烈な痛みを生じる。メーカーは、人に付着しても皮膚に炎症を起こしたり、失明したりするなどの健康被害はもたらさないとしてきたが、前田さんは念のために自らを実験台にした。
「顔面に吹き付けると、息が詰まるほどの痛みでうずくまりました。目も開けられない。でも60分たったら、痛みは消え、普通に行動できました」(同)
米国では、カウンターアソールトの誕生後、環境保護局(EPA)が「クマスプレー」の製品基準を設けたという。催涙スプレーを「クマスプレー」と称して販売することも法律で禁止されている。
■選ぶならEPA認可製品を
カウンターアソールトの輸入代理店、有限会社アウトバックの藤村正樹代表取締役は、「クマスプレーはEPAが認可した製品、もしくはそれに準ずるものを選んでほしい」と訴える。
具体的には「Counter Assault」「Frontiersman」「Griz Guard」「Guard Alaska」「UDAP」などのブランドだ。国産では「熊一目散」(バイオ科学・徳島県阿南市)がEPAの性能ガイドラインに準拠して設計されている。
「100%はないけれど90%助かる」
熊の専門家の方は「100%はないけれど90%助かる」と言われています。
過去、業務で9回襲われてますが、通常の5倍~10倍激しく攻撃してきた熊でも熊スプレーで撃退できた(以下の動画をご参照)



非常に学びになるおすすめ動画です!
日本の行政・現場の資料・見解
環境省『クマ類出没対応マニュアル



遭遇してしまった時に備えて、クマ撃退スプレーの携帯も推奨されています。
カプサイシンは粘膜を刺激するため、クマの目や鼻・のどの粘膜にスプレーが当たるよ
う、顔に向かって噴射することが重要です。射程距離は 5m 程度と短い製品が多いため、十
分クマを引き付けてから噴射する必要があります。
下草が人の背丈ほどに鬱閉したところなどでは効果的な噴射が難しく、十分な効果を期
待できないことがあります。刺激性物質の効果は人も同じなので、風向きによっては噴射
した本人へも影響があります。それでもクマからの攻撃を回避するためには、躊躇せずス
プレーを噴射することが重要です。
誤射に注意しつつ、いざという時にすぐ使うことができる場所に携帯することが必要に
なります。咄嗟に使用することは難しいので、事前にトレーニング用スプレーなどで練習
することも重要です。
北海道「ヒグマ対策の手引き」
北海道「ヒグマ対策の手引き」は出没回避・現場対処の体系的整理を提供。装備の一つとしてスプレーの活用が想定され、地域の運用に合わせた行動計画が重視されています。現場では、携行位置(腰・胸前)の統一、合図・役割分担の事前取り決め、安全ピン管理と誤作動防止、使用直後の退避方向の確認といった“運用ルール”まで踏み込んだ実務が推奨されています。
知床財団
世界有数のヒグマの生息地である知床では、熊撃退スプレーについて、以下の記載があります。
ヒグマに襲われた時、クマにスプレーを吹きかけ、その攻撃から身を守る道具です(成分は唐辛子の辛味であるカプサイシン)。北米では、90%以上の確率でヒグマ攻撃を止めた効果があります。ヒグマは人に出会ったら必ず襲う生き物ではありません。ただし、状況によっては襲われる危険性があり、備えが必要です。
まとめ|熊撃退スプレーは本当に効果がある?
熊撃退スプレーは北米の研究・公的機関で高い停止率が示され、有効性は十分に裏づけられています。また、日本でも様々な現場で使用された実績もあり、行政機関においても熊遭遇リスクが高いケースではスプレーの携行が推奨されています。



ただ、近年は熊スプレーの効果そのものより、模造品や熊スプレーではないものが熊スプレーとして販売されるケースもあり、慎重な選択が大事だと思っています。
カウンターアソールトの輸入代理店、有限会社アウトバックの藤村正樹代表取締役は、「クマスプレーはEPAが認可した製品、もしくはそれに準ずるものを選んでほしい」と訴える。[出典:Yahoo]
との記事もあり、当サイトでもEPA認可の熊スプレーを推奨しています。


製品名・特徴 ①連続噴射時間 ②噴射距離 ③全重量 ④内容量 ⑤サイズ(直径×全長) ⑥対象動物 ⑦使用期限 | |
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![]() ![]() | ポリスマグナム B-610 米国では対人用の催涙スプレーとして販売されているが、日本の販売店ではツキノワグマ対応と記載。 個人的にはこの価格なら、より射程距離の長いヒグマ対応のスプレーでもいいかも?と思った。 ①約8秒 ②約6m ③440g ④250g ⑤φ54 mm× 235 mm ⑥ツキノワグマ ⑦約4年 |
![]() ![]() | ポリスマグナム B-609 米国では対人用の催涙スプレーとして販売されているが、日本の販売店ではツキノワグマ対応と記載。 コンパクトなので携帯性は優れるが、連続噴射時間は約2.5秒。一発勝負的な感じか。 ①約2~2.5秒 ②約5m ③163g ④105g ⑤φ38 mm × 172 mm ⑥ツキノワグマ ⑦3~5年 |
![]() ![]() | ペッパージェット TW-1000(63ml) 非常にコンパクトだが、水鉄砲のようにピューっと飛ぶため、かなりの狙い撃ちが必要。熊が接近しても落ち着いて狙い撃ちできる方向け。 ある意味、高難易度スプレー。 ①— ②— ③100g ④63g ⑤φ35 mm× 122 mm ⑥熊など野生動物 ⑦約2年 |
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※「—」は公式情報未掲載の項目を示します。
出典:
- ペッパージェット TW-1000(40ml/63ml)…TW1000 公式サイト tw1000.com
- UDAP 12HP…UDAP Industries 公式サイト UDAP
- カウンターアソールト CA230…Counter Assault 公式サイト Counter Assault
- カウンターアソールト CA290…公式ホルスター付き製品ページ Gear Up For Outdoors
- フロンティアーズマン ベアスプレー…Montbell America 公式サイト モンベル
- ポリスマグナム B-610/B-609… Amazon
熊撃退スプレーのよくある質問
熊が出没による人身被害の多い都道府県はありますか?
環境省の資料によると、2019年~2024年の熊による人身被害件数が多い都道府県トップ5は、北海道、青森県、岩手県、秋田県、新潟県、福島県、長野県がほぼ占めています。
本州はツキノワグマですが、北海道はより巨体のヒグマで気性も荒いと言われています。北海道は地域によってはヒグマ出没が頻度が多く社会問題になっています。


熊鈴と併用すべき?
クマと出会わない対策が第一。鈴・ラジオで存在を知らせ、スプレーは最終手段です。
クマの専門家の方曰く熊鈴の効果は
- 無風の開けた場所で最大300 m。
- 強風・沢音・密林では大幅に減衰。
- 「威嚇」ではなく“こちらの存在を知らせる手段” と割り切る。
と言われています。熊鈴は鈴型ではなく、音の大きなベル型が推奨です。
ただ、過去に人を襲って食べた熊は熊鈴の音を聞くと逆に寄ってくるという話もあり、過去にそういう事件があって解決していない山域では熊鈴は避けたほうが良いという意見もあります。
熊撃退スプレーの成分は何?


主成分はカプサイシンおよび関連カプサイシノイドでOC(Oleoresin Capsicum)と呼ばれます。これらは唐辛子に含まれる辛味成分で、哺乳類の粘膜や眼球のTRPV1受容体を強烈に刺激し、瞬時に痛覚・熱覚を引き起こします。
OCは溶剤(水溶性と油性がある)に溶かされ、ガス(窒素or二酸化炭素or代替フロンなど)と共にスプレー缶に詰めれれています。


最強の熊撃退スプレーはどれですか?





スペック的にも実績的にも「カウンターアソールト CA290」が最強だと思います。詳しくは下記ページをご参照。


売れている人気の熊撃退スプレーはどれですか?





価格が手頃でコンパクトな『ポリスマグナム B-609』が非常に人気です。ただしヒグマは非対応です。詳しくは下記ページをご参照。


カプサイシノイド濃度 が最大で2%なのはなぜですか?
米国環境保護庁(EPA)登録製品では総カプサイシノイド濃度 1〜2% が標準とされています。これは人体に対する非致死性と、野生動物に対する即効的な忌避効果のバランスを取った値であり、2%を超える処方は規制対象となり一般流通しません。


熊に遭遇した時の対処法ってあるの?



約50年クマ研究されてきた日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さんの『熊に遭遇した時の対処法』の動画(約35分)が非常に有用です!
冬季は噴射力が落ちる?
気温0 °C付近でガス圧低下が起きる。内ポケット携行で温度を保つと良い。
人間にご誤噴射したらどうなる?


猛獣対策の熊撃退スプレーは対人用の護身用の催涙スプレーの何倍も強力な劇薬です。噴射物が僅かに目に入る・皮膚に付着するだけで数時間の痛みが続くようです
緊急時でも周囲に人がいる状況での使用も最大限の配慮が必要で、安易に噴射して自分にかかって動けなくなった例もあるようです。
誤噴射や被爆による応急処置
- 内容物が目に入った場合:すぐに流水で15分以上やさしく洗眼し、コンタクトレンズは5分以内に取り外す。
- 皮膚や衣服に付着した場合:衣類を脱ぎ、ただちに流水で15分以上洗い流す。
- 症状が改善しない場合は本製品を持参のうえ医療機関を受診する
海外や日本での誤噴射事故も複数件あります。


熊撃退スプレーって本当に必要?
その昔は仕事や研究調査で積極的にクマの生息域に入る方が携行するものでした。ところが近年は里山・市街地にも出没し被害が多くなる年もあり、出没頻度が多い地域では市町村がクマ撃退スプレーを推奨し、補助金がでている地域もあります。




熊に熊撃退スプレーを噴射している動画はありますか?
海外に実際に噴射している様子の動画がありました。熊が木に登ってるのはちょっと怖いですね。
熊スプレーは飛行機で運べますか?
スプレー缶は飛行機で荷物として運べません。例えば、東京から北海道まで行く場合は、熊撃退スプレーは「現地で購入」か「手持ちのスプレーを陸送」が必要になります。
以下の動画で輸送方法について解説されていて、参考になります。
熊撃退スプレーを使えば万が一襲われても助かりますか?
熊の専門家の方は「100%はないけれど90%助かる」と言われています。
過去、業務で9回襲われてますが、通常の5倍~10倍激しく攻撃してきた熊でも熊スプレーで撃退できた(以下の動画をご参照)
熊が近づいてきた時、熊撃退スプレーはどの距離で噴射したらよいですか?
5m~3m程度まで引き付けて噴射するのが推奨、と言われています。熊撃退スプレーのスペックは無風状態での測定値で、現実には風の影響を受けますので、確実に熊に届く距離が5m~3m程度と言われています。
10mだと風で飛ばされて効果がありません。5m,3m,2mと段階的に噴射します。最初の5mの距離での噴射でほとんどの熊が逃げます。
使用期限切れは使える?
刺激成分が劣化し効果が落ちる恐れがあるため推奨されていません。
使用期限の切れた熊撃退スプレーの処分方法は?
万が一用ですので、全く使用せずに使用期限を過ぎるケースがほとんどだと思います。
熊撃退スプレーは劇薬ですので、僅かに成分が目や皮膚に付着するだけで痛みが生じます。安全に処分する方法の動画がモンベルで紹介されていましたので、下記動画をご参考にしてください。


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