MENU

北アルプス・乗鞍岳(剣ヶ峰3026m)周辺で相次ぐクマ目撃と、長野県内の被害状況まとめ|登山者が今すぐできる安全対策

目次

背景

先週、北アルプス・乗鞍岳の山頂近くで「多くの登山者の列の間を、成獣とみられるクマがゆっくり歩く」様子を映した動画が共有されました。映像の撮影者の説明では、当時周辺に50人以上の登山者がいたとのこと。幸い、負傷者はなし。現地の山荘関係者からは「今月は山頂付近でほぼ毎日目撃」という声も出ています(いずれも映像・関係者談)。一方で、県内の里側でもトウモロコシ畑や養鶏場の被害市街地近くの目撃が続き、自治体が広く注意を促しています。乗鞍岳、乗鞍スカイライン公式サイト岐阜県公式サイトFNNプライムオンライン+1市民タイムス

この記事では、公式発表・報道ベースの事実を軸に、登山者が実務的に取るべき対策を整理します。感情に振れず冷静・実用重視でまとめました。


1. 最近の事象ダイジェスト(長野県内)

1-1. 乗鞍岳(剣ヶ峰 3026m)周辺:高山帯でも目撃が相次ぐ

1-2. 上伊那郡(辰野町など):畑のトウモロコシを長時間採食

  • 監視カメラにクマの姿。成功体験(=畑で安全に餌が得られる)がつくと場所を変えても繰り返すリスクが指摘されています。FNNプライムオンライン

1-3. 中野市:畑と養鶏場で連続被害

  • 市民農園のトウモロコシが食害約1km離れた養鶏場でニワトリ23羽、さらに前月にも26羽が襲われるなど、面的に被害が広がりました。FNNプライムオンライン

1-4. 松本市:市街地近接での通報と学校対応

  • 島内・宮渕などで相次ぐ通報。近隣の中学校・小学校が保護者送迎・集団登校などの措置を実施。市は防災無線・LINE等で注意喚起市民タイムス松本市

2. なぜ高山帯・登山道でも遭遇が起きるのか

  • 生息域の広さと季節要因:信州の山の多くはツキノワグマ生息域。夏季は行動範囲が広がりやすく、登山道・観光地でも遭遇リスクはゼロにはなりません。長野県公式サイト
  • 誘因物(食べ物・生ゴミ等):人由来の匂い・食べ物が学習のきっかけ。**「人=餌」**の成功体験がつく前に、徹底除去が重要です。FNNプライムオンライン

3. 登山者の実務的リスク対策

入山前

行動中

  • クマ鈴・ホイッスル・ラジオ等で存在を知らせる(過信は禁物。視界不良や風向きで伝わらないことも)。長野県公式サイト
  • 藪・沢沿い・見通しの悪い屈曲は声かけ・音出しで接近回避。
  • 食べ物・包装・生ゴミは密閉し、休憩地点に置きっぱなしにしない(誘因物の徹底排除)。長野県公式サイト
  • 小児・犬同伴時は特に距離管理(親子グマの防衛行動を誘発しやすい)。環境省

携行推奨(状況に応じて)

  • 熊撃退スプレー(カプサイシン)。使い方を事前訓練し、すぐ取り出せる位置で携行。適正距離・噴射方向・風向を即判断する。※航空機持込不可・高所/低温での作動特性に注意。**公式資料でも防御効果が示される一方、「万能ではない」**点を理解。環境省

4. 「遭遇したかも?」の初動

  • 遠距離で発見:落ち着いて距離を確保進路を譲る/静かに後退。餌場(ハイマツの実・残飯等)とクマの間に自分が入らない環境省
  • 近距離で遭遇走って逃げない。落ち着いて後退し、背を向けない
  • 威嚇・接近大声や物音で脅かしすぎない(状況悪化の恐れ)。スプレーの射程に入ったら噴射を検討。環境省
  • 攻撃を受けた場合顔面・頭部を腕で保護し、うつ伏せで重大損傷を最小化。機を見て退避。環境省

※市街地等で危険が切迫する場面は、110番通報や自治体連絡の判断が必要。各地の運用は警察庁通達・自治体方針に基づきます。警察庁


5. フィールドでありがちなNG行動

  • 食べ残し・匂い物を置く/埋める(誘因化の最たる要因)。長野県公式サイト
  • 至近距離での撮影・接近(ストレス・突発行動の誘発)。
  • スプレー未訓練・ザック奥底携行(実戦で取り出せない=無いのと同じ)。環境省

6. 事例から学ぶ——山と里、両面での「誘因物ゼロ化」

  • 高山帯:山頂付近(畳平〜剣ヶ峰)でも人流・飲食・残渣など人由来の匂いが集まりやすい。休憩時の管理持ち帰りの徹底が事故を減らします。岐阜県公式サイト
  • トウモロコシや鶏は強い誘因。学習→再来の流れを断つには圃場・鶏舎の物理対策残渣管理が不可欠。FNNプライムオンライン+1

7. 登山者向けミニ表(現場で迷わないために)

スクロールできます
状況目的具体行動補足
視界不良の稜線・藪接近回避音で存在を知らせる/見通しの悪い箇所は声かけ過信せず周囲確認 長野県公式サイト
クマを遠方に発見距離確保進路を譲り静かに後退餌場の間に立たない 環境省
近距離・威嚇気味衝突回避背を向けず後退、スプレー準備風向・距離を即判断 環境省
接触・転倒致命傷回避頭部保護しうつ伏せ体勢回復後に退避 環境省

8. 記事の編集注記

本文のうち、「登山者50人以上」「ほぼ毎日目撃」などの表現は、共有された映像・現地の声に基づく記述です。公式発表で人数・頻度が確定しているわけではありません。一方で、乗鞍岳周辺で目撃が相次ぐこと、畳平付近では状況により登山道を閉鎖し得ること、県内各地で農業被害や市街地通報が続くことは自治体・報道で確認できます。


参考・一次情報リンク(抜粋)


まとめ

  • 山頂域でも遭遇は起こる——人的誘因を絶つ・距離を取る・公式手順に則る。
  • 里側では「学習」を断つ——圃場・施設の物理対策と残渣管理。
  • 最新情報の確認と装備運用の徹底が、結局は最もリスクを下げます。岐阜県公式サイト長野県公式サイト

熊撃退スプレーのよくある質問

熊が出没による人身被害の多い都道府県はありますか?

環境省の資料によると、2019年~2024年の熊による人身被害件数が多い都道府県トップ5は、北海道、青森県、岩手県、秋田県、新潟県、福島県、長野県がほぼ占めています。

本州はツキノワグマですが、北海道はより巨体のヒグマで気性も荒いと言われています。北海道は地域によってはヒグマ出没が頻度が多く社会問題になっています。

熊鈴と併用すべき?

クマと出会わない対策が第一。鈴・ラジオで存在を知らせ、スプレーは最終手段です。

クマの専門家の方曰く熊鈴の効果は

  • 無風の開けた場所で最大300 m。
  • 強風・沢音・密林では大幅に減衰。
  • 「威嚇」ではなく“こちらの存在を知らせる手段” と割り切る。

と言われています。熊鈴は鈴型ではなく、音の大きなベル型が推奨です。

ただ、過去に人を襲って食べた熊は熊鈴の音を聞くと逆に寄ってくるという話もあり、過去にそういう事件があって解決していない山域では熊鈴は避けたほうが良いという意見もあります。

熊撃退スプレーの成分は何?
熊撃退スプレーの主な成分とその役割

主成分はカプサイシンおよび関連カプサイシノイドでOC(Oleoresin Capsicum)と呼ばれます。これらは唐辛子に含まれる辛味成分で、哺乳類の粘膜や眼球のTRPV1受容体を強烈に刺激し、瞬時に痛覚・熱覚を引き起こします。

OCは溶剤(水溶性と油性がある)に溶かされ、ガス(窒素or二酸化炭素or代替フロンなど)と共にスプレー缶に詰めれれています。

最強の熊撃退スプレーはどれですか?
COUNTER ASSAULT ca290 2 北アルプス・乗鞍岳(剣ヶ峰3026m)周辺で相次ぐクマ目撃と、長野県内の被害状況まとめ|登山者が今すぐできる安全対策
mt 北アルプス・乗鞍岳(剣ヶ峰3026m)周辺で相次ぐクマ目撃と、長野県内の被害状況まとめ|登山者が今すぐできる安全対策

スペック的にも実績的にも「カウンターアソールト CA290」が最強だと思います。詳しくは下記ページをご参照。

売れている人気の熊撃退スプレーはどれですか?
B 609 1 北アルプス・乗鞍岳(剣ヶ峰3026m)周辺で相次ぐクマ目撃と、長野県内の被害状況まとめ|登山者が今すぐできる安全対策
mt 北アルプス・乗鞍岳(剣ヶ峰3026m)周辺で相次ぐクマ目撃と、長野県内の被害状況まとめ|登山者が今すぐできる安全対策

価格が手頃でコンパクトな『ポリスマグナム B-609』が非常に人気です。ただしヒグマは非対応です。詳しくは下記ページをご参照。

カプサイシノイド濃度 が最大で2%なのはなぜですか?

米国環境保護庁(EPA)登録製品では総カプサイシノイド濃度 1〜2% が標準とされています。これは人体に対する非致死性と、野生動物に対する即効的な忌避効果のバランスを取った値であり、2%を超える処方は規制対象となり一般流通しません。

熊に遭遇した時の対処法ってあるの?
mt 北アルプス・乗鞍岳(剣ヶ峰3026m)周辺で相次ぐクマ目撃と、長野県内の被害状況まとめ|登山者が今すぐできる安全対策

約50年クマ研究されてきた日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さんの『熊に遭遇した時の対処法』の動画(約35分)が非常に有用です!

冬季は噴射力が落ちる?

気温0 °C付近でガス圧低下が起きる。内ポケット携行で温度を保つと良い。

人間にご誤噴射したらどうなる?
人間に熊撃退スプレーは危険!誤噴射リスクと具体的な事故例と応急処置

猛獣対策の熊撃退スプレーは対人用の護身用の催涙スプレーの何倍も強力な劇薬です。噴射物が僅かに目に入る・皮膚に付着するだけで数時間の痛みが続くようです

緊急時でも周囲に人がいる状況での使用も最大限の配慮が必要で、安易に噴射して自分にかかって動けなくなった例もあるようです。

誤噴射や被爆による応急処置

  • 内容物が目に入った場合:すぐに流水で15分以上やさしく洗眼し、コンタクトレンズは5分以内に取り外す。
  • 皮膚や衣服に付着した場合:衣類を脱ぎ、ただちに流水で15分以上洗い流す。
  • 症状が改善しない場合は本製品を持参のうえ医療機関を受診する

海外や日本での誤噴射事故も複数件あります。

熊撃退スプレーって本当に必要?

その昔は仕事や研究調査で積極的にクマの生息域に入る方が携行するものでした。ところが近年は里山・市街地にも出没し被害が多くなる年もあり、出没頻度が多い地域では市町村がクマ撃退スプレーを推奨し、補助金がでている地域もあります。

熊に熊撃退スプレーを噴射している動画はありますか?

海外に実際に噴射している様子の動画がありました。熊が木に登ってるのはちょっと怖いですね。

熊スプレーは飛行機で運べますか?

スプレー缶は飛行機で荷物として運べません。例えば、東京から北海道まで行く場合は、熊撃退スプレーは「現地で購入」か「手持ちのスプレーを陸送」が必要になります。

以下の動画で輸送方法について解説されていて、参考になります。

熊撃退スプレーを使えば万が一襲われても助かりますか?

熊の専門家の方は「100%はないけれど90%助かる」と言われています。

過去、業務で9回襲われてますが、通常の5倍~10倍激しく攻撃してきた熊でも熊スプレーで撃退できた(以下の動画をご参照)

熊が近づいてきた時、熊撃退スプレーはどの距離で噴射したらよいですか?

5m~3m程度まで引き付けて噴射するのが推奨、と言われています。熊撃退スプレーのスペックは無風状態での測定値で、現実には風の影響を受けますので、確実に熊に届く距離が5m~3m程度と言われています。

10mだと風で飛ばされて効果がありません。5m,3m,2mと段階的に噴射します。最初の5mの距離での噴射でほとんどの熊が逃げます。

使用期限切れは使える?

刺激成分が劣化し効果が落ちる恐れがあるため推奨されていません。

使用期限の切れた熊撃退スプレーの処分方法は?

万が一用ですので、全く使用せずに使用期限を過ぎるケースがほとんどだと思います。

熊撃退スプレーは劇薬ですので、僅かに成分が目や皮膚に付着するだけで痛みが生じます。安全に処分する方法の動画がモンベルで紹介されていましたので、下記動画をご参考にしてください。

人気ページ

関連リンク

  • URLをコピーしました!
目次