現在、上高地で唯一営業している山のひだやさん。(事前予約必要)
煙突から出る煙が、なんだか安心感を与えます。
今日の宿泊者は、私と野中ガイドの2人だけの貸し切り状態でした。
小屋に入ると、ご主人が薪ストーブに火を入れてくれていました。
皆でストーブを囲んで冷えた身体を温めます。
人数が少ないので、コーヒーを頂きながら、様々なお話を伺いました。
上高地のアイスクライミング
上高地付近には、2つのアイスクライミングのゲレンデがあるそうです。
今回伺ったのは、
- 霞沢岳 中千丈沢 Z滝
- 明神2263峰
の2つの氷壁です。
上高地 霞沢岳 中千丈沢 Z滝
小屋のご主人が、「大正池から1時間ほど歩いたところに文字のZの形状をした氷壁がある」と言っていました。
明神池付近、小屋内も携帯電話の電波が非常に強く、私のauスマホも4Gのアンテナ3本たっていましたので、ネットで検索してみたら、本当にZ文字の氷壁になっていて、驚きました。
ご主人自身は行ったこと無いようで、Z滝についてのみ伺いましたが、ネットで調べてみると霞沢岳の中千丈沢には他にも多数の氷壁があるようです。
興味のある方は、写真が掲載されたブログを覗いてみてください。
- ぶなの会 霞沢岳 中千丈沢 2013/3/23-24 (その他多数の氷壁の写真あり)
- Climbing Report 上高地中千丈沢 Z滝 2014.3.22 (アクセス地図あり)
明神2263峰
明神池から梓川右岸側を歩いていくと、林道に青い氷がゴロゴロ落ちている場所があって、そこから氷爆が見える。明神岳に2263峰というのがあって、その近くだね。」と言っていたので、帰りのルートを梓川右岸にして、林道を歩いていくと、たしかに大きな氷の塊が見えてきました。
私が見た1月11日はまだ氷が十分に発達していませんでしたが、小屋の女将さんのスマホで見せてくれた写真では、発達するとこのような感じになるそうです。
非常に難易度が高く、裏から登るとハングしているそうです。
そのため、海外へ遠征するような国際ガイドさんが、登りに来るそうです。
わざわざ海外へ行かなくても、ハングした氷爆が登れるとのこと。
小屋の主人曰く、2月頃に明神2263峰を登る方々が、山のひだやに宿泊するそうです。
○参考ブログ
○場所
白い十字の付近から上を見上げると、樹林が少し開けていて氷瀑が見えます。
樹林が少し開けているのは、おそらく巨大な氷の塊が落ちてきて、木々が育たないためと思われます。
灯油ランタン
冬期の山のひだやは、電気が使えません。
そこで、夜になると、吊り下がった灯油のランタンに、火がともります。
味わい深い暖色の明かりで、自然と心も和みます。
夕食
事前に電話で宿泊予約した時、「簡単な食事になります」と聞いていたため、全く期待していなかったのですが、しっかりした夕食が提供されました。
どれも美味しく、ご飯もたっぷりあり、とても満足できました。
部屋
宿泊する部屋は、個室でした。
真ん中にこたつ(豆炭で暖かい)があります。
また、カセットコンロのストーブもありました。
このカセットコンロのストーブでは温めきれないくらい、部屋全体がとても冷え切っているため、部屋の中で過ごすなら、こたつに入るか、布団に入るかになりました。
夜になると、湯たんぽ・・・ではなく、豆炭が入った豆炭あんかを渡されました。
私は北海道出身なのですが、この豆炭あんかの存在を知ったのはこれが初めてでした。
これを布団の足元に入れて寝ましたが・・・ずーっと暖かい☆
湯たんぽだと、朝方になるとだいぶ温度が下がってぬるくなりますが、これはずーっと一定温度で暖かかったです。
翌朝、ご主人に聞いた所、薪ストーブでこの豆炭を燃やして、容器にいれているとのことでした。
こんな小さな炭でも、あれだけ長い時間暖かいことに驚きました。
更に話を伺うと、豆炭自体は非常に安いようですが、入れる容器が結構する(約4000円)そうです。
ここで、豆炭あんかを知って自宅で使うようになる方もいる、とのことでした。
朝食
朝食はお雑煮でした。
上品な汁に焼いた餅が3つも入っていました。
餅を食べると・・・なんかこの餅は普通(さとうの切り餅など)の餅じゃないな、もち米の食感が残っていて、美味しい☆
どこからか特別に仕入れた餅かなと思ったのですが、聞いた所、「うちはここで餅つき機で作ってるんです。つるつるについた餅ではなく、あえてもち米の粒を残してます。万が一機械が壊れた時のことを考えて、2台あります。」とのこと。
何かと不便な環境でも、しっかりと美味しい食事を提供するため、様々配慮されているのだと、改めて感じました。
そろそろ、出発の時間です。
小屋の入り口にバスの時刻表が書かれています。
ザック背負って、スノーシューを付けて、いざ出発。
私は気づきませんでしたが、しばらくご夫婦が手を振ってくれていたそうです。
ご夫婦の心温まるもてなし、美味しい料理に、予想外の思い出ができました。
雪で閉ざされた上高地でも、時期になると何時間もかけて多くの登山者がここを訪れるそうですが、確かに納得です。
■山のひだや
※大人の事情で、ホームページに冬期営業に関する情報が掲載していないそうです。予約の際は、直接電話でお問合せください。近況はfacebookで確認できます。
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著者PROFILE
2009年末から寝袋と関連装備に特化したこのサイトを開設。いつの間にか運営10年を超える老舗サイトに。ファミリーキャンプから無積雪期登山、厳冬期登山、バイクのキャンプツーリングに自転車旅行、車中泊など、アウトドアを幅広く経験。寝袋の宿泊数は100泊以上~500泊未満。狭い業界ですが、まだまだ知らないこと沢山あり、日々勉強中です☆
谷川岳の雪洞で宿泊
今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。
雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)
雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。
自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。
楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆
寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。
キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。
『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。
これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。
『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。
テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆