ナンガの人気シュラフ「オーロラ」と「オーロラライト」は、どちらも防水透湿素材を採用した頼れるモデルですが、コンセプトや得意とするフィールドには違いがあります。

この記事では、AURORA TEXとAURORA TEX LIGHTのスペック差、具体的な使用シーン、重量や価格のバランスを整理しながら、「テント泊登山ならどっち?」「車中泊メインならどっち?」というリアルな迷いに寄り添い、後悔しにくい一本の選び方を解説していきます。


ナンガは、滋賀県米原市に本社を置く日本のダウン製品メーカーです。1941年の布団縫製業をルーツに、1990年代から自社ブランド「NANGA」で登山用シュラフやダウンウェアを展開しています。名前はヒマラヤの名峰ナンガ・パルバットに由来し、高品質な国産ダウンと丁寧な縫製、手厚いリペア体制で支持を集めています。
ナンガのシュラフ・寝袋の10の特徴
ナンガは日本国内で山岳・登山向けシュラフ市場をリードしている1社です。(その他大手:モンベル・イスカ)
- 国内メーカーならではの品質管理
自社工場(滋賀県米原市など)での生産が多く、縫製や検品の精度が高い傾向があります。 - ダウンの品質が安定している
スパニッシュダックダウンなどを中心に、フィルパワー表記もしっかりしていて、モデルごとの保温力が分かりやすいです。 - 「永久保証」(対象モデル)
純正のダウンシュラフには、縫製や生地のトラブルに対して修理を受け付ける独自の長期保証があり、長く使いやすい体制が整っています。
※別注モデルは対象外の場合もあるので注意が必要です。 - 豊富なモデルラインナップ
夏用・3シーズン・冬山用だけでなく、キャンプ向けワイドモデル、オーロラシリーズ(防水透湿)、オーロラライト(軽量)、UDD(撥水ダウン)など用途別に細かく選べます。 - 防水透湿素材「オーロラテックス」系の採用
結露やテント内の湿気に強いモデルが多く、特に冬キャンプや降雪時に扱いやすいです。 - サイズバリエーションが細かい
レギュラー・ショート・ロング、ワイドなど、身長や体格に合わせた選択肢が用意されています。 - 日本の気候・山岳環境を意識した温度設計
本州の冬キャンプ〜日本アルプスの冬山まで、日本人ユーザーの使用シーンを前提にした温度レンジがラインナップされています。 - 修理・カスタム対応がしやすい
ファスナー交換、ダウン増量、クリーニング等のアフターサービスが比較的充実していて、買い替えより「育てて使う」方向性に合っています。 - 別注・コラボモデルが多い
山渓、3ten、さかいや、サバティカル、ナチュラムなどとのコラボが豊富で、「好みのカラーや仕様で選べる」という楽しさがあります。 - ブランドとしての認知・リセールバリュー
国内での知名度が高く、中古市場でも比較的人気があり、買い替えやグレードアップもしやすいです。


記事のポイント
- オーロラはタフな40D生地のAURORA TEX採用で、安心感重視の防水シュラフ
- オーロラライトは15D生地+AURORA TEX LIGHTで、軽量性と透湿性を重視した山岳向けにも対応
著者PROFILE


名前:Masaki T
経歴:大手アウトドアショップで寝袋・マットのコーナーを中心に約4年間の接客経験に加え、独自の調査・研究を重ね、アウトドア情報を発信し15年以上。無積雪登山・雪山登山・クライミング・アイスクライミング・自転車旅行・車中泊旅行・ファミリーキャンプなど幅広くアウトドアを経験。(詳細プロフィール)
結論|ナンガ オーロラとオーロラライトの違い




一言でいうと「保護重視のオーロラ」「軽量重視のオーロラライト」
ざっくり言うと、
- オーロラは「結露や多少の濡れからしっかり守る、防水シェル重視のシュラフ」
⇒主にキャンプ用 - オーロラライトは「軽さと透湿性を優先した、テント泊登山にも対応できるシュラフ」
⇒登山・キャンプに両対応
というイメージになります。
「安心感を求めるのか」「軽快さを求めるのか」**が、大きな分かれ目になってきます。



オーロラとオーロラライトでは、防水透湿素材の上に圧着されている表地の強度(デニール数)も異なります。


D(デニール)は、糸の太さ(重さ)を表す単位です。アウトドア用品だと、テントや寝袋、スタッフバッグ、ザックの生地スペックに必ず出てきます。



D(デニール)の数字で生地の軽さや強度がわかります。
- 数字が小さい → 軽くてしなやかだが、摩耗にはやや弱い傾向
- 数字が大きい → 丈夫で破れにくいが、重くてゴワつきやすい傾向
傾向
- UL系・軽量志向 → 10D〜30Dが多い
- 耐久性・タフさ重視 → 70D〜210D以上が多い
用途イメージ
| デニール | 特徴・よくある用途のイメージ |
|---|---|
| 7D〜15D | 超軽量なダウン寝袋の表地・裏地、ウルトラライト系ウェア |
| 20D〜30D | 軽量テントのフライシート、寝袋の生地など |
| 40D〜70D | 一般的なテントのフライ・インナー、軽量ザックの一部 |
| 210D前後 | 底面(フロア)、ザック本体生地など、耐久性重視 |
| 420D以上 | ザックのボトム、ガシガシ使うギアの補強部位 |
ナンガ オーロラ/オーロラライトの防水透湿素材を徹底比較


外側シェル素材の違い|AURORA TEXとAURORA TEX LIGHTのスペック比較
| 項目 | オーロラテックス (AURORA TEX) | オーロラテックスライト (AURORA TEX LIGHT) |
|---|---|---|
| 用途 | 寝袋「オーロラ」シリーズ | 寝袋「AURORA TEX LIGHTシリーズ」 |
| 耐水圧 | 約20,000mm | 約20,000mm |
| 透湿性 | 約6,000g/㎡/24h | 約20,000g/㎡/24h(JIS L1099 B1法) |
| 防水構造 | 多孔質ポリウレタン 「防水コーティング」(2レイヤー) | 無孔質ポリウレタン 「防水ラミネート」(2レイヤー) |
| 生地感の傾向 | しっかりめ・ややタフ | 薄手・軽くてしなやか |
| 想定ポジション | ベーシック/スタンダード | 軽量・高機能寄りの上位グレード |
ナンガ独自の防水透湿素材であるAURORA TEXは、多孔質ポリウレタンコーティングを用いた2レイヤー構造の防水透湿素材です。耐水圧は2万mmクラス、透湿性は6,000g/m²/24h程度が目安とされ、雨や結露からダウンを守りつつ、内部の湿気もある程度逃がしてくれます。
一方、AURORA TEX LIGHTは、無孔質ポリウレタンフィルムをラミネートした極薄生地で、耐水圧は同等ながら透湿性は2万g/m²/24hクラスとされ、よりムレを逃がしやすい設計です。
オーロラテックス スクエアフット400には40Dオーロラテックス、オーロラテックス ライト450DXには15Dオーロラテックスライトが採用されており、「耐久性重視」と「軽量性重視」でシェルの役割がきれいに分かれていると言えます。



スペック表の数字だけを見ると、どちらも防水で「結局どっちでも良さそう」と感じるかもしれません。ですが実際には、透湿性の差が寝袋内のムレ感や翌朝のダウンのふくらみ方に影響してくることが多いです。
数字を「湿気がどれくらい抜けやすいかのイメージ」として眺めてみると、自分が求めている方向性にどちらが近いのか、少し見えやすくなります。
雨・雪・結露に強いのはどっち?実際のシーンを想定した耐候性比較



耐水圧だけ見れば、どちらもテント内の結露や飛沫程度では問題にならないレベルの防水性を持っています。
ナンガとしてもオーロラシリーズは「シュラフカバーなしで使える防水シュラフ」という立ち位置で、雨や雪が絡むシーンでの安心感は共通です。ただし、真夜中から明け方にかけて冷え込みが強く、テント内の結露が激しくなる状況では、透湿性の高いオーロラライトの方がダウンのへたりを抑えやすい傾向があります。
一方で、河原サイトや砂利サイトなど、物理的な擦れが多い環境では、40Dシェルを使うオーロラの方が「気を遣わずガシガシ使える」という意味で頼りになると感じる場面も多いです。



「防水性」という言葉に引っ張られると、とにかく数字の高いものが良さそうに見えてしまいますが、実際には**「どれくらい濡れを許容できるか」と「どれくらいラフに扱いたいか」**のバランスです。雨音が響くテントの中で、「このシュラフなら大丈夫」と思えるかどうかは、見た目以上に心を支えてくれます。自分が不安を感じやすいポイントを一つ決めるだけでも、選びやすさがかなり変わってきます。
全体のまとめ
- オーロラは40D生地でタフさと安心感を重視した防水モデル
- オーロラライトは15D生地と高透湿でテント泊登山向けの軽量モデル
- どちらも結露や多少の濡れからダウンを守れる防水設計
- 最終的には「どこで・どう寝たいか」を基準に選ぶと後悔しにくい
全体のまとめ文章
ナンガのオーロラとオーロラライトは、一見よく似た防水シュラフですが、得意とするフィールドとキャラクターははっきりと分かれています。



タフさと気楽さを優先するならオーロラ、軽さと透湿性を武器に山を歩きたいならオーロラライトというイメージが分かりやすい軸になります。
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