日本で流通する登山や旅行用の軽量なマミー型寝袋のほとんどは、寝た状態で右側にジッパー(スライダー)が付いています。
しかし、世界基準ではジッパーは左側が多いのが現状です。
海外製は左ジッパー(シートゥーサミットのシュラフ)
著者PROFILE
経歴:大手アウトドアショップで寝袋・マットのコーナーを中心に約4年間の接客経験に加え、独自の調査・研究を重ね、寝袋・マットの情報を中心としたこのサイトを運営して10年以上。無積雪登山・雪山登山・クライミング・アイスクライミング・自転車旅行・車中泊旅行・ファミリーキャンプなど幅広くアウトドアを経験。(詳細プロフィール) 名前:Masaki T
右ジッパーと左ジッパーの比較
右ジッパーと左ジッパーの比較実演
上の動画を見ると、右ジッパーより左ジッパーの方が右手で開けやすい様子が映し出されています。
なぜ日本では右ジッパー?
そうなると、なぜ日本では右ジッパーが主流なのか、と疑問に感じる思いますが、以下の点が要因ではないか、と思われます。
右ジッパーの方が直感的に開けやすい
寝袋のジッパー操作は、足元から首元までと距離が長いため、利き腕が明らかに操作しやすいです。
いままでに初心者の方が寝袋にマミー型の寝袋に初めて入る姿を何度も見てきましたが、左ジッパーの寝袋に入ると左手でジッパーを操作しようとする方が多かったです。ジッパーが左側だから、すぐ隣の左手で操作しようとなるようですが、普段ジッパーの操作をしない左手でスライダーの引手をつまんで開閉するため、とてもぎこちなくなってしまいます。もちろん、動画のように「左ジッパーは、右手をこのように使って開閉します」と説明するとできますが、それは説明されてわかることで、知らずに購入するとそのまま左手で操作し続ける可能性があります。
右ジッパーであれば、自然にそのまま右手で操作するため、左手よりはスムーズに開閉できます。
欧米人より日本人の方が全体的に身長が低く体格も細く、腕も短い
欧米人に比べ、日本人の方が全体的に身長も低く、見るからに体格も細く、おそらく腕も短いのではないか、と思います。
海外ブランドのウェア(日本向けリサイズされていないもの)を着た経験のある方はわかると思うのですが、腕(袖)が日本人向けのものより長くなっています。海外ブランドのウェアを着たいけど袖が長くて着れなくて、購入を断念する経験をされた方も多いのではないかと思います。
日本人は欧米人より全体的に身長低く、体格細く、腕も短いため、右ジッパーを腕を曲げて操作しようとしても、寝袋内の肩や胸周りの限られたスペース内で難なく操作できてしまうのです。
最後に
日本メーカーの右ジッパーのマミー型寝袋(モンベルなど)や海外の左ジッパーのマミー型寝袋(マウンテンエクイップメント)を持っていますが、私は右ジッパーの方が操作しやすいな、と感じます。(身長176.5cmで胸囲も太めで海外メーカーのウェアをそのまま着れる(少し袖長い、数センチ短いのがちょうどよいがそのままでも着れる程度)の腕の長さです。)
海外メーカーの冬期用の寝袋中には、ジッパー内側の断熱チューブの構造が上側のジッパー側からジッパー内側を覆うフラップのようにぶら下がった作りのものも(日本メーカー製はジッパー両側に断熱チューブが付いている)あるため、開閉しようとして左ジッパーのスライダーに右手を伸ばすと、右手をフラップの下側から潜り込ませてスライダーのつまみをとるため操作しにくいです。右手で操作にしくいので左手での操作に慣れたほうがいいんじゃないか、と感じたことさえあります。
そのため、日本では右ジッパーを右手で操作しにくい程度に大柄な方を除いて、基本的には右ジッパーが理にかなっているように感じます。ただ、軽量化のために細身にしているモデルなどでは、左ジッパーかセンタージップ(寝袋中央の胸上で開閉)が良いと思います。
関連ページ
著者PROFILE
2009年末から寝袋と関連装備に特化したこのサイトを開設。いつの間にか運営10年を超える老舗サイトに。ファミリーキャンプから無積雪期登山、厳冬期登山、バイクのキャンプツーリングに自転車旅行、車中泊など、アウトドアを幅広く経験。寝袋の宿泊数は100泊以上~500泊未満。狭い業界ですが、まだまだ知らないこと沢山あり、日々勉強中です☆
谷川岳の雪洞で宿泊
今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。
雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)
雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。
自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。
楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆
寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。
キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。
『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。
これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。
『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。
テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆