熊の出没例や逃げ切った例など様々ありますが、過去の統計的な事例や体験談を元に語られている情報は希少です。このページでは、数ある熊動画の中から、熊対策の専門家の方々の動画を発見しましたので紹介しています。

特に、日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さんの動画が非常に有用だと感じました。ぜひ動画を視聴してみてください!
クマ撃退スプレーは劇物です。使い方・注意点・熊との実践における使用方法・廃棄方法などの事前学習が大切です。熊対策の専門家・プロの発信情報を踏まえて情報を記載しています。
日本熊森協会|絶対知っておいてほしい「山で熊に遭遇した時の対処法」
動画の内容の要約
- 大声や威嚇行動は逆効果
クマは人間を恐れているため、突然「ワーッ!」と威嚇すると “自分の命が脅かされた” と判断し、本気で突進してくる危険があります。静かに落ち着き、刺激を最小限に抑えることが第一歩です。 - 攻撃を避けられない場合の防御姿勢
- ザック(リュック)があるとき
背負ったまま地面にうつ伏せになり、首の後ろに手を当てて急所を守ります。ザックがクッションになり、致命傷を防ぎやすくなります。 - ザックがないとき
両腕で頭部と首を覆い、体を丸めて急所をガードしてください。腕や背中は傷を負う可能性がありますが、重要臓器を守ることで生存率が上がります。
- ザック(リュック)があるとき
- 「死んだふり」の真意
いわゆる “死んだふり” は、実際には「抵抗をやめて急所を隠す防御姿勢」を取ることを指します。攻撃意図がないと示すことで、クマが自発的に離れる可能性が高まります。完全に動かない演技よりも、急所を守りながら静止することが重要です。 - クマ撃退スプレー(ベアスプレー)の注意点
- 風下にいる場合は自分に噴霧してしまう恐れがあります。
- 発射距離・風向・携行場所を常に想定し、確実にクマの顔面に届く状況でのみ使用してください。
- 失敗すると刺激性成分で自分が行動不能になり、さらなる危険を招きます。
- 最後の手段としての打撃
持っているストックや石を使ってクマの鼻先など急所を狙う方法もありますが、高いリスクを伴います。クマを刺激して攻撃を激化させる恐れがあるため、他の選択肢がない場合の最終手段と考えてください。 - クマを攻撃しないことの重要性
クマに対し先に攻撃を仕掛けると防御本能が最大化し、被害はかえって深刻になります。防御と回避を徹底し、クマの恐怖心を増幅させない行動を選択することが生存への近道です。
まとめ
- 威嚇しない・静かに行動
- ザックや腕で急所を守って伏せる
- 「死んだふり」は防御姿勢の一種
- ベアスプレーは風向と距離を確認して確実に
- 攻撃は最終手段。基本は防御と回避に徹する
日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さん| 熊に遭遇した時の対処法



約35分ほどの動画ですが、実際に熊に対処した複数の逸話が語られており、熊対策の情報として非常に有用だと思います!
(米田さんが熊撃退スプレーを日本に持ち込んだ第一人者だそうです)
<動画の内容>
00 00:00 冒頭
01 00:34 近年は対策法の想定をはるかに超えた出没数
02 01:15 登山中の 熊による事故 例は過去100件
03 01:50 人身事故は6月と秋、ふたつのピークがある
04 02:18 熊は植物の実を求め移動している
05 03:55 2009年に発生した乗鞍岳の 熊事故
06 04:18 人間を恐がらない近年の熊
07 06:26 通り道となる暗部が 熊と遭遇しやすい場所
08 08:14 熊に襲われた時の対処 はどれが正解?
09 10:14 熊は、熊を一番恐れている
10 11:44 木に登って逃げるのは避けた方がいい
11 13:55 ナタで戦えというのは昭和戦後の名残り
12 16:59 場合によっては 死んだふり も有効
13 17:49 襲撃時に守るべきは頸動脈と頭部
14 18:40 100%はないけれど、90%助かる方法はある
15 21:31 10m以上先に 熊を見つけた時のNG行為
16 23:46 後退りより、木の陰に隠れた方がいい
17 24:25 熊鈴 を鳴らすのはどれくらい有効か?
18 26:13 平野部と山林で遭遇時の対処法が違う
19 28:57 熊撃退スプレー の正しい使い方
20 33:19 熊と遭遇した際の対処法まとめ
動画の内容の要約
00. 冒頭
野生鳥獣の被害対策を長年担当してきた米田一彦さんが登壇し、学生時代から追跡してきた “クマ” の行動と人身被害の実態を共有しています。被害を最小化しつつクマの命も尊重する立場で活動してきた経緯を説明しています。
01. 近年は想定以上の出没数
- ここ数年、従来の対策を大きく上回る規模でクマが出没。
- 昨年も「大出没」と呼ばれるレベルだったが、今年も同規模が続く見込み。
- 2 年連続で大規模出没が続くのは過去に例がなく、“新常態” となりつつあります。
02. 登山中の事故は過去100 件
- 登山道や山頂近くで発生したクマ事故は通算で約100 件。
- 現在は通信網と搬送手段の発達で致命率は下がったものの、重傷搬送例は依然多い。
03. 人身事故は「6月」と「秋」にピーク
- 第1ピーク:6月 …子連れクマが多く防御的に攻撃しやすい時期。
- 第2ピーク:9〜10月 …どんぐり不作年など餌不足で人里に近づきやすい。
- この2 期を最も警戒する必要があります。
04. クマは植物の実を求めて標高を移動
- 春は低標高、夏は中腹広葉樹林、夏末〜秋初は森林限界付近の高山植物へと食物を追って縦移動。
- 登山者はあらゆる標高帯を通るため、どこかでクマと交差する確率が高い競技(活動)です。
05. 2009年 乗鞍岳畳平の集団事故
- 高山植物を食べに上がってきた若い1 頭が登山者10 人を負傷させた実例。
- 高標高でも油断できないことを象徴するケースです。
06. 近年のクマは人を恐れにくい
- 車道脇2 mで寝そべるなど、人間活動を気にしない個体が増加。
- 温暖化や人里の餌の豊富さで“学習”し、人馴れが進んでいると指摘。
07. 遭遇しやすい地形=「鞍部(あんぶ)」
- 山稜を越える“峠状の窪み”はクマの往来ルート。
- 川を横切る浅瀬や林道・登山道の切通しも交差点になりやすい。
- 事前に地図でチェックし、特に視界が悪い区間では警戒を強める必要があります。
08. 襲われた時の実際の対処例
- 道具を大きく振り回し「自分は巨大なクマだ」と誇示すると退散したケース多数。
- ピッケル・ストック・スコップなど手持ちの物品で体を大きく見せるのが効果的。
09. クマが最も恐れるのは「より大きなクマ」
- 縄張り争いの本能が強く、巨大な影や不規則に動く物体を警戒。
- 人間側が“巨大な存在”を演出することで戦意を削ぐ戦略が有効です。
10. 木に登る逃避はハイリスク
- 引きずり降ろされたり、落下骨折の事例が複数。
- 体力消耗や逃げ場を失うリスクの方が大きいため一般登山者には推奨されません。
11. 「ナタで戦え」は昭和の名残り
- 昭和期は山村若年層が多く医療体制も脆弱で“反撃”を選ぶしかなかった。
- 現代の高齢登山者がナタで応戦するのは非現実的。
- 打撃用としてはピッケルやストックの方が実用的です。
12. 「死んだふり」は防御姿勢として有効
- うつ伏せ+ザックで首・顔を防護が基本。
- 頸動脈を守り意識を失ったように動かないことでクマの興味をそぎやすい。
13. 最優先で守る部位は頸動脈と頭部
- ここを守れれば重傷化・致命傷を大幅に減らせるため、防御姿勢の要。
14. 90%助かる切り札=熊撃退スプレー
- 北米データでも成功率約90%。
- 日本での実地使用20例中、講師自身が9 回使用し全て撃退成功。
- ポイント
- 事前練習で操作・噴射距離を体得
- 風向きを読み風上に立つ
- 4〜5 m以内で顔面に直接噴射
15. 10 m以上先でクマを見たらNG行動
- 横移動・走る・手を振る → 視認されやすく突進誘発。
- 半身を藪や岩陰に隠し、静止して様子を見るのが最善。
16. 後退りより「木の陰に隠れる」
- 方向転換や後退は転倒リスク大。
- 樹木を盾に全身を隠しクマの視界から消える方が安全。
17. 熊鈴の有効範囲と限界
- 無風の開けた場所で最大300 m。
- 強風・沢音・密林では大幅に減衰。
- 「威嚇」ではなく“こちらの存在を知らせる手段” と割り切る。
18. 平野部と山林では対処法が異なる
- 平野部:クマは逃走経路を探して走り回るため多人数被害が起きやすい。
- 山林:単独行動の登山者が狙われやすいが、事故は局地的。
- いずれも6月と10月は特に要警戒。
19. 熊撃退スプレーの正しい使い方(詳細)
- 発射距離:5 m以内が理想。
- 照準:鼻先〜目を扇状に覆うように1〜2 秒噴射。
- 風上位置の確保:横移動で風上を取りながら噴射。
- 訓練:空缶や的を使い、狙点・射程を身体で覚える。
- 事後処置:自分に噴霧した場合は拭き取り→流水冷却。
20. 遭遇/襲撃時の行動総まとめ
- 逃げ足より防御・撃退装備を重視
- クマより速く走れない、藪では特に不利。
- まず巨大に見せる
- ザックを背負い、ストックやピッケルを頭上で振り上げる。
- 熊撃退スプレーを常備し、5 m以内で確実噴射
- 最後の盾は防御姿勢(うつ伏せ+急所ガード)
- 木登りや全力走行は原則避ける
- 事前の鈴・声かけで存在を知らせ、遭遇確率を下げる
エッセンス
- 「クマを刺激しない・恐怖心を煽らない」 が基本方針。
- 防御姿勢とスプレーを柱に「90%助かるシナリオ」を構築できます。
- 遭遇のリスクはゼロにできませんが、知識と装備で致命率を大幅に下げることは可能です。
安全登山のために、装備点検と行動計画を今一度見直してみてください。
熊撃退スプレーのよくある質問
熊が出没による人身被害の多い都道府県はありますか?
環境省の資料によると、2019年~2024年の熊による人身被害件数が多い都道府県トップ5は、北海道、青森県、岩手県、秋田県、新潟県、福島県、長野県がほぼ占めています。
本州はツキノワグマですが、北海道はより巨体のヒグマで気性も荒いと言われています。北海道は地域によってはヒグマ出没が頻度が多く社会問題になっています。


熊鈴と併用すべき?
クマと出会わない対策が第一。鈴・ラジオで存在を知らせ、スプレーは最終手段です。
クマの専門家の方曰く熊鈴の効果は
- 無風の開けた場所で最大300 m。
- 強風・沢音・密林では大幅に減衰。
- 「威嚇」ではなく“こちらの存在を知らせる手段” と割り切る。
と言われています。熊鈴は鈴型ではなく、音の大きなベル型が推奨です。
ただ、過去に人を襲って食べた熊は熊鈴の音を聞くと逆に寄ってくるという話もあり、過去にそういう事件があって解決していない山域では熊鈴は避けたほうが良いという意見もあります。
熊撃退スプレーの成分は何?


主成分はカプサイシンおよび関連カプサイシノイドでOC(Oleoresin Capsicum)と呼ばれます。これらは唐辛子に含まれる辛味成分で、哺乳類の粘膜や眼球のTRPV1受容体を強烈に刺激し、瞬時に痛覚・熱覚を引き起こします。
OCは溶剤(水溶性と油性がある)に溶かされ、ガス(窒素or二酸化炭素or代替フロンなど)と共にスプレー缶に詰めれれています。


最強の熊撃退スプレーはどれですか?





スペック的にも実績的にも「カウンターアソールト CA290」が最強だと思います。詳しくは下記ページをご参照。


売れている人気の熊撃退スプレーはどれですか?





価格が手頃でコンパクトな『ポリスマグナム B-609』が非常に人気です。ただしヒグマは非対応です。詳しくは下記ページをご参照。


カプサイシノイド濃度 が最大で2%なのはなぜですか?
米国環境保護庁(EPA)登録製品では総カプサイシノイド濃度 1〜2% が標準とされています。これは人体に対する非致死性と、野生動物に対する即効的な忌避効果のバランスを取った値であり、2%を超える処方は規制対象となり一般流通しません。


熊に遭遇した時の対処法ってあるの?



約50年クマ研究されてきた日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さんの『熊に遭遇した時の対処法』の動画(約35分)が非常に有用です!
冬季は噴射力が落ちる?
気温0 °C付近でガス圧低下が起きる。内ポケット携行で温度を保つと良い。
人間にご誤噴射したらどうなる?


猛獣対策の熊撃退スプレーは対人用の護身用の催涙スプレーの何倍も強力な劇薬です。噴射物が僅かに目に入る・皮膚に付着するだけで数時間の痛みが続くようです
緊急時でも周囲に人がいる状況での使用も最大限の配慮が必要で、安易に噴射して自分にかかって動けなくなった例もあるようです。
誤噴射や被爆による応急処置
- 内容物が目に入った場合:すぐに流水で15分以上やさしく洗眼し、コンタクトレンズは5分以内に取り外す。
- 皮膚や衣服に付着した場合:衣類を脱ぎ、ただちに流水で15分以上洗い流す。
- 症状が改善しない場合は本製品を持参のうえ医療機関を受診する
海外や日本での誤噴射事故も複数件あります。


熊撃退スプレーって本当に必要?
その昔は仕事や研究調査で積極的にクマの生息域に入る方が携行するものでした。ところが近年は里山・市街地にも出没し被害が多くなる年もあり、出没頻度が多い地域では市町村がクマ撃退スプレーを推奨し、補助金がでている地域もあります。




熊に熊撃退スプレーを噴射している動画はありますか?
海外に実際に噴射している様子の動画がありました。熊が木に登ってるのはちょっと怖いですね。
熊スプレーは飛行機で運べますか?
スプレー缶は飛行機で荷物として運べません。例えば、東京から北海道まで行く場合は、熊撃退スプレーは「現地で購入」か「手持ちのスプレーを陸送」が必要になります。
以下の動画で輸送方法について解説されていて、参考になります。
熊撃退スプレーを使えば万が一襲われても助かりますか?
熊の専門家の方は「100%はないけれど90%助かる」と言われています。
過去、業務で9回襲われてますが、通常の5倍~10倍激しく攻撃してきた熊でも熊スプレーで撃退できた(以下の動画をご参照)
熊が近づいてきた時、熊撃退スプレーはどの距離で噴射したらよいですか?
5m~3m程度まで引き付けて噴射するのが推奨、と言われています。熊撃退スプレーのスペックは無風状態での測定値で、現実には風の影響を受けますので、確実に熊に届く距離が5m~3m程度と言われています。
10mだと風で飛ばされて効果がありません。5m,3m,2mと段階的に噴射します。最初の5mの距離での噴射でほとんどの熊が逃げます。
使用期限切れは使える?
刺激成分が劣化し効果が落ちる恐れがあるため推奨されていません。
使用期限の切れた熊撃退スプレーの処分方法は?
万が一用ですので、全く使用せずに使用期限を過ぎるケースがほとんどだと思います。
熊撃退スプレーは劇薬ですので、僅かに成分が目や皮膚に付着するだけで痛みが生じます。安全に処分する方法の動画がモンベルで紹介されていましたので、下記動画をご参考にしてください。


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