コロナ以前はキャンプや登山等でインナーシーツを使う方はかなり少ない印象でした。理由は、必ずしも必要でなく、別途購入費用や荷物が増えるためです。
ところが、コロナウイルスの影響で、
- 山小屋側から『インナーシーツや、枕カバーの持参してください』と呼びかける山小屋も多くなった
- 登山者側でも自衛の対策として、インナーシーツを選択する方が増えた
と状況が大きく変わりました。
インナーシーツの利用でどれだけコロナの感染予防ができるのか?
まず、宿泊者に感染者がいた場合、寝具にどの程度コロナウイルスが残存している可能性があるのか?ですが、参考となる資料がありました。
[出典:長野県 新型コロナウイルス感染症対応ガイドブック第4版(宿泊施設用)(最終更新日:令和2年11月)]ダイヤモンド・プリンセス号における内容(何泊もしている)のため、山小屋泊(1泊滞在)と同じ状況とは言えませんが、枕からコロナウイルスの遺伝子検出率が34%となっています。
寝具は滞在時間が長く、枕は口元に近く飛沫も落ちやすいため、他の場所に比べて高い検出率となったのか、と推測されます。
次に、枕にコロナウイルスが残存期間です。
各種表面とコロナウイルスの感染性[出典:はらしまクリニック]
枕は布類に該当しますので、おおよそ1日~2日程度残存する可能性があるようです。
以上の参考データを元に、『山小屋等の共用寝具を持参したインナーシーツや、枕カバーで感染予防ができるのか?』を考えると、利用から2日以上経過した寝具であれば比較的安全と言えるかもしれませんが、繁忙期のように日替わりで様々な方が利用する場合は、シーツの変更や上から持参のシーツで覆うことで、どのていど感染予防できるのかは、山小屋側でどのていど衛生管理・対策しているかによると思います。
また、登山再開に向けた知識|山岳医療救援機構(最終更新2020年5月25日)に
- Q : 小屋の寝袋を使用することは可能ですか?
- A : 個人のインナーシュラフ等を使用して、共用の寝袋を使うことは、インナーの素材に関わらず、感染リスクを減らすことはできません。顔などを触れた手で共用寝袋を触れたり、マスクが外れたりすることがあるからです。共用寝袋を使用するのであれば、毎回洗濯し、完全乾燥する必要があります。ゴアテックス素材のシュラフカバーもありますが、ゴアテックス社は、ゴアテックス素材による新型コロナウィルスの防御性能は保証
していません。
と書かれています。
山小屋からインナーシーツ持参の案内があった場合は、上記の留意点を把握した上で、活用していただければと思います。
著者PROFILE
2009年末から寝袋と関連装備に特化したこのサイトを開設。いつの間にか運営10年を超える老舗サイトに。ファミリーキャンプから無積雪期登山、厳冬期登山、バイクのキャンプツーリングに自転車旅行、車中泊など、アウトドアを幅広く経験。寝袋の宿泊数は100泊以上~500泊未満。狭い業界ですが、まだまだ知らないこと沢山あり、日々勉強中です☆
谷川岳の雪洞で宿泊
今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。
雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)
雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。
自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。
楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆
寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。
キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。
『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。
これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。
『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。
テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆
山小屋における最善の対応策の1案として、甲斐駒ヶ岳七丈小屋の対応が参考になります。七丈小屋では、
となっています。[出典:七丈小屋 感染対策マニュアル]