Hannes Grobe Hgrobe 10:19, 25 May 2006 (UTC), CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons
最近、ヴィーガンファッション講座:どうしていけないのダウン?という記事を読み、植物由来の素材から生まれるダウンジャケットが存在することを知りました。
その記事の中で、カポックという木の実から採れる繊維を活用したカポックノットなど、植物由来の原料から製造されるダウンが登場していることを知りました。
リサイクルダウンの他にも、動物倫理の課題の根幹へアプローチする選択肢として代替素材を使用したダウンへの注目も高まっています。例えば、花びらから生まれた生分解性素材(微生物の働きによって土に還る素材)を使用したPANGAIAのFLWRDWN™や、カポックという木の実から採れる繊維を活用したカポックノットなど、植物由来の原料から製造されるダウンが登場しています。[出典:ヴィーガンファッション講座:どうしていけないのダウン? ]
今回、カポックの断熱材に興味がわき、様々調査してみました。
カポックとは?
カポックを使用するメリットは大きく分けて3つある。
1つ目は、軽さ。コットンの1/8と言われており、薄手のコートと同等の軽さでダウンに匹敵する暖かさが実現できるという。羽毛は使用されていないため、羽が飛び出すこともない。
2つ目は、暖かさ。化学繊維と異なり、湿気を吸って暖かくなる吸湿発熱機能がある。
3つ目は、エコ。植物由来だが木の実を使用するため森林伐採はしない。当然アニマルフリーだ(一説によると、ダウンジャケット1枚につき約70羽の羽毛が使用されていると言われている)。需要が増えれば、東南アジアでの雇用創出や緑化にも繋がる。[出典:ゴリミー]
以下動画もご参照。
カポックは糸状にすることが難しかった
複数の優れた特徴があるものの、繊維が短く糸状にするのが難しかったそうです。
「糸状にすることが難しいため、これまでは各メーカーでも商品化に至らず、クッションの詰め物や海水に浮く油を吸うオイルキャッチャーなど、限られた用途にのみ使われてきた素材でした」。この難局を乗り越えるべく、繊維メーカーの旭化成と共同研究を進めた結果、シート状の「エシカルダウンカポック™」の開発に成功した。[出典:VOGUE]
日本では主にアウタージャケットの保温材として活用
厚さがたった5mmの「エシカルダウンカポック™」を中綿に用いたアウターは、一般的な薄手コートと同等の重量であるにも関わらず、天然ダウンに匹敵する暖かさを保つことができる。そして最大の利点は、アニマルフリーであるということ。一着につき30羽以上の水鳥が犠牲になっているといわれている従来のダウンジャケットに対して、カポックの樹木1本から作れる植物由来のジャケットの生産数は、なんと約30着。環境にも動物にも優しい素材だといえる。[出典:VOGUE]
最後に
このカポックに興味を持ったのは、寝袋の断熱材として使えそうなのか興味を持ったためです。寝袋では、未使用時に強く圧縮して収納するため、長期間圧縮されても元の嵩高(ロフト)に回復するかが重要な要素になります。水鳥のダウンは、この性能がずば抜けて優れているため、現状、山岳向けの寝袋(シュラフ)で主流となっている大きな要因です。
今回調べてみて、カポックに関するこの性能はわからず、寝袋の保温材としての活用可能かはわかりません。ただ、軽量かつアニマルフリーの点にとても注目しています。
このカポック繊維、日本ではそれほど普及していないようですが、海外の英語サイトで”Kapok Fiber” “Kapok Wool”と検索すれば様々な製品がでてきます。
アメリカのamazonで検索すると、
- kapok pillow
- kapok mattress
- kapok zabuton
- kapok zafu
- kapok cushion
などが検索候補に出てきます。(参考URL:https://www.amazon.com/s?k=kapok&ref=nb_sb_noss_1)
現状、製品リストを見ると、カポックを断熱材利用ではなく、クッション材としての活用が主流のようです。
因みに、kapok zafu とは何?と気になり調べた所、座禅用のクッションで”座蒲”というものがあることを初めて知りました。
カポックノットのジャケット、いつか機会があれば見てみたいと思います。
参考サイト
- ヴィーガンファッション講座:どうしていけないのダウン?
- カポックノット
- 超軽量で暖かい!今、話題のカポック繊維を使ったKAPOK KNOTのヴィーガンダウン(VOGUE)
- 発熱する新素材「カポック」を使用したKAPOK KNOTのアウター、快適すぎて即購入した
著者PROFILE
2009年末から寝袋と関連装備に特化したこのサイトを開設。いつの間にか運営10年を超える老舗サイトに。ファミリーキャンプから無積雪期登山、厳冬期登山、バイクのキャンプツーリングに自転車旅行、車中泊など、アウトドアを幅広く経験。寝袋の宿泊数は100泊以上~500泊未満。狭い業界ですが、まだまだ知らないこと沢山あり、日々勉強中です☆
谷川岳の雪洞で宿泊
今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。
雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)
雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。
自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。
楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆
寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。
キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。
『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。
これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。
『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。
テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆