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寝袋(シュラフ)内でハクキンカイロと改良ZIPPOカイロを使用した時、どのような温度変化を示すのか、実験してみました。

 

実験の目的

ハクキンカイロは寒く冷え込む時期に様々なアウトドアシーンで使われる暖房器具です。使い捨てカイロほど手軽ではないですが”熱量(カロリー)は使い捨てカイロの約13倍”と言われてます。ベンジンを注油し“繰り返し使用”するため、使用後にゴミが出ないのが特徴です。

発熱の原理の詳細は以下になります。

ハクキンカイロはベンジン(炭化水素・CmHn)を触媒燃焼させて、その燃焼熱をカイロの熱として利用しています。

当社のプラチナ触媒はガラス繊維にプラチナ(Pt)の微粒子を独自の方法で担持させたものです。微粒子のプラチナ(Pt)は、自己の体積の100倍以上の酸素を吸着させる能力があり、しかも吸着した酸素は極めて反応しやすい状態になって、すぐれた酸化活性を発揮します。

触媒を用いないで燃焼させると25ccのベンジン(炭化水素・CmHn)は、数分で燃え尽きてしまいますが、プラチナ触媒を用いると、24時間暖かさを持続することができます。
また、触媒を用いないと700~800℃という高温が必要ですが、プラチナ触媒を用いると、130℃~350℃という低温で炭酸ガス(CO2)と水(H2O)に完全酸化分解させることができます。
さらに低温での燃焼ですからNOX(窒素酸化物)の発生の心配もありません。[出典:ハクキンカイロ]

ハクキンカイロは、気化したベンジン(炭化水素・CmHn)が火口のプラチナ触媒で酸素(O2)と低温燃焼(130℃~350℃)する熱を活用した暖房器具になります。炭酸ガス(CO2)と水(H2O)に完全酸化分解します。水は水蒸気となって空気中に放出されます。

化学反応式では

CmHn + (m+n/4)O2 → mCO2 + (n/2)H2O

となるようです。

前置きが長くなりましたが、ハクキンカイロの燃焼には空気中の酸素が必要です。今回の実験は、酸素が潤沢とは言えない空間である寝袋の中で、熱量(カロリー)は使い捨てカイロの約13倍と言われるハクキンカイロが通常通りに発熱(燃焼)するのか?を検証するための実験です。(※この実験は、寝袋内でのハクキンカイロの使用の安全を保証するものではありません。)

 

実験に使用した物

ZIPPOカイロ(改),ハクキンカイロ

ハクキンカイロとZIPPOカイロ(改)

左)ZIPPOカイロ ハンディウォーマー改 右)ハクキンカイロ

ZIPPOカイロ ハンディウォーマーは、おそらく2010年前後に購入したものです。クライマーの方から「寒い時期のクライミングの後に手を暖めるのに良い」と聞いて、なるほどどんなものかと思って購入しました。その後ほとんど使わずタンスの肥やしになっていました。

その後、2018年に写真右のハクキンカイロを購入。使ってみるとZIPPOよりずっと温かいことがわかりました。一体どこが違うのか、調べるとZIPPOカイロ ハンディウォーマーと火口の作りが異なり、それが発熱の違いとわかりました。ハクキンカイロ純正の換え用火口を購入し、ZIPPOカイロに付け替えました。

ZIPPOカイロ 火口とハクキンカイロ 火口

左下)ハクキンカイロ火口 右上)ZIPPOカイロ火口

実験した結果、経年劣化の影響もあると思いますがが、明らかにハクキンカイロ火口の方が赤くなり発熱します。

今回の実験では、

  • ハクキンカイロ(スタンダード)
  • ハクキンカイロ火口に付け替えたZIPPOカイロ ハンディウォーマー

を使用します。

「ハクキンカイロ スタンダード」の購入者レビューと実売価格

 

「ZIPPO カイロ ハンディウォーマー」の購入者レビューと実売価格

 

ZIPPOオイル

ハクキンカイロにZIPPOオイルを入れる

ハクキンカイロ用のベンジンは数種類ありますが、その中でも最も入手しやすいのがZIPPOオイルです。

ZIPPOオイルは、他のカイロ用ベンジンに比べても価格は高いが、使用時のベンジン臭が少なく(それでも実際使うとある程度のベンジン臭いがある)、燃費も良いとこのサイトに記載されています。

ZIPPOオイルはライター用オイルとして、コンビニでも入手可能(近くのホームセンター安く購入できました)のため、今回の実験ではZIPPOオイルを使いました。

「zippo オイル缶」の購入者レビューと実売価格

 

RC-5 USB温度データーロガー

  • 測定温度範囲:-30°C~+70°C;
  • 温度最小表示:0.1°C
  • 記録容量:32000ポイント(MAX)
  • 測定精度:±0.5 °C(-20℃~+40℃); ほか、+1 ℃
  • 記録時間間隔:10秒~24時間
  • 防水:IP67
  • センサー:内部NTC熱抵抗
  • 電源:リチウム電池(CR2032)×1個(付属)
  • サイズ:84×34×14mm
  • 重量:30g

RC-5 USB温度データーロガーは、温度計で、専用ソフトで指定した時間間隔の温度を32000ポイントまで内部に記録することができる温度測定器です。測定温度範囲:-30°C~+70°Cのため、沸騰した直後のお湯ではなく、沸騰する手前のお湯をナルゲンボトルに入れました。

「RC-5 USB温度データーロガー」の購入者レビューと実売価格

 

モンベル U.L.スーパースパイラルダウンハガー#2(現在ダウンハガー800 #2)

私が購入した当時は、U.L.スーパースパイラルダウンハガー#2という名前だった、800FPグースダウンを使用したモンベルの山岳用の寝袋です。その後一部リニューアル&名前変更で、ダウンハガー800 #2となっています。当時のカタログで快適睡眠温度が-4℃、3.5シーズン対応の保温力があります。ただ、購入して数年経過&何度も使用してきているため、保温力は多少低下していると思います。

「モンベル ダウンハガー800 #2」の購入者レビューと実売価格

 

実験の手順

以下、実験の手順です。

2つのカイロを用意。

ハクキンカイロにZIPPOオイルを入れる

ハクキンカイロにZIPPOオイルを入れる 

ハクキンカイロにZIPPOオイルを入れる

計量カップで12時間分入れる

ハクキンカイロにZIPPOオイルを入れる

ZIPPOオイルを脱脂綿が詰まったタンクに入れる

ハクキンカイロをライターで点火

火口をライターであぶる。これで触媒燃焼が始まる

ハクキンカイロの触媒燃焼で火口が赤くなる

まもなくハクキンカイロの触媒燃焼で火口が赤くなる 

ハクキンカイロをフリースケースに入れる

すぐに熱くて本体を手で持てなくなるので、フリースケースに入れる 

ZIPPOカイロハンディウォーマー(火口はハクキンカイロ製)も着火し

ZIPPOカイロハンディウォーマー(火口はハクキンカイロ製)もZIPPOオイル12時間分を充填し、着火。

温度計ロガーと一緒に靴下へ入れる

フリースに入れたカイロの上にRC-5温度ロガーをのせ、靴下に入れる

ハクキンカイロを寝袋の中へ

一つ(ZIPPOカイロ改)は、ハクキンカイロを寝袋の中へ

もう一つはマットの上に

ハクキンカイロは隣のマットの上に置く。

その後そのまま放置し、温度変化を計測。

 

ZIPPO改とハクキンカイロは火口は同じとはいえ別の製品です。そこで、以上の手順を、入れ替えて測定しました。

1回目)寝袋の中にZIPPO改。マットの上にハクキンカイロ。

2回目)寝袋の中にハクキンカイロ。マットの上にZIPPO改。

 

測定結果まとめ

寝袋にハクキンカイロとZIPPOカイロ改を入れた時の温度変化

寝袋にハクキンカイロとZIPPOカイロ改を入れた時の温度変化

ZIPPO改、ハクキンカイロをRC-5温度ロガーと一緒に靴下の中へ入れ、それぞれをマットの上と寝袋の中に入れたときの温度変化を測定した結果をまとめたグラフです。

RC-5温度ロガー自体がある程度の厚みがあり、カイロの熱の伝わりがRC-5温度ロガーの片側からにはなり、厳格な測定環境とはいえませんが、ある程度の参考にはなると思います。寝袋の中に入れた方が熱がこもりやすいため、よりRC-5温度ロガー全体に熱を伝えやすい環境といえます。

また、RC-5温度ロガーの測定温度範囲は-30°C~+70°Cとなっているため、70℃以上の温度は製品保証外の測定温度になります。寝袋の中(ハクキンカイロ)の9時間後の温度は実際にはRC-5の設定上限値89.9℃を超えNCとなりましたが、それだとグラフが見にくいので9時間5分の測定値の温度89.9℃の値を入れています。

考察

測定装置や環境ともに完全とはいえませんが、今回の測定結果より、ハクキンカイロとZIPPOカイロ改ともに、マットの上に置いたときより寝袋の中に入れた方が温度が上昇しています。寝袋に入れると徐々に温度が上昇しピークを迎えて急激に温度が下降していく傾向は同じです。マットに置いたときより早く温度低下するのは、燃料が早く切れたためと思われます。

また、今回の実験目的である、酸素が潤沢とは言えない空間である寝袋の中でハクキンカイロが通常通りに発熱(燃焼)するのか?については、問題なく燃焼する、それどころかある程度空気があり熱がこもりやすい環境ではより高温になる、と言えるでしょう。

(補足ですが、寝袋の足元にカイロを入れた後、そのまま触らず放置しています。寝袋の重みで中の空間はほぼぺちゃんこの環境下での実験しています。)

また、燃料であるZIPPOオイルをしっかり12時間分測定して、入れていますがより高温になったものほど(より触媒燃焼したものほど)早くに温度が下がって(燃料切れ)を起こしています。

そして、ZIPPOの火口をハクキンカイロ用に換えたものと、ハクキンカイロの違いを見ると、全体的にハクキンカイロの方が温度が高くなっています。この違いは、実際に使っていて以前から感じていたことですが、測定結果をみるとやはりそうだったか、という感じです。この温度の違いは、火口の個体差なのか、蓋の通気口の形状(通気孔の大きさ、位置などによって、カイロの温度と持続時間が調節されている。ZIPPOは○型、ハクキンカイロは孔雀の型)の違いなのか、フリースケースの違い(ほとんど差を感じませんが)なのか、その他なのかわかりません。

ただ、なんとなくZIPPOカイロとハクキンカイロのどちらかを買うか迷ったら、暖かさを求めるならハクキンカイロ純正を選んだ方が良いかもしれません。

「ハクキンカイロ スタンダード」の購入者レビューと実売価格

 

「ZIPPO カイロ ハンディウォーマー」の購入者レビューと実売価格

ZIPPOカイロは私が購入した時と仕様が変更されているかもしれませんので、最近の購入者レビューを参考にしてみてください。

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