この寝袋関連の情報を発信するサイトを作成して10年以上経過し、ここ数年頭をよぎる内容の1つが「動物を犠牲にしないダウンのような素材は無いだろうか?」です。
現在、主流の寝袋の中綿の多くが化繊綿(中空ポリエステル綿)とダウンがほとんどで、稀に木綿(コットン)が使われています。重量・容量の制約が大きくないファミリーキャンプ向けの寝袋の多くが軽量かつメンテナンスのしやすい化繊綿(中空ポリエステル綿)が使われていますが、軽量・コンパクトが重要視される登山向けの寝袋(シュラフ)には、ほぼほぼダウンが使われています。
ダウンの採取方法
ネットで調べてみるとダウンの採取方法を4種類ほどあるようです。
- マシーンプラッキング:と殺後に機械で羽毛を採取する方法
- ライヴプラッキング:ふ化してから90日頃に生きたグースから毛をむしり取る。現在は禁止
- ハーベスティング:自然に脱毛する季節にガチョウのダウンおよびスモールフェザーを取るマザーグースに適用
- アイダーダウンの採取法:巣作りに使用された羽毛を雛が巣だった後に人の手で拾い集めるアイダーダックに適用
その昔は生きた水鳥(ガチョウ、ダック)を殺さずにダウンのみを採取する方法もあったようですが、残酷という理由からヨーロッパではEU動物愛護法により禁止されているようです。(だた裏では実際どうしているかわからない、との情報も)
水鳥からダウンを採取する様子を映した動画が掲載されたサイトがあります。水鳥から強引に毛をむしり取る様子、水鳥を殺す様子はとても生々しいです。閲覧注意の内容ですが、次のサイトに掲載されています。
最後に
我が家にはたくさんのダウン製品があります。ダウンの寝袋も複数所持しています。このサイトを立ち上げた当初からダウンは水鳥の命の犠牲の上に成り立っていることを知っていましたが、そのことについて深く調査してきませんでした。ここ数年、アウトドアのジャケット等でRDS認証(レスポンシブル・ダウン・スタンダード)が掲示されるなど、ダウン採取の実情を知るようになりました。
RDS(Responsible Down Standard)とは?
RDSの認定基準は、生きている鳥の羽毛や強制給餌によって飼育された鳥の羽毛の使用を禁止しています。また、すべてのサプライヤーは、毎年専門の第三者認証機関によって監査されます。RDS認定の羽毛は、製造後のダウン製品から羽毛の産地、すべてのサプライヤーを追跡することができます。
RDSが付いていようがいまいが、どちらにしても水鳥の命の上になりなっているのに変わりはありません。
その昔、軽量・高保温の素材としてダウンしかなかった時代とは違い、ダウンに変わる代替の保温材が複数あります。さまざまな実情を知るようになり、近年、保温材入りの衣類を購入する際は可能であれば化繊綿を選ぶようになりました。
ただ、化繊綿には直接的な命の犠牲は無いものの、マイクロプラスチックの問題も耳にするようになりました。
マイクロプラスチックとは?
一次マイクロプラスチックは、洗顔料・歯磨き粉といったスクラブ剤などに利用される小さなプラスチックのことで、主に家庭の排水溝などから下水処理を通り、海へと流出。一度流出すると回収はできず、製品化された後の対策は難しいとされる。
一方、二次マイクロプラスチックは、街に捨てられたビニール袋やペットボトル、タバコのフィルターといったプラスチック製品が側溝などから川を伝って海へ流出し、紫外線による劣化や波の作用などにより破砕されて、マイクロサイズになったもののことを指す。ごみの発生を抑制し、マイクロ化する前であれば、ある程度の対策も可能だ。[出典:マイクロプラスチックが人体に与える影響は? | 増え続ける海洋ごみ]
最近、こういった素材について興味が湧いていて、また色々調査していきたいと思っています。
参考サイト
- ダウンとフェザー~羽根とられた鳥はあたたかい?~認定NPO法人アニマルライツセンター
- 生きたまま毛をむしり取るダウンとフェザー | Vegan Fashion
- RDS – レスポンシブル・ダウン・スタンダード – Certifications
- 東ヨーロッパの食用、羽毛原料加工工場や飼育農場へ行ったことがあるものです
著者PROFILE
2009年末から寝袋と関連装備に特化したこのサイトを開設。いつの間にか運営10年を超える老舗サイトに。ファミリーキャンプから無積雪期登山、厳冬期登山、バイクのキャンプツーリングに自転車旅行、車中泊など、アウトドアを幅広く経験。寝袋の宿泊数は100泊以上~500泊未満。狭い業界ですが、まだまだ知らないこと沢山あり、日々勉強中です☆
谷川岳の雪洞で宿泊
今まで様々な状況下で寝てきましたが、100泊以上経験してわかったのが、『保温力に余裕のある寝袋を用意すること』です。
雪山テントは換気にも注意(テントが埋まると酸欠に)
雨風や断熱材で守られた家と違い、アウトドアフィールドでの宿泊は天候や外気温の変化を大きく受けます。事前の天気予報より、当日の気温が-5℃程度低かった、などは日常茶飯事です。また、多くのキャンプ場は、最寄りの市街地よりも標高が高い事が多く、天気予報で知ることのできる最寄りの市街地の最低気温よりも気温が低いことが多いです。
自然の中で睡眠をとる体験は素晴らしいですが、寝袋の保温力が足りないと真夜中に早朝に目が冷めます。これは外気温は日の出前の早朝4~5時あたりが最も気温が下がり、また体温も下がっているためです。一度このタイミングで目が冷めてしまうと、身体が芯から冷え切っているため、ここからなかなか眠ることができません。そして、寝不足の状態になります。
楽しいアウトドア体験するはずだったのが、思わぬ寝不足でボーーっとしてしまうのは、もったいないです(しかも連泊でこれが続くとかなりキツイです)。少し汗ばむくらいの保温力の寝袋を選んで、ぜひ素敵なアウトドア体験を満喫してください☆
寝袋と(キャンプ用の)マットは2つで1つです。
キャンプ用のマットの役割は主に『断熱』と『寝心地を快適にする』の2つです。
『断熱』について・・・アウトドア用の寝袋の中綿として、化繊やダウンが使われていますため、小さく圧縮して収納し持ち運ぶ事ができます。寝袋を収納袋から出して広げると、徐々に中綿が膨らみますが、人間が寝袋に入ったときに身体と地面に挟まれた中綿はぺちゃんこに潰れるため、断熱力がほとんどなくなります。大概の地面は冷たく、身体の重みで密着した部分から体温が逃げ(ヒートロス、熱損失)て、底冷えします。この現象は、体温と地熱の温度差が大きい春・秋・冬ほど熱損失量も増えます。
これを防ぐため、キャンプ用のマットを使います。キャンプ用のマット体重がかかっても断熱効果が得られるよう設計されています。
『寝心地を快適にする』について・・・最近、畳の上で寝たことはありますか?痛くて寝れなかったという方もいるのではないでしょうか。昨今の快適用品の普及により、強い刺激に敏感になっています。よほどふかふかの芝生以外、寝袋のみで寝ると地面の凸凹や石があたって痛くてまともに寝れません。その衝撃を吸収する役割としてキャンプ用マットが使われます。キャンプ用マットは大きくクローズドセルマット(銀マットなど)とエア注入式の2種類あり、寝心地はエア注入式の方が良いです。
テントの中で寝袋の下に敷くマットは、様々な用途に合わせて、多数の商品があります。皆さんの用途にあった、快適に寝れるマットが見つかりますように☆