登山用品専門の輸入代理店、ロストアローが「弊社が扱うすべてのブランド、商品はメーカー本国との内外価格差をゼロにする」と宣言されたそうです。
昨今、インターネット通販の普及に伴い、実店舗で商品を置いても、そこでは購入せず、最終的に安い通販サイトで購入する「ショールーミング」の風潮が広がっているそうです。そのため、販売店の従業員の士気が下がり売上にも影響しています。
客の質問に答えながら、何十分もかけて最適なザックや登山靴を選んであげたのに、買わずに帰っていく。そんな経験が何回も続いたら、誰だって、「自分は何のために接客しているのだろうか」とむなしい気持ちにもなるでしょう。
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日本よりも価格の安い欧米の通販サイトに客が流れている。そうした動きが今後さらに加速すれば、販売店従業員の士気がもっと下がるどころか、日本の登山用品業界全体が立ち行かなくなるという危機感があります。
輸入代理店ロストアローについて
ロストアローはある程度登山業界にいる人なら、一度は聞いたことのあるだろう人気の海外登山ブランド用品を多数扱っている日本の老舗輸入代理店です。
実は、このロストアローは、数ある登山系の輸入代理店の中でも”良心的”として業界内では広く知れ渡っています。海外メーカーの製品が日本で販売される場合、日本での販売価格は、メーカー本国での売価に加えて代理店の利益、輸送料などが加算された価格(+α)になります、代理店がロストアローの登山用品は、+αが他の代理店に比べて少なく、他の代理店の海外メーカー製品に比べて割安になるためです。
都内の大型登山用品店で、ずらっと並んだザックの値札を見ると、ロストアローの扱うブランドからわ割安感が伝わってきます。
元々、良心的な価格設定であるにもかかわらず、2018年3月の価格改定で、自社の利益を削ってでも全商品の内外価格差を解消した、と知りとても驚きました。以前から、社長の坂下さんの噂は度々耳にしていましたが、今回の決断からもその人柄が伝わってきます。
最後に
数年前から登山用品の販売店の業績不振を耳にするようになってきました。
私も山登りするようになって良くわかったことですが、登山用品は登山時間に比例して登山者と製品との相性が問われる、ということです。特に、重い荷物を長い時間背負い続ける中型・大型のザック、足の痛みにつながりやすい登山靴、そもそもリスクの高いクライミング系の登山用品は、経験豊富な販売員の接客(製品特徴・使い方など)がとても重要になってきます。
ブラックダイヤモンド(ギア)、オスプレー(ザック)、スカルパ(登山靴)など、非常に人気の海外ブランドを扱っている代理店ですから、今回の決断は日本の登山業界全体に大きく影響を与えるかもしれません。
参考リンク